チアノーゼは手足の指先からはじまり、唇・顔面・体が青白くなる症状で、その部分への酸素の供給が不足することによって起こります。特に、新生児では起こりやすい症状です

今回は、新生児においてチアノーゼが起こりやすい場面や、注意しなくてはならないチアノーゼについて紹介します。

目次

特に大きな病気がなくてもチアノーゼは起こる

チアノーゼは、血中の酸素量が足りなくなることで肌が青白く見える症状です(詳しくは、「指先が青白くなる症状「チアノーゼ」。原因は貧血?それとも病気?」をご覧ください)。最初に覚えておいていただきたいのは、新生児はチアノーゼを起こしやすいということです。ですので、チアノーゼになっているのを見てもあわてないでください。チアノーゼを起こす理由も、意外と身近で単純な以下の2つが主となります。

  • 泣きすぎて酸素不足になった
  • 鼻づまりを起こした

まず一つ目ですが、泣くという行為は案外体力を必要とします。とくに乳幼児の場合、小さな体で全身を使って泣くので、あっという間に酸素を消費してしまいます。すると末梢に酸素が行き渡らなくなり、チアノーゼが起こるというわけです。

もう一つは鼻づまりです。人間は基本的に鼻呼吸で息をしていますが、特に乳幼児の場合はこの比率が高いといいます。乳幼児の場合、まだまだ体が小さく、鼻づまりも起こしやすいです。鼻の空気の通り道が狭いため、少しのことで鼻が詰まってしまうのです。また、鼻づまりを起こした状態でミルクを飲ませると、口からの呼吸もなくなり、酸素不足が起こりやすくなります。

どちらのパターンのチアノーゼについても、健康上は問題ありません。泣きすぎで起こした場合には、少し様子を見ておく程度で十分ですし、鼻づまりによるチアノーゼも鼻水を取るなどの処置をすれば大丈夫です。このとき鼻水はティッシュではなく、綿棒で取ってあげてください。特にミルクを飲ませる場合には口呼吸ができなくなり、チアノーゼを起こしやすいので、あらかじめ鼻づまりを解消しておくことがチアノーゼの予防にもなります。

注意するべきチアノーゼ

ミルククラウン

基本的にチアノーゼは、一時的な酸素不足が原因で起こっているものです。そのため、多くの場合は様子を見ていれば問題ありませんが、一部に気をつけなくてはならないチアノーゼがあります。

チアノーゼは、酸素が少ない(末梢血の還元ヘモグロビンが5g/dl以上)になると症状が起こりますが、新生児ではこの還元ヘモグロビンが3g/dlでも起こります。

「末梢性チアノーゼ」とは四肢の末端でのチアノーゼです。新生児は生理的に多血症(赤血球が多い)であること、また低体温となった場合にもよくみられます。ですがこれは、必ずしも病的ではないとされています。

一方、新生児の顔・唇が紫色となる「中心性チアノーゼ」は異常と考えます。泣き過ぎですぐに改善すればよいですが、このチアノーゼが常時続く場合は、心臓・呼吸器に異常があることが疑われます。

時々チアノーゼの症状が出るという場合は「過度に泣き過ぎて一時的に息を吸い込めなくなる」「おっぱいを一気に飲んでしまって息を止めてしまう」等も原因と考えられます。

これらは、泣いたり、鼻づまりが起きたりすることによって末梢で酸素不足が起こる状況であり、多くは短時間で回復しますので問題はありません。しかし、怖いパターンもあります。それは心臓での空気の交換がうまくできていなかったり、呼吸器に異常があったりする場合です。

チアノーゼがよくみられる新生児は、ミルクを飲むのにもとても時間がかかると言われています。また、1回に飲む量も少ないので、標準より体重が増えにくく、小さいことが多いです。

チアノーゼがなかなか回復しない場合、家で様子を見ていても何もできることはありません。ですから、すぐに病院に連れて行くべきです。

まとめチアノーゼに気付いたら

赤ちゃんのチアノーゼを見つけた場合、まずは落ち着いてください。チアノーゼは誰にでも起きる症状ですし、チアノーゼが直接的な原因で命を落とすことはありません。

落ち着いたら、まず直前の様子を思い出してください。よく泣いていた場合では、それが原因の可能性が高いです。また、鼻の様子もチェックします。鼻づまりもチアノーゼの原因になります。鼻づまりの場合は、鼻づまりだけ解消して、青白くなっている部分の様子を見てください。だんだん血色が良くなっていけば、一時的なチアノーゼであり問題ありません。

一方、あまりにもチアノーゼが多かったり、なかなかチアノーゼの症状が改善しなかったりする場合には病院での検査が必要になります。その後は、医師の判断に従ってください。