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脂質異常症とは?

脂肪の摂りすぎや運動不足などによって起こってくるのが脂質異常症です。通常、脂質異常症では特徴のある症状は現れません。症状がないにも関わらず、時間をかけて少しずつ血管が硬くなってくるのがこの病気の厄介なところです。

血管は全身に広がっており、動脈硬化が起こる場所によって、心臓病(狭心症、心筋梗塞)、脳卒中(脳梗塞、脳出血)、慢性腎臓病などの疾患に進展する恐れがあるため、注意が必要です。

脂質異常症、高コレステロール血症、高脂血症のちがいって何?

脂質異常症は、基準値に従って以下の4つに分類されます。(脂質異常症治療のエッセンス2014年版より引用)

LDLコレステロール
(LDL-C)
140mg/dL以上 高LDLコレステロール血症
120~139mg/dL 境界域高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール
(HDL-C)
40mg/dL未満 低HDLコレステロール血症
トリグリセライド
(TG)
150mg/dL以上 高トリグリセライド血症

コレステロールにはLDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールがあり、以前よりLDL(悪玉)コレステロールが高いと心臓病になりやすいことが知られていました。しかしその後、HDL(善玉)コレステロールが低くても心臓病になりやすいことが分かってきました。そこで、HDL(善玉)コレステロールが低いことも重視すべきという注意を喚起するために病名が細分化されたと言えます。

「高脂血症」や「高コレステロール血症」という病名はどの脂質成分の異常かが明確でないため、上記のような分類となり、それらを総称して「脂質異常症」と呼ぶようになってきました。

もし、脂質異常症と診断されたら?脂質異常症の予防法は?

油の理想的な摂取量の比率と各種油の組成-図解

脂質異常症の治療、予防の基本は、適度に運動することです。運動によって消費カロリーを増やし、筋肉量を保つことで基礎代謝を維持することが重要です。20分以上続けられる有酸素運動が有効とされており、身近な運動としてウォーキングなどが推奨されます。

次に食事の注意点ですが、現代人の食生活のなかで、不足しがちな油と過剰になりがちな油があります。不足しがちな油はアマニ油、エゴマ油、魚油などに含まれるαリノレン酸で、過剰になりがちな油はコーン油、大豆油、肉脂などに含まれるリノール酸です。以下に理想的な摂取量の比率と各種油の組成を示します。

αリノレン酸は熱に弱いため、アマニ油やエゴマ油は食べる直前に料理にかけたり、魚は刺身やマリネで食べたりと工夫をすれば、αリノレン酸を壊さずに摂取できます。リノール酸はコーン油や大豆油などに多く含まれ、調理用の油として広く使われています。また、コーンや大豆を餌として飼育された牛、豚、鶏肉にも蓄積されていることから、過剰摂取になりがちです。

以上より、脂質異常症の治療、予防にはリノール酸を控えて、αリノレン酸を摂ることが重要です。加熱料理に使用する油はコーン油や大豆油よりもオリーブオイルやココナッツオイルに切り替えましょう。メインディッシュは肉よりも魚がお勧めなのは言うまでもありません。

αリノレン酸は体内でEPA、DHAに変換され動脈硬化を抑制するのに対し、リノール酸は体内でアラキドン酸に変換され動脈硬化を進行させます。つまり、日々口にする油を選ぶことは、脂質異常症を改善させるとともに、血管年齢を若く保つ上でも大切なことなのです。

 

まとめ

脂質異常症は、放っておくと血管の老化を早め、心臓病、脳卒中、慢性腎臓病などの血管病を引き起こします。運動不足や日々の食事を見直すことで脂質異常症を改善し、これらの血管病を未然に防ぎましょう。