「昨日の疲れが残ってるな」と思うとき、ドリンク剤のテレビCMを思い出しませんか?現在はドラッグストアなどで様々な栄養ドリンク剤を手に取ることが可能ですが、値段がバラバラですよね。高価なドリンク剤は、それだけ色々な薬効成分が入っているというのはお聞きになったことがあるでしょう。今回は、そんな栄養ドリンク剤とのつきあい方についてご紹介します。

目次

栄養ドリンク剤ってなんだろう

栄養ドリンクは、肉体疲労時の栄養補給などを目的で販売されている飲料です。

ビタミン、カルシウム、アミノ酸、生薬成分などを含有しており、滋養強壮剤に含まれます。

滋養強壮剤は以下のような場合に、食事からでは不十分な栄養を補給する目的で用いられます。

  • 肉体疲労時(食事が不規則・体がだるい・疲れやすい・食欲がない)
  • 妊娠、授乳期などで上記の栄養の需要が増大している場合
  • 病気などで体力が低下していたり、食事から十分に摂取できなかったりする場合

1日に何本も飲んでいいの?

ドリンク剤の多くには、パッケージに「1日1本」と記載があります。

ドリンク剤には、水溶性のビタミンが含まれていることがほとんどです。
水溶性のビタミンとはビタミンB・Cなどになりますが、これらのビタミンは過剰に摂っても蓄積しておくことができず、尿と一緒に出て行ってしまいます。

ですから、1日や1回に数本飲むよりは、1日1本を飲んでいたほうがいいでしょう。

ドリンク剤を飲む時に注意しなければいけないこと

1.カフェイン

注意すべきは、飲んだ時に早急に疲れを取るために入れてある「カフェイン」でしょう。

ドリンク剤1本に含まれるカフェインは、50mg~100mgです。
量としてはコーヒーやお茶の1杯と同様ですが、覚醒作用がありますので、カフェインが入っているものを夜寝る前に飲むのは避けたほうが良いでしょう。

また、カフェインを摂取すると一時はスッキリしている気分になりますが、根本的な疲れは取り除かれていません。
どこかでしっかり休む時間を作るのも大切なことです。

カフェインは1回に500mg、1日1g以上取ると、胃部不快感、頭痛、動悸などを引き起こすことがあります。
中には風邪薬とドリンク剤を合わせて飲む方もいると思うので、総量には注意が必要です。

また、お子さんの場合は、カフェインが入ってないものを選ぶようにしましょう。

詳しいカフェイン中毒の話については、「カフェイン依存症になってない?!眠気覚まし薬との正しいつきあい方とは」を参考にしてください。

2.アルコール

長距離ドライブの前などに、意気込んでドリンク剤を飲んでいたりしませんか?

実はドリンク剤には、非常に少量ではありますがアルコールが含まれているものがあります。

含有量は物によって異なりますが、アルコールのアレルギーがある人や、アルコールに弱い方などは注意が必要です。
自動車などの運転の際にも注意が必要だと考えた方がいいでしょう。

また、アルコールによって一瞬疲れが抜けた感じがする作用があるものの、カフェインと同様で実際の疲れは取れていません。
慢性的な疲労の方は、アルコールがあまり含まれていないもので、生薬やビタミンなどがしっかり入っているものを飲んで滋養をつけましょう。

3.アルコールによるアンタビュース様作用

上記でアルコールが含まれているものがあると解説しましたが、そのため、アルコールが存在するときに飲み合わせが悪いものがあると大問題になります。
ある種の医薬品は、アルコール存在下でアンタビュース様作用を起こすことがわかっています。

特に医者から抗生物質をもらってきている時に、栄養補給にドリンク剤を飲みたいのであれば、アルコールが入ってないものを選びましょう。

アンタビュース様作用とは

酒と抗生物質を一緒に飲むと通常より顔が赤くなったり、頭痛がしたりするなどの症状が出ることがあります。

お酒を飲むと肝臓でアルコールはアルコール脱水素酵素やアルデヒド脱水素酵素の働きによって代謝されていきますが、アルコールから代謝されたアセトアルデヒドによって頭痛、顔面紅潮、発汗、頻脈、動悸、血圧低下、悪心、嘔吐等の症状が現れてきます。

一部のセフェム系抗生物質やフラジールというお薬、経口糖尿病薬などの中には、アルコールを代謝するアルデヒド脱水素酵素を抑えるものがあり、それらの薬物を使用中アルコールが存在するとアセトアルデヒトによる症状が出ることがあります。

これをアンタビュース様作用といいます。

4.高血圧の人むくみのある人はニンジンに注意!

ドリンク剤には各種のビタミン成分の他に、生薬のニンジンが含まれているものがあります。

生薬としてのニンジンは、外界からのストレス刺激に対する抵抗力を高める作用、強心作用、抗利尿作用、消化吸収・新陳代謝を高めるなどがあります。
ニンジンは比較的強い薬効をもつ生薬に分類されるため、高血圧の人がニンジンを含有するドリンク剤を飲用する場合には注意が必要でしょう。

また、浮腫・むくみのある人も、ニンジンが持つ抗利尿作用のためひどくなることが考えられますので、注意が必要です。

※生薬のニンジンは、野菜のニンジンとは異なります。

5.カロリーコントロールに要注意!

ドリンク剤には白糖が入っているため、1本80kcal以上あるものなど、予想以上にカロリーが高いものがあります。
糖尿病などでカロリーコントロールをしているような場合には、よく確認をした方がいいでしょう。

子供が飲んでも大丈夫なドリンク剤

子供の足

上記を踏まえた上で、お子さんが飲んでも大丈夫なドリンク剤を紹介します。ポイントは、以下の3つです。

  • 適応年齢であるか
  • ノンカフェイン・ノンアルコールであるか
  • 味はどうか

リポビタンDキッズ(指定医薬部外品)

  • 5歳以上
  • ノンカフェイン・ノンアルコールカクテル
  • ミックスフルーツ風味

各種ビタミン、カルシウム、タウリンなどの栄養成分を配合した指定医薬部外品のドリンク剤です。これであれば、風邪で体力が消耗してしまっている時に補う目的で使用するのもいいでしょう。

リポビタンJr.(第三類医薬品)

  • 8歳以上
  • ノンカフェイン・ノンアルコール
  • ミックスベリー味

滋養強壮に効果的な五味子(ゴミシ)と刺五加(シゴカ)の2種類の生薬をはじめ、カルシウム・マグネシウム・タウリン等が配合されています。第三類医薬品のドリンク剤です。

生薬が入っているので、風邪などの体力消耗や食欲不振時に飲んでもらうときは、お子様の反応に注意しましょう。

ユンケルジュニア(指定医薬部外品)

  • 5歳以上
  • ノンカフェイン、アルコール含有
  • フルーツ味

ニンジン・エレウテロコック・西洋サンザシ・ローヤルゼリーに、各種ビタミン・タウリンなどを配合した指定医薬部外品のドリンク剤です。
アルコールが少量入っているので、アレルギーのある方、医師から抗生物質等処方されている場合は、念のため避けたほうがいいでしょう。

妊婦が飲んでも大丈夫なドリンク剤

妊婦

妊娠中のカフェインの多量摂取は好ましくないので、ノンカフェインの栄養ドリンクを選ぶことをお勧めします。
また、ビタミンのなかでも、ビタミンAの摂り過ぎは良くありませんので覚えておくといいでしょう。

プレシャスヴィータ(指定医薬部外品)

  • ノンカフェイン・ノンアルコール
  • マスカット風味
  • 産前産後の記載あり

ローヤルゼリー、ビタミンB2リン酸エステル、ヨクイニン、ニコチン酸アミド等が配合されています。1本2kcalと非常に低カロリーで、肌荒れが気になるけれど体重増加が気になる人におすすめです。

ペアA(第三類医薬品)

  • ノンカフェイン・アルコール含有
  • アセロラ味
  • 妊娠授乳期の記載あり

1本12kcalと低カロリーです。医薬品でしっかり補給したい方、疲れのほか、肌荒れなどが気になる時に良いでしょう。

リポビタンファイン(指定医薬部外品)

  • ノンシュガー、ノンアルコール
  • 妊娠授乳期などの栄養補給と記載あり

タウリン1000mg、ニコチン酸アミド、ビタミンB1・B2・B6等が配合。

「妊娠授乳期などの栄養補給」の記載あり。1本6kcalととても低カロリーなので、疲れが気になる方で、ビタミン補給をしたいけど体重増加が気になる人にはいいかもしれません。

チョコラBBドリンク(第三類医薬品)

  • ノンカフェイン、アルコール含有あり

肌荒れに効果的なビタミンB1・B2・B6、ビオチン、ヨクイニン、肝臓の働きを助けるグルクロノラクトン等が配合されています。

医薬品で疲れ、肌荒れが気になる方には良いかもしれません。
ただ、チョコラBBであれば錠剤の方が簡便でリーズナブル、さらにアルコールなどの添加物を気にする必要も少ないです。

アルフェネオ(指定医薬部外品)

  • ノンアルコール・カフェイン含有
  • グリーンアップル風味

鉄、ローヤルゼリー、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB1・B2・B6が配合されています。

カフェインが入っているので、寝る前には向きません。
「第2類医薬品のアルフェ エフイーアップ」では生薬が配合され、アルコールも多少含まれていますがノンカフェインです。

そのため、安定期でしたら、薬局薬店で相談の上使用するのもいいかもしれません。

まとめ

今回、数あるドリンク剤のなかで、つきあい方と使用が特に問題になるお子様と妊婦の方に焦点を当てました。
一般に15歳以上であればすべてのドリンク剤は飲むことができるのですが、かならず1日どれかを1本
それ以上は飲まないようにしてください。

また、ドリンク剤で栄養を補うのも一つの考えですが、食事からの栄養に勝るものはないと言われています。ドリンク剤を使いがちな人は、日々の食事を少しだけ見直してみるのもいいかもしれません。