お子さんが頻繁に頭を掻きむしっている、なんてことはありませんか?ひょっとしたら、「アタマジラミ」のせいかもしれません。日本は先進国の中でも発生が少ない方ですが、それでも幼稚園の年長から小学校の低学年にかけてアタマジラミが流行することがあります。アタマジラミは激しいかゆみや掻きすぎによる皮膚の炎症などを引き起こします。今回は、アタマジラミに対する対策や駆除方法を紹介します。

目次

アタマジラミは、小学校低学年までの子供に多くみられる

ヒトに寄生するシラミはアタマジラミケジラミコロモジラミの3種類がいます。その中でも、子供たちの間で流行するのはアタマジラミです。

アタマジラミは体調2~4mm程度の小さな虫で、頭皮から吸血して症状を引き起こします。毛と毛が接触することによって感染するため、一つの絵や本をみんなで覗き込むなど、頭をくっつけて遊ぶことの多い小学校低学年までの子供の間で多くの感染が報告されています。特に、髪の長い女の子に多くみられます。

帽子やヘアゴム、寝具、タオルの共用によって感染することもあります。プールでの感染を心配する方もいますが、水中での感染はほとんどみられません。また、小学校や幼稚園では集団発生することもありますが、不潔が原因で発生することはほとんどありません。

また、ヒトと動物の両方に寄生するシラミはいないため、動物を通じての寄生は発生しません。

アタマジラミの寄生による症状

アタマジラミが寄生すると、激しいかゆみが現れます。さらに、頭を掻きすぎることによって二次的な皮膚の炎症(湿疹や感染症など)が起こることがあります。

頭皮のかゆみが強いと、眠れないなどの症状に繋がる場合もあります。

アタマジラミのチェック方法

まずは普段からお子さんの様子をよく観察し、頻繁に頭を掻くなどいつもと違う行動に気付くことが重要です。アタマジラミはアメリカでも確認されており、米国小児科学会は子どものアタマジラミを次のようなチェック方法を推奨しています。

  • お子さんの髪を中央で分け、頭皮を調べます(明るい部屋で行ってください)。
  • 素早く動く明るい色のシラミを探します。
  • 頭皮や髪に付着している白または黄褐色の卵を探します。
    ※卵はフケと似ていますが、フケは簡単に取れるのに対し、シラミの卵は引っかかって取りづらいという違いがあります。
  • 子供の髪を湿らせ、目の細かい専用のくしで梳きながら細かく分けます。部分ごとにくしをタオルで拭き、タオルにシラミや卵がついていないかを確認します。

わからない場合は保健所や病院に行き、確認してもらいましょう。

もしもアタマジラミが見つかったら…駆除方法は?

シラミ専用櫛

アタマジラミの駆除は、それほど難しいものではありません。もしもお子さんの頭にシラミや卵が見つかった場合、以下のような処置を行ってください。

1.専用シャンプーによる駆除

アタマジラミの駆除には、フェノトリンパウダーを含む専用のシャンプーが有効です。KINCHOのスミスリンシャンプーなどの商品が知られています。

1日に1回、3日ごとに3~4回、専用のシャンプーで頭をよく洗ってください。アレルギーを持っている人、皮膚が弱い人は医師に相談しましょう。

また、シャンプーのみではこびりついた卵を駆除できません。卵の駆除には、専用のくしを使用しましょう。

2.くしによる駆除

シャンプーでは駆除しきれないアタマジラミの卵を、専用のくしで除去します。アタマジラミの卵は0.3mm~0.5mm程度なので、くし幅が大きいと引っかからないため、専用のくしが必要なのです。

3.頭髪以外の駆除

頭髪以外の対策としては、次の4つが挙げられます。

  • 枕カバーやシーツはできるだけこまめに取り替える。また、時には洗濯の前に60度以上のお湯で5分以上の熱処理を行う。
  • くしや帽子、タオルなど髪に接触するものは共用しない。
  • くしやブラシなどはドライヤーの熱で処理するか、55度以上のお湯に5分以上つける
  • 部屋の中はよく掃除機をかける。

人から離れたシラミは吸血できないため、2~3日ほどで餓死します。そのため、シラミを頭に近づけないことが大切なのです。

まとめ

先進国の中でも、日本はアタマジラミに感染している子供の少ない国です。しかし、アタマジラミは撲滅されたわけではありません。普段からお子さんの様子をよく観察し、アタマジラミの症状がひどくならないよう適切に対処をしましょう。

また近年は、薬剤に耐性のあるアタマジラミも確認されています。上記の方法を試しても効果が見られない場合は、皮膚科や小児科を受診してください。