皆さんは舌苔(ぜったい)という言葉を聞いたことがありますか?舌の上についている白や黄色、時には黒い苔状の付着物のことをいいます。実はこの舌苔のつき方で口の中で起こっている異変、また体調の不調が分かることがあるのです。また口臭の原因の87%は口の中からきているといわれていますが、厚くついた舌苔がその臭いの元になっていることも多いのです。今回はこの舌苔について説明します。

目次

舌苔は何でできているの?

舌苔は食べかす、口の中の細菌、またそれが作る代謝産物、舌の剥がれ落ちた細胞からなっており、硫化水素を産生します。すなわち硫黄ガスのような悪臭がします。口の中の細菌の多くは舌の上に生息していますので、このことから言っても舌が口臭の原因になっていることが多いといえます。

舌苔はどういうときにつくの?

舌苔は健康な人にも通常は付いているもので、ある程度の舌苔は口の中の正常な機能のためには必要なものです。異常な量でなければ口臭に影響は与えません。それでは口臭を引き起こす過剰な舌苔を起こす原因としてはどんなものがあるでしょうか。

①口の中が不衛生である

歯磨きがきちんとされておらず不衛生だと、当然口の中の細菌は異常に増殖して舌にも舌苔として付着してきます。

②体調が悪い時や睡眠不足に伴う免疫力低下

免疫が低下していると、普段は抑えられている細菌が増殖・活動しやすくなります。

③口呼吸やストレス、加齢、薬の副作用に伴う唾液の減少

唾液が減少すると、口の中の自浄作用、殺菌作用、また免疫力が落ちてしまいます。そうすると細菌が増殖してきます。

④アルコールや喫煙などの刺激物の摂取

アルコール、タバコ

アルコールには利尿作用があるため、口の中が乾燥しやすくなります。タバコも口の中の乾燥を引き起こすので、唾液不足により③の状態となります。

⑤舌をあまり使わない

舌を動かさなければ舌苔は溜まりやすくなります。つまり、噛んだり話したりすることがあまりないと舌苔は増えます。実際に流動食を食べ続けている人は舌苔が厚く溜まりやすい傾向があります。

⑥胃の状態が悪い

東洋医学や中医学では、舌と胃腸に関係があるといわれています。

胃腸が悪くなるときは全身の免疫機能が低下しているときでもあります。免疫機能が低下すると、②のように細菌増殖が起こり舌苔が付着すると考えられます。

舌苔の色や状態で何がわかるの?

舌苔といっても、厚さの程度や色、様々です。ケース別に原因を挙げてみると

白い苔が全体的に薄く付いている

健康的で理想的な状態です。この状態では口臭に影響はありません。

白い苔が分厚く付いている

唾液分泌の減少による自浄作用の低下、胃などの消化管が弱っているときにみられます。また、舌をあまり動かさない場合にもみられます。

黄色い苔

熱や病気などが進行すると白い苔に黄色い着色が現われることがあります。また喫煙の本数が増えてくると、ヤニの色で黄色くなってきます。

黒い苔

病状がさらに酷くなると黒い舌苔がみられる場合があります。口の中の細菌のバランスが崩れてくると菌交代現象といって、正常な菌が減少することにより通常ではあまり存在しない菌が異常増殖を起こしてきます。病気の治療のために長期間抗生剤を服用した場合などにこの菌交代現象が良くみられ、舌に黒い毛が生えたように見えることがあります。

全く苔がない

無苔と呼ばれ、慢性的な栄養不良が原因と考えられており、具体的にはミネラルや鉄分が不足した時にみられます。

ところどころ舌苔がない部分がある

これは見た目が地図のようであることから地図状舌とよばれます。原因は胃腸が弱っている、ミネラル・鉄分・たんぱく質不足などが考えられます。

まとめ

健康な人でも朝起きたとき、疲れたときなどは舌苔が多く付きますし、一日の中でも舌苔の量は変化するものです。舌苔自体は決して悪いものではなく、むしろ適度な水分を保持し、健全な細菌の層を作って舌を保護するものです。過剰な舌苔がつく場合は、何らかの問題があるときだといえるでしょう。舌は健康状態を表すといいます。ときどき舌の状態をセルフチェックしてみてはいかがでしょうか。