誰しも避けたい、あのつらい二日酔い。先週はひどかったのに昨日は大丈夫だった、なんてことがあったり、飲む量に二日酔いの程度が比例していなかったりと疑問は浮かぶばかり。二日酔いに関して未だはっきりと解明されていませんが、3つの有力な説を取り上げてそのメカニズムをご説明します。

目次

1.アルコールによる影響

日本酒

ホルモンに作用する

抗利尿ホルモン「バソプレシン」は体内の水分調節を担います。腎臓で水を再吸収することで、1日に180リットルも作られる原尿が濃縮され、発汗などの影響もあり100分の1程度まで少なくなります。しかし、このホルモンの分泌がアルコールによって抑えられるといわれています。水分が尿として排出されやすくなることで体は脱水気味になり、喉が渇く、頭痛がするなどの症状を引き起こします。

また、アルコールは、免疫反応・炎症反応・生体防御に深く関わる「サイトカイン」を脳の血管周りで増加させます。これが頭痛を起こしやすくするもう一つの原因と言われています。

胃にダメージを与える

胃の内部では、細菌やウイルスなどの侵入を防ぐ「胃酸」と、胃酸によって胃粘膜を傷つけないように働く「胃粘液」のバランスが保たれています。けれども、過剰なアルコール摂取によって胃粘液のバランスは崩れてしまいます。そうなると胃酸の働きが胃粘液の働きを上回り、これが胃の不調に繋がります。

アルコールが高濃度であることや摂取量が多いだけでなく、食事とともに飲酒しないことも不調の要因となるので注意が必要です。

2.アセトアルデヒドによる影響

アルコール3

肝臓が正常な働きをしなくなる

通常私たちがアルコールと呼んでいるのは「エタノール」という成分です。エタノールは「アセトアルデヒド」→「酢酸」を経て、最終的には水と二酸化炭素に分解されます。アセトアルデヒドは、血中でその濃度が高くなると頻脈・皮膚の赤み・吐き気などの症状が現れます。

体内にアルコールが入ってくると、肝臓はアルコールやアセトアルデヒドを優先的に分解しようと働き、その結果他の栄養素の代謝が遅れてしまいます。また、通常時に行う、肝臓に存在するエネルギー貯蓄限「グリコーゲン」という物質からエネルギー源である「グルコース」を合成すること(糖新生)も抑制されてしまい、アルコール性の低血糖状態になります。これらの影響が二日酔いと呼ばれる症状であるといわれています。

3.酒の不純物による影響

ワイン

不純物が様々な症状を引き起こす

酒の香り・味などを決める不純物は、分解されるのが遅いという特徴があります。特に「メタノール」は体内に長時間とどまり、疲労感やだるさがいつまでも残るのです。更にメタノールは肝臓で「ホルムアルデヒド」、「ギ酸」、そして水と二酸化炭素へ分解されます。ホルムアルデヒドやギ酸などの有害物質は眩暈・頭痛・腹痛・吐き気などの原因となります。また、ワインなどの色素成分も二日酔いに似た症状を引き起こす原因となります。

最後に

二日酔いの原因を探ってみると、実は体の中での様々な反応が関与しているようですね。これらのメカニズムを抑えた上で、お酒の向き不向きを感覚的に知る、ということも大事だと思います。二日酔いを防いで、安全で楽しい飲酒に繋げていきましょう。