ちまたでよく聞く「歯槽膿漏」「歯周病」「歯周炎」「歯肉炎」など。どれも歯ぐきの病気であることは言葉を聞くと理解できますが、なんだかいろいろあってこんがらがってしまいますよね。それぞれの違いっていったい何なんでしょうか?ここではその違いについて説明します。

目次

歯槽膿漏とか歯周病、何でいろいろ名前があるの?

歯周病は文字通り歯の周囲の病気のことです。

歯槽膿漏とは、歯を支えている歯槽骨から膿が漏れるという状態からきた名前であり、歯周病の重度の状態であるといえます。かつては歯周病のそのようなひどい状態を歯槽膿漏と呼んでいましたが、現在は専門家の間では歯槽膿漏の状態も「歯周病」とひとまとめで呼ぶようになってきました。

ただ「歯槽膿漏」の響きにはインパクトがありますので、一部では今も使われているようです。

歯周病は歯肉炎歯周炎に分けることができます。

歯肉炎

20代以下の若い年齢層に多く、歯周病の初期の段階で、歯と歯ぐきの境目が炎症を起こして赤く腫れたり、出血しやすくなります。

この段階で炎症に気づいてきちんとブラッシングをするようにすれば健康な状態に戻ります。

歯周炎(歯槽膿漏)

30代以上に多く見られます。歯肉炎を放置しておくとさらに進行していき、歯を支えている歯槽骨がどんどん溶けていきます。

そうすると、歯と歯ぐきの間の溝が深くなっていき、そこに歯垢が入り込んでそれがさらに骨を破壊していくことになってしまいます。そして、いずれは歯がグラグラと揺れるようになったり、膿を出したり強い口臭を発生します。最後には骨が歯を支えられなくなり、歯は抜け落ちてしまいます。

重度の歯周病、歯槽膿漏になると起こる恐ろしいこと

歯を押さえる女性

歯周病(歯槽膿漏)は重度になると次のような症状を出します。

1.歯磨きで血、膿が出る

歯ぐきの炎症が強くなる為、出血しやすくなり歯ぐきの溝から膿が出てくるようになります。そのため口の中がネバネバしてきます。

2.歯ぐきが腫れる

歯ぐきの炎症により歯ぐきが腫れて触ると痛みが出ます。

3.歯と歯の間が広がって物がはさまる

歯を支えている骨が溶けてくるため、歯が移動しやすくなり物がはさまるようになります。

4.歯ぐきが下がって歯が長く見える

本来顎に埋まっている歯の根っこまで見えるようになり、歯が長く感じます。

5.痛くてかめない

骨でしっかり支えられなくなるので痛くて物をかめなくなってきます。

6.前歯が出っ歯になる

歯が動きやすくなるため、下の前歯の突き上げにより上の歯が出っ歯になることが多いです。

7.強い口臭を放つ

膿の臭いや、深い歯ぐきの溝に溜まった細菌のせいで強い口臭が出ます。

8.歯がしみる

歯ぐきが下がることにより知覚過敏になり、冷たい物や熱い物、風がしみるようになります。

9.急性発作を起こして激痛が出る

病気や疲れた時など免疫力が落ちると、急性の炎症を起こし歯ぐきの大きな腫れ、強い痛みを起こします。

おわりに

歯槽膿漏(歯周病)によって歯を失うのはもちろん困りますが、見た目が悪くなったり、かめなくなったり、痛みが出たりするなど、他にも症状が出ます。強い口臭によって周りの人も不快にさせてしまうことがあります。

歯ぐきの病気は初期の頃はとくに症状が出にくく気づきにくい為、虫歯に比べて関心の低い人が多く、悪くなってから慌てるケースがよくあります。しかし、悪くなってからでは治すことが出来なくなるのが歯槽膿漏(歯周病)の怖いところです。「これまで虫歯になったことがなくて歯医者に通ったことがない」という人ほど手の施しようがないほど進んでいる場合がよくあります。そうならないためにも定期的に歯科に通うことをお勧めします。