口の中や舌がピリピリすること、時々ありますよね。すぐに治ってしまうものから長期間続くもの、また原因も様々です。それほど心配の要らないケースが多い ですが、なかには要注意のものもあります。ここでは主な原因とその治療法についてお話ししていきます。

目次

口舌がピリピリする原因として考えられるもの

口や舌のピリピリ2

1.口腔カンジダ症

口腔カンジダ症では、口腔内常在菌のカンジダ菌が免疫力低下、抗生剤やステロイドの長期服用などにより異常増殖することによって、病原性を発症するようになります。口の中の粘膜や舌に白い膜ができ、その下は赤くびらん状になっていることが多いです(ただし、義歯接触部分でははじめから赤くただれていることもあります)。また、時には黒毛舌といい、茶褐色や黒色のものもあります。

痛みは食事や会話など舌に刺激が加わると悪化し、熱い物や味の濃い物などは痛くて食べられなくなります。

2.ドライマウス

口の中の唾液は粘膜を保護する働きがありますが、これが減ると口の中が傷つきやすくなり、ピリピリ痛むドライマウスの原因となります。

3.口腔灼熱症候群(こうくうしゃくねつしょうこうぐん)

外見上異常がなく、血液検査や細菌検査などでも異常がないのに口の中の粘膜がピリピリ痛んだり焼けつくような痛みが長期間続くものを口腔灼熱症候群と呼びます。それが舌に限定して現れる場合を舌痛症と呼んでいます。

4.亜鉛鉄ビタミンの欠乏

これらの微量元素の不足で口の中の粘膜に痛みが出る場合があります。

5.金属アレルギー

口の中の銀歯や義歯の金属などによってアレルギー反応が起こる場合があり、その場合ピリピリとした痛みを感じることがあります。

6.口腔アレルギー症候群

口腔アレルギー症候群は、果実野菜過敏症とも呼ばれている食物アレルギーの一つです。ある特定の野菜や果物を食べると口の中や喉がヒリヒリ痛んだりするものです。通常、胃で消化されると症状は消えることが多いですがまれに重篤なアレルギー症状を起こすことがあります。

7.扁平苔癬(へんぺいたいせん)

皮膚や粘膜にできる難治性の病変で、口の中では舌、頬の粘膜、唇にできやすく、白い網状、レース状の白い模様で現れます。潰瘍やびらんを作ることが多く触れたり食事の時にぴりぴりと痛みを伴うことがあります。

8.白板症(はくばんしょう)

口の中の粘膜にできる白い板状の表面が硬くなった病変で、こすっても取れません。無理に取ろうとするとガンになってしまう場合もあります。対して口腔カンジダの場合の白い膜はこすると取れてきます。

白板症は、初期のがんのこともあります。痛みを伴うことは少ないですが、痛みがある場合は直ちに医療機関を受診してください。痛みがなくても、早めに医師に相談するとよいでしょう。

9.アフタ性口内炎

一個または複数個同時にできる場合もある、丸い輪郭のはっきりした潰瘍です。触れたり、食事の時にかなりしみることがあります。

10.外傷、熱傷

歯が尖っていたりざらついていたりすることで舌や頬の粘膜などが傷ついた場合、また、熱傷でピリピリ痛むことがあります。

11.ヘルペス性歯肉口内炎

単純性ヘルペスウイルスによる初感染でおこり、口の中の粘膜が全体的に赤く炎症を起こし、多数のアフタ性口内炎が出来ます。特に歯ぐきの炎症、腫れ、びらんがひどく、何もしなくてもズキズキ痛み、食事や会話も困難となります。小児に多く見られます。

12.ガルバニー電流

口腔内のかぶせ物が異種金属(2種類以上の異なる金属)を使用している場合、それらが接触すると微弱電流が流れ、痛みを感じることがあります。治療としては、かぶせ物を同じ金属同士にするか、金属ではないかぶせ物にするなどの方法があります。

それぞれに対する治療法は?

治療法

それではそれぞれに対する治療を簡単に挙げてみます。

1.口腔カンジダ症

口の中の徹底的な清掃、抗真菌薬の塗り薬、うがい薬、内服薬

2.ドライマウス

①生活習慣の改善

  • ストレスをためない
  • 良くかむ、食習慣の改善
  • 規則正しい生活
  • 部屋の加湿
  • アルコール、喫煙を控える

対症療法

人工唾液、保湿ジェル、うがい薬、トローチ、唾液分泌を促す薬、筋機能療法など

詳しくは、ドライマウスの対策法をご覧ください。

3.口腔灼熱症候群(こうくうしゃくねつしょうこうぐん)

①薬物療法

抗うつ剤、抗不安薬、抗胃潰瘍剤、漢方薬

②カウンセリング治療

4.亜鉛鉄ビタミンの欠乏

食生活改善、亜鉛製剤、鉄剤、ビタミン剤の投与

5.金属アレルギー

口の中のアレルギーを起こす元になっている金属の除去

6.口腔アレルギー症候群

多くは、原因となる果物や野菜が胃で消化されると治まるが、ときに蕁麻疹や消化器症状、アナフィラキシーショックを起こす場合があり、その場合は医療機関を受診

アレルギーを起こさない対策

  • アレルギーを起こすもの自体を食べない
  • 火を通して食べる(バナナやモモなどには効果がない)

7.扁平苔癬(へんぺいたいせん)

うがい薬、ステロイド、抗生物質の軟膏、消炎鎮痛剤、ビタミン製剤、抗アレルギー薬、精神安定剤の投与

8.白板症(はくばんしょう)

刺激源の除去、ビタミンAの投与、切除手術

9.アフタ性口内炎

通常1-2週間で治癒

治療としては

刺激源の除去、口の中の清掃、塗り薬や貼り薬、レーザー治療など

10.外傷熱傷

粘膜に傷をつける物の除去、熱い物を控え安静にする

11.ヘルペス性歯肉口内炎

  • 入院して全身的管理をしながら点滴やチューブで栄養補給する場合も
  • 消炎鎮痛剤、抗生剤、抗ウイルス剤、うがい薬、トローチの投与

まとめ

短期間で治まる場合は一般的に様子を見て大丈夫なことが多いですが、長く続く場合は自然治癒しないで何らかの治療が必要になることが多いです。数日様子を見て全く症状が改善しない場合には歯科などの医療機関を受診しましょう。