日本では高齢化が進み、認知症はとても身近な病気になっています。今後さらに患者数が増えるともいわれています。正しい知識を身につけていれば、いざというときに自分や家族を守ることができます。ただ、認知症といっても様々なタイプがありますので、ここでは患者数の多い4つのタイプの認知症の原因、そして症状についてまとめてみました。

目次

タイプ別認知症の原因について

1.アルツハイマー型認知症

認知症のなかで最も多いとされているのがアルツハイマー型認知症です。

脳の中に異常なタンパク質(βアミロイド)が溜まり、正常な神経細胞が壊れ、脳の萎縮が進むことが原因とされています。なぜβアミロイドが溜まるのかは不明です。

アルツハイマー型の発症には加齢や遺伝が関係しています。近年では糖尿病や高血圧の人も、アルツハイマー型を発症しやすいことが明らかになっています。そのため、生活習慣の改善をすることが重要な予防策となります。

2.脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血など、脳の血管に障害が起こって脳の機能が低下することが原因で発症します。発作が起きる度に症状が悪化する傾向にあります。

こうした血管障害は、高血圧・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病が原因で引き起こされるため、こちらも生活習慣の改善が重要です。

3.レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、上記2つと合わせて「三大認知症」と呼ばれています。

「レビー小体」とは、パーキンソン病の中脳の神経細胞にみられる異常構造物です。レビー小体型認知症はこのレビー小体が広く大脳皮質にも溜まることが原因で発症します。しかし、なぜレビー小体が発生するのかはいまだ不明です。

4.前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、大脳の前頭葉・側頭葉という部分が萎縮することで発症します。

いくつか原因が考えられますが、今のところピック球という異常構造物が脳の神経細胞に溜まるタイプ、そしてTDP-43というタンパク質が溜まるタイプがあることが分かっています。

認知症の症状

症状は大きく「中核症状」と「周辺症状」の2つに分けられます。

中核症状

認知症_頭を抱える男性

中核症状とは、どの認知症にも共通する主な症状で、脳の神経細胞が壊れることで起こります。

まず「ついさっきのことが思い出せない」という記憶障害が目立ちます。また、「言葉の理解ができない」「話したいのに話せない」という失語、運動機能に問題はないのに意味のある動作(例えばボタンはめる等)ができない失行、道具の使い方が分からなくなる失認、ものの名前が分からなくなる失語などの症状が出ます。

さらに、計画を立てて準備をし、段取り良くこなしていく能力が衰える実行機能障害もひとつの症状です。

周辺症状

周辺症状とは、周囲の人との関わりによって起こる行動・心理症状です。

幻覚を見る、妄想を抱く、暴力をふるう、徘徊する、といった症状がこれにあたります。ときに万引きなど反社会的な症状が出ることもあり、こうした周辺症状によって家族での在宅介護が難しくなり、受診にいたるケースが少なくありません。

認知症かな?と思ったら

認知症_医師

認知症の兆しが見えたら、早めに受診することが大切です。早期に治療を始めることで進行を遅らせることができます。「病院に行くのはちょっと…」という場合は、住んでいる町の「地域包括支援センター」に認知症についての相談窓口がありますので、そちらに相談することをおすすめします。また、相談窓口の一覧を紹介しているサイトもあり、中には電話相談を行っている窓口も紹介されています。

まとめ

認知症にも色々なタイプがあり、症状も様々でしたね。なかには生活習慣を改善すことで予防できる認知症もありますので、これを機会に、家族と自分のライフスタイルを見直してみてはいかがでしょうか。