私たちが他人とコミュニケーションをとるときには「話す」「聞く」「理解する」の3点がとても重要です。もし、その「話す」「聞く」「理解する」ことに障害が生じた場合、あなたはどうしますか?

言語障害は、「話す」「聞く」「理解する」はたらきが何らかのかたちで障害されてしまいます。では、具体的に言語障害とは何か、またリハビリテーション(リハビリ)について説明していきたいと思います。

目次

言語障害とは?

一般的に言語障害とは、言語中枢である脳や脳神経が脳血管疾患や外傷などで損傷を受けることで、今までのようにうまく話したりすることができなくなることを指します。

この言語障害は、大きく分けると失語症と構音障害に分類されます。そのため症状に応じた対応策・リハビリが必要となってきます。

詳しくは、脳梗塞や脳出血の後遺症、言語障害はなぜ起こる?をご参照ください。

言語障害のリハビリとは?

言語聴覚士(Speech Therapist:ST)によるリハビリが行われることがあります。

言語障害の症状・程度を最初に把握したうえで、その症状・程度に合わせたリハビリを選択していきます。

失語症

  1. 運動性失語;他人の言葉が理解できても、自分自身から発する言葉がうまくいかない、話すことが不明瞭であるなど。また書くということもうまくできない場合があります。
  2. 感覚性失語; 他人の言葉や書かれている文字がうまく理解できない、自分自身で言葉をうまく話せてもその言葉が間違っていたり、意味不明・支離滅裂な内容であることが多いなどです。

このような失語症に対しては、絵などが描かれたカードを用い、質問された内容に合った絵を見つけたり、その絵には何が描かれているのかを実際に言葉に出して答えていく練習をします。

最初はうまく言葉にならない場合も、言語聴覚士と一緒に反復して声に出す練習をしたり、それに見合った短い単語や文章を書く練習をすることもあります。

言葉を思い出す・自分の発語を聞き直すなどの練習を行います。

また、理解の程度に応じてその他のコミュニケーション方法(筆談・ジェスチャー・文字盤の使用など)を用いた練習も取り入れられます。

構音障害

言葉を発するのに必要な筋肉や神経が正常に機能しなくなることで、言葉が発しづらいろれつが回らない・言葉が不明瞭になるなどです。

このような構音障害に対しては、言葉を発するのに必要な口や舌・首回りの筋肉の運動や呼吸筋の訓練、実際に声に出す発声練習などを行います。また、ゆっくり区切って話す、単語や短い文にして話すなどのアドバイスをもとに練習していきます。

また、失語症同様障害の程度や理解度に応じて、その他のコミュニケーション方法の練習も選択されることがあります。

家族ができることは?

言語障害で最も重要であるのは、周囲の人間がその人のことをサポートしていくことです。

親指

言語障害を持った人は、人とのコミュニケーションがうまくいかずにもどかしさやストレスを抱えることが多くなります。そのような状況の中で、周囲の人間がイライラしたりその人を焦らせたり、自尊心を損ねるような発言をしたりすると、その人はさらにコミュニケーションが取りづらくなり、精神的苦痛を受けてしまいます。

そのため、家族や友人など周囲の人間は、言語障害があってもその人らしさを保てるように協力・サポートしていくことが必要となります。

例えば、「イエス」「ノー」で答えられるような簡単な質問をするなどの工夫、ゆっくり焦らず話してもらえるような環境作り、こちらがイライラしたり焦ったりしない
短い文や文節で区切って分かりやすい言葉で話しかけるジェスチャーを取り入れて話す紙に内容を書いて見せる
言いたい内容を察知し代弁する頻回に声をかける、そして何よりきちんと聞くという姿勢を見せることも大事です。

まとめ

言語障害を持った人は、それだけで自分自身を責めたり、不安や焦りに陥りやすい状況となります。また、多くの精神的苦痛やストレスを抱えやすい状態でもあります。

そのため、言語障害を持った人自身がコミュニケーション意欲を損なうことなく、また自尊心が保たれるような周囲の関わりや協力が重要です。

一番身近な存在である家族の協力・サポートは、言語障害のある人に対して精神的・心理的苦痛の緩和に繋がるのではないでしょうか。