熱中症を発症していることに気付かないまま対処が遅れると、命に関わることがあります。ですが、早く気付き、適切な応急処置を行えば、重症にならずにすむ場合がほとんどです。ここでは、熱中症のサインに気付いたら行うべき応急処置の方法について解説します。熱中症のサインについては、「こんな症状が出たら要注意!熱中症のサインとは」をご参照ください。また、2017年の熱中症情報については「速報!2017年夏の熱中症対策・予防」をご覧ください。

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熱中症のサインを見つけたら

炎天下にいる時や暑い部屋にいる時などに吐き気頭痛があれば、熱中症を疑ってください。自分で対応ができそうであれば、すぐに応急処置を行います。また、熱中症のサインが見られる人を発見した時にも早急に対応しましょう。

涼しい場所に移動する

建物が近くにない場所にいる場合、木陰に移動します。建物があるなら、エアコンが効いた屋内に入りましょう。

まずは日差しから遠ざかって、身体の外からの熱をシャットアウトします。

衣服を緩める

服を緩めて風通しを良くします。楽な状態になるようにベルトやバンドは緩め、ネクタイなどは外してください。

身体を冷やす

タオルを濡らして顔や手足に当てたり、うちわなどで扇いだりして身体を冷やしましょう。

首、腋窩(腋の下)、鼠径(足の付け根)には大きな動脈があり、ここを冷やすと体温を下げることができます。保冷剤など冷やせる物があれば、ここに挟んで体温を下げましょう。

水分を補給する

汗が大量に出ている場合は、水だけ補給するとけいれんが起きる場合があります。できるだけ、塩分も入ったものを飲みましょう。市販のスポーツドリンクなどで構いません。

ただし意識障害がある人の場合、無理やり水分を取らせようとすると誤嚥する可能性があるので、救急車を呼んでください。

熱中症のタイプによる応急処置の仕方

水分補給-写真
熱中症には4つのタイプがあります。詳しくは「こんな症状が出たら要注意!熱中症のサインとは」をご覧ください。もし状態を見て、どのタイプか分かるようであれば、それに合った応急処置をとりましょう。

熱失神

めまいや冷や汗、一時的な失神がみられる熱失神は、脳に血液が回りにくい状態です。足を頭より高くし、涼しい場所で休ませましょう。

熱けいれん

手足のけいれんに加えて筋肉痛などを覚える熱けいれんは、大量に汗をかいたあと、水だけ飲んで塩分を取らなかった場合に起こります。

応急処置としては、塩分の補給をしましょう。1リットルの水に9gの食塩を入れた生理食塩水を作り、それを飲むことで回復します。

熱疲労

全身の倦怠感嘔吐、頭痛がみられたら、熱疲労を疑います。

大量に汗をかいたことにより重症の脱水症状を起こしているため、塩分を含んだ水分を補給してください(スポーツドリンクで構いません)。また、脳に血液が回りにくくなっているため、熱失神と同じように足を頭より高く上げて休ませます

熱射病

体温が高く、不自然な言動や意識障害がみられる熱射病は、命の危険がある重症の熱中症です。体温が異常に高くなってしまっているため、できるだけ早く体温を下げる必要があります。

熱射病を疑ったら、すぐに救急車を呼びましょう。到着するまでの間、首や腋窩部、鼠径部に氷や保冷剤などを当て、体温を下げます。

乳幼児や高齢者の場合、脱水症状になっていても身体が反応していない場合があり、熱中症のレベルが思っていた以上に悪いことがあります。もし高齢者が炎天下で体調が悪いようであれば、自己判断はせずに病院に連れて行きましょう。

熱中症で動けない人へのすぐ行える応急処置方法-図解

まとめ

熱中症になってしまった時の、応急処置方法について解説しました。熱中症かもしれないと思ったら、早めに涼しいところに移動させ、水分・塩分を補給させることが命を救うことに繋がります。「まだ大丈夫」などと思わずに、まずはこまめに休憩を取りましょう。また、周囲で体調が悪そうな方を見かけたら、声を掛けてあげてくださいね。