2014年に流行したデング熱。国内でも感染が確認され、大きな話題となりました。「なぜ代々木公園での感染拡大したのか?」「全国拡大の可能性は?」「初期症状と対処方法は?」などを振り返ります。今後も流行の可能性は多いにありますので、正しい知識を持って適切に対処しましょう。

目次

代々木公園で感染が拡大したのはなぜ?

厚生労働省によると、「日本人か外国人か不明だが、海外で感染した人が公園を訪れた際、複数の蚊に刺され、その蚊がほかの人を刺すことで感染が広がった可能性がある」とのことです。代々木公園は①蚊の繁殖しやすい水場が多いこと②年間利用者が500万人を超えるなど利用者が多いこと③屋外イベントが多いことから感染拡大につながったと考えられます。

蚊の行動範囲は100~150mほどといわれており、1匹の蚊から感染が広がったとは考えにくいので、複数の蚊がデングウイルスを保持していたと考えられます。感染の媒体になるヒトスジシマカの生息域は、地球温暖化の影響で年々広まっているので、注意が必要です。デング熱の主な感染媒体となるネッタイシマカは、日本では常在していません。

デング熱の初期症状は?どのように対処すればいい?

デング熱の初期症状は風邪に似ているため注意が必要です。デング熱は多くの場合蚊に刺されてから4~7日突然の高熱、頭痛、目の奥の痛み、顔面紅潮、結膜充血などの初期症状が現れます。続いて全身の筋肉痛、骨関節痛、全身の倦怠感などの症状が現れます。発症から3~4日後に胸部体幹から発疹が出現し手足や顔に広がりますが、症状は1週間ほどで回復します。

ごくまれに重症化し、発熱から2~7日後に出血症状を発症する場合があります。この場合、適切な治療がなされないと死に至る可能性もあります。

<対処方法>

デングウイルスに対する特有の薬はないので、感染した場合は対症療法(表面的な症状の消失や緩和を目的とする治療法)となりますそのため、デング熱にかからないための予防がより重要です。

デング熱の予防に関しては、日本国内で使用可能なワクチン等はありませんので、まず蚊に刺されないことが有効となります。

  1. 長そで長ズボンを着用し、素足やサンダルは避けること
  2. 虫刺され防止薬を利用すること
  3. 室内の蚊の駆除を心がけること
  4. 蚊の発生源となる水場(花瓶や雨水のたまる場所など)を作らないこと

蚊に刺されてから4日から1週間で高熱が出た場合は、早めに医療機関を受診してください。

最後に

デング熱は本来、熱帯や亜熱帯で流行する病気です。東南アジアや南アジア、中南米、アフリカ、オーストラリアなどでの発生が多くみられます。しかし近年、日本国内での患者の発生もみられています。重症化することはそれほど多くない病気ですが、ごく稀に死に至る病態になってしまうこともあるので、正しい知識を持ち、予防策を講じておくべきといえます。