淋病淋菌感染症)は、若者に多く見られる性感染症のひとつです。一方で、若い人ではなくても、幅広い世代で見られる性感染症でもあり、決して他人事ではない病気といえます。今回は、淋病の症状や検査方法について説明していきます。

目次

淋病の症状とは

淋病とは、淋菌に感染することで起こる性感染症です。主な症状を、男性・女性に分けて解説します。

男性の症状

男性では、急性尿道炎が主な症状としてみられます。2日から7日ほどの潜伏期を経た後、尿に膿性の分泌物(黄緑色のことが多いです)が混じるようになり、尿の出始めに強い痛みを感じるようになります。

重症化すると淋菌が尿路をさかのぼり(上行感染)、陰嚢の痛みや腫れを伴う精巣上体炎を引き起こす場合もあります。

女性の症状

女性の場合、子宮頸管炎尿道炎を引き起こします。しかし、自覚症状が現れることは少なく、感染から数日後に外陰部のかゆみおりものの増加といった症状がみられる程度です。そのため、淋菌に感染したことになかなか気づかず、慢性化することが少なくありません。

女性では、重症化すると子宮内膜炎卵管炎を引き起こす場合があります。この場合は、発熱下腹部の痛みがみられます。

また、妊娠中の方が淋菌に感染した場合、赤ちゃんの結膜炎の原因となり、最悪の場合は失明に繋がります。

淋菌の感染経路は?

淋病は、性行為によって人から人へと感染します。稀にキスをするだけで感染する場合がありますが、これはほとんど見られないので、注意するべきなのは性行為での感染と考えて良いでしょう。

また近年では、性器以外に感染する例が見られます。オーラルセックスによるのどへの感染などです。のどに感染した場合、基本的に症状が出にくいですが、出るとすればのどの違和感痛みなどの症状がみられます。

厚生労働省の「性感染症報告数」(※)によると、平成26年における淋病患者の総数は9,805人となっています。そのうち男性は7,710人であり、女性は2,095人というデータが出ています。女性よりも男性の発症が圧倒的に多いですが、これは男性の方が強い症状が出やすく、受診者が多いためだと考えられ、実際には無症状の女性患者がかなりの数いるとの見方ができます。加えて、男性・女性ともに20代の発症率が高いことに注意が必要です。

※淋病は、定点医療機関のみの報告となりますので、全ての感染者数ではありません。

淋病の検査方法とは

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淋病の診断では、感染の原因となる淋菌の検出が必要です。

淋菌の検出には、主にPCR法が用いられます。これは、患者から分泌物などの検体を採取し、菌のDNAを増幅させることで症状の原因となっている菌を特定する検査方法です。

検体を採取するときには、男性は、やわらかい綿棒を尿道の下端に少し挿入します。強い痛みのある検査ではありませんので、心配な症状のある方は我慢せずに検査を受けると良いでしょう。女性は、膣分泌物を綿棒で採取します(ただし、生理中の検査は避けてください)。

近年、淋菌のなかでは、多剤耐性菌(抗生剤に耐性がある菌)が増えてきています。このことにより、淋病は治療が難しい病気となってきています。

まとめ

淋病は性行為による感染が多くを占めており、若い人によく見られます。また、近年では性器だけでなく、のどにも感染する例が見られるようになってきました。オーラルセックスが増えたことなど、性行為の多様化がこの原因として考えられます。

淋病の検査には、PCR法が用いられます。特に強い痛みのある検査ではないので、気になる症状がある方は一度検査を受けてみると良いでしょう。重症化すると生殖機能に影響が出ることもあるので、早めに治療を受けてくださいね。