皆さんは薬局で市販薬を購入するとき、どのようなステップで薬を選んでいますか?ネットで情報を得たり、店頭でパッケージを見たりという方が多いと思いますが、薬剤師さんに相談したことがある方はいるでしょうか。

自分の症状に合った薬をきちんと選ぶのは、意外と難しいものです。本記事では、薬剤師さんに相談する際に伝えてほしいことなどをご紹介します。

目次

私たちのまわりの、薬を相談できる環境

薬はどこで買うことができる?

市販薬は、保険薬局と薬店とドラッグストア、あるいはネットショップで購入することができます。

保険薬局は、その名の通り保険指定を受けた薬局です。薬剤師が常駐しており、医師の処方せんに合わせて調剤を行うほか、一般用医薬品による健康管理の相談に応じる役割もあります。

一方、薬店は店舗販売業の許可を得て営業しています。常駐の薬剤師や、調剤コーナーはなくても営業可能です。店名に「薬局」とつけることは禁じられています。

なお、ドラッグストアは法律的に見ると、薬局の許可を得ているものと店舗販売業の許可を得ているもの(薬店)の両方があります。

平成25年、一般用医薬品に関してはネット販売が可能となりました。実店舗が存在する薬局や薬店が、インターネット以外でも対面や電話などの相談体制を整備している場合にのみ販売が許可することができます。ネット販売で薬を購入する際も、心配なことがあれば販売者にきちんと相談するようにしましょう。

薬の専門家、薬剤師と登録販売者

「薬のプロ」というと、皆さんが真っ先に思い浮かぶのは薬剤師でしょう。もう一つ、薬に関する資格に登録販売者があります。それぞれ、医薬品についての知識を持つ専門家です。どのような資格なのか見てみましょう。

薬剤師

大学の薬学部(6年制)を卒業し、薬剤師国家試験に合格した人が持つ資格です。一般用医薬品の全てと医療用医薬品を扱うことができます調剤も行うことができます)。

登録販売者

各都道府県が行う試験に合格し、知事による登録を受けた人が持つ資格です。一般用医薬品のうち、第二類・第三類を扱うことができます。医療用医薬品は扱うことができません。

薬店では、薬剤師以外には相談できないと思っている方もいるかもしれません。しかし、登録販売者も第二類・第三類医薬品に関してはプロですので、市販薬を購入する際には登録販売者に相談してみても良いでしょう。

薬局・薬店で伝えてほしい3つのこと

おくすり手帳

市販薬・サプリメントの購入にあたって薬剤師や登録販売者に相談する場合、症状を伝えて自分に合った薬を選んでもらうことになります。あるいは、処方せんに指示のある薬を受け取る場合、アンケート(問診)をとることがあります。

処方せんには、患者さん自身の情報は記載されていません。また、市販薬を購入する際にも、今悩んでいる症状を伝えるだけでは患者さん個人の情報は伝わりません。問診がなかった場合でも、以下の情報は必ず伝えるようにしてください。

1.アレルギー・副作用歴

食べ物や薬物によって、アレルギーや副作用を起こした経験はないでしょうか?薬物アレルギーでは、薬疹と呼ばれる皮膚症状が多くみられます。一度アレルギーや副作用を起こしたことのある薬を再度服用すると、また同じ症状が出ることが考えられるので、そういった経験がある方は必ず伝えるようにしましょう。

薬には食物由来の成分が含まれていることもあるため、食物アレルギーにも気をつける必要があります。特に、痛み止め・炎症止めには卵由来の成分が、下痢止めには牛乳由来の成分が入っていることがあるので、卵アレルギーや牛乳アレルギーの方は注意してください。

2.妊娠している可能性はあるか・授乳中かどうか

妊娠中は、胎内の赤ちゃんに薬剤の影響が出てしまうことがあるため、様々な薬の服用が制限されます。成分によっては、サプリメントでも注意が必要な場合があります。

必要な薬剤に関しては適切に服用することが大切ですが、できるだけ服用を避けた方が良い成分もあるため、薬剤師に伝えた上で相談に乗ってもらうと良いでしょう。その際、妊娠週数についても伝えてください。

また、授乳中の服薬についても、赤ちゃんに影響を及ぼす薬があることが分かっています。悩んだ場合には自己判断をせず、薬剤師と相談するようにしてください。

3.毎日、あるいは定期的に飲んでいる薬やサプリメントがあるか

薬の中には、単独で服用しているときには問題がなくても、いくつか組み合わせると良くない影響が出る(効き目が強くなりすぎたり、弱くなってしまったりする)ものがあります

おくすり手帳を持っている場合は、持参した上で薬剤師に見せ、購入したい薬と普段飲んでいる薬との相互作用を確認してもらいましょう。持っていない場合や記録されていない薬がある場合も、薬の名前を控えて伝えるようにしてください。

「かかりつけ薬局」を決めてありますか?

病院で薬の処方せんを渡されたとき、あなたはどこの薬局でその薬を受け取りますか?その都度、病院の近くの薬局で受け取っているという方が多いのではないでしょうか。

できるだけ、「かかりつけ薬局(いつも行く薬局)」を決めておくことをおすすめします。処方せんは、全国どこの薬局でも有効です。複数の病院で受け取った処方せんの薬を一つの薬局で受け取ることで、薬剤師が薬の飲み合わせや重複を確認することができます。より安心して薬を服用するためにも、お近くの薬局を「かかりつけ」に決めておくことをおすすめします。

薬をもらう時以外も、薬剤師に相談してみては

薬剤師の仕事は、調剤や薬の販売だけではありません。薬に関する相談を受けるのも、大切な役割の一つです。

例えば、薬剤師は「この症状は市販薬で良くなるの?」「今飲んでいる薬が効いていないような気がするんだけど…」「他の薬局でもらった薬との飲み合わせを確認したい」といった相談にも乗ることができます。薬を購入したい時、服用している薬について疑問が生じたときなどに気軽に相談するためにも、かかりつけ薬局が決まっていると安心です。

最後に

身近な存在である薬局・薬店・ドラッグストア。薬剤師や登録販売者に話しかけるのはハードルが高いと感じるかもしれませんが、一人で悩んで薬を選ぶよりも、薬のプロにアドバイスを受けた方が、より自分に合った薬を見つけることができるのではないでしょうか。「かかりつけ薬局」という言葉を初めて知った人もいると思いますが、これを機に、気軽に相談できる薬局を見つけていただければと思います。