あなたは「小児がん」という病気を知っていますか?

ドラマや映画で患者さん役が登場したり、ニュースで患者さんが取り上げられたりしているのを見たことがある、という方はたくさんいると思います。

では、10人中7、8人が治る病気であることや、それでも未だに5歳以上の子どもが病死する原因の第1位であること病気が治った後の人生にも様々な影響が出ることをご存知でしょうか。また、そんな小児がんと向き合うお子さんやご家族、それを支える医療従事者の取り組みについて考えたことはあるでしょうか。

小児がんは、決して珍しい病気ではありません。年間に2,000~2,500人が発症しており(日本小児血液・がん学会より)、この瞬間にも治療中の子どもたちがたくさんいるのです。

小児がんのことを理解する上では、長期の入院生活を送るお子さんが過ごす環境や、ご家族の方への影響、それを支える医療従事者の方々の取り組みを知ることが欠かせません。

いしゃまちでは、国立成育医療研究センター 小児がんセンターこどもサポートチームの皆さん(11名)に取材を行いました。様々な診療科や職種で構成されたサポートチームの取材記事を通して、医療従事者のはたらきや小児がんの子どもたちの生活を知ってください。そして、今まさに治療中の子どもたちや、小児がんを経験した後に社会に戻ってきた方々のことを考える機会にしていただければと思います。

目次

小児がんセンター センター長 松本 公一先生

小児がんセンター長の松本先生に、小児がんとはどんな病気なのか、またお子さんへの病状説明はどのように行っているのかを聞きました。

多くの医療従事者で構成されるサポートチームが、実際に子どもたちや親御さんをどのように支えているのかに迫ります。


緩和ケア認定看護師 木須 彩さん

「こどもサポートチーム」のカンファレンス(会議)を取りまとめるなど、中心的な働きを担っている木須さんの役割について聞きました。

認定チャイルド・ライフ・スペシャリスト 伊藤 麻衣さん

「必要なときに手にとれる“心地よいブランケット”のような存在を目指す」という伊藤さん。その働きは、一体どのようなものでしょうか。

緩和ケア科医長 余谷 暢之先生

緩和ケアとは「Lifeを支えること」だといいます。単なる痛みの緩和に留まらず、患者さんとご家族の生活・人生を支える余谷先生の取り組みに迫ります。

歯科医師 金沢 英恵先生

金沢先生は、がん治療にともなって起こる口の中の諸症状のケアに尽力しています。小児がん治療後に起こる歯の合併症と、その対処法を聞きました。

医療保育専門士 豊田 江利子さん

長期入院の乳幼児のサポートに欠かせないのが、保育士の存在です。「入院前と変わらない生活」を送れるように支援しているといいます。

ソーシャルワーカー 鈴木 彩さん

医療費のことや学校のことなど、生活面で患者さんを支えるのがソーシャルワーカーです。入院中や退院後の生活のサポートについて聞きました。

管理栄養士 益田 静夏さん

子どもたちを食事と栄養の面で支える益田さん。その取り組みを通して、子どもたちの生活の一部を知っていただければと思います。

作業療法士 深澤 聡子さん

遊びを使ったリハビリを入院初期から行うことで、子どもたちに障がいが残ることを防げるといいます。深澤さんには、子どもたちのリハビリについて聞きました。

小児がんセンター 医員 塩田 曜子先生

主治医として、病棟でとても濃厚な時間を過ごす子どもたちと関わる塩田先生。診断から緩和まで、子どもたちと寄り添う姿が印象的です。

薬剤師 歌野 智之さん

小児がんの治療に欠かせない、抗がん剤やその他の薬。少しでも飲みやすくなるよう、薬剤師が他の職種と協力しながら、一人ひとりに合った飲ませ方を探していくのだそうです。

心理士 松元 和子さん

治療そのものには関与せず、子どもたちのこころのケアに携わる心理士さん。自らを「黒衣」に例える松元さんに、子どもたちと向き合う様子をお話しいただきました。

こころの診療部 診療科部長 田中 恭子先生

身体面の病気を持つ患者さんの心理社会的な面についてサポートしていく「リエゾン」。子どものリエゾンの第一人者である田中先生に、その現状と課題を伺いました。

※取材対象者の肩書・記事内容は取材時点の情報です。