皆さんは、ご自宅にある薬をどのように保管していますか?食品と同じように冷蔵庫や冷凍庫に入れていればいいと考えている人もいるのではないでしょうか?

薬は、保管方法が悪いと本来の効き目が得られなくなるばかりでなく、場合によっては体に有害な影響をあたえることもあります。本記事では、薬の正しい保管方法について解説します。

目次

薬を保管するときの注意点6つ

子供、びっくり

早速、薬を自宅で保管する時のポイントを見ていきましょう。

薬の保管は「室温」が基本

特に指示がない限り、薬は室温で保存するのが基本です。冷蔵庫に入れていると、出し入れした際に急激な温度差で湿気を帯び、薬の効果が薄れてしまうことがあります。

厚生労働省が出している日本薬局方(医薬品の規格基準書)によれば、「室温」は1~30℃を示します。

高温・多湿・直射日光を避ける

太陽の光を浴びたり、温度や湿度の高い場所に薬を保存しておくと、効能が落ちてしまうことがあります。特に直射日光に当たった場合、薬の成分が分解してしまう場合があるといいます。

「室温」が基本、と上でも記載しましたが、薬の保管は高温多湿を避け、日光の当たらない室内の涼しい暗所と覚えておいてください。特に夏場は、薬を受け取った後に車で移動する際などは、温度の上がりすぎを防ぐため、保冷バッグなどを用意しておくと良いでしょう。

「冷所保存」の薬は冷蔵庫へ

シロップや目薬、坐薬、未開封のインスリンなどでは「冷所保存」という指示を受けることがあります。これらの薬は冷蔵庫で保管するようにしてください。

このとき、冷凍すると薬の性質が変わってしまうので、冷凍保存は絶対に避けるようにしましょう。もしも間違って冷凍庫に入れてしまい、薬が凍ってしまったという場合も、解凍しての使用は避けてください。処方薬の場合は処方元の医師、調剤元の薬剤師へ連絡を、市販薬の場合はお客様相談センターへ連絡しましょう。

粉薬は、乾燥剤を入れた容器へ

粉薬や顆粒の薬は、湿度の高い時期には固まったり変質したりしてしまう場合があります。特に注意が必要なのは、病院で服用された粉薬です。

チャック付きのビニール袋や缶などに乾燥剤を入れ、指示が分からなくならないように薬の袋ごと保管しておく方法がおすすめです。

子供の手の届かないところに保管しましょう

小さなお子さんは、薬を誤って口に入れてしまうことがあります。手の届かないところに置くのはもちろん、薬を保管する箱は蓋付きのものにした上で、お子さんが自分で開けることができないようにしてください。

特に注意が必要なのが、服用する薬を出しておいた時です。ふと目を離したすきに口にしてしまうこともあるので、お子さんのいる過程では、保管場所から出した薬からは目を離さないようにしてください。

 薬以外のものと区別して保管する

間違って飲んでしまう可能性があるため、農薬や殺虫剤、防虫剤などとは別に保管するようにしましょう。台所で洗剤と食品を一緒に保管しないのと同じです。さらに、処方された薬については個人ごとにまとめておくと飲み間違いの予防につながります。

年に一度、薬箱を整理しましょう

1年に1回は必ず、薬箱にどんな薬が入っているのか、それらの薬の使用期限が過ぎていないかなどを確認してください。

このとき、使用期限が過ぎている薬は未使用であっても処分します。使用期限内であっても、見た目などに変化があるものは処分しましょう。

処方された薬では通常、薬の袋に書かれた日数が使用期限となります。基本的には飲みきることが原則ですが、飲み残した薬は処分してください。ただ、症状のあるときだけ飲むように指示が出た薬はこの限りではありません。下記の表を目安に保存するか、心配な場合は医師や薬剤師に相談しましょう。

錠剤 6~12ヶ月
粉薬・顆粒 3~6ヶ月
カプセル 6~12ヶ月
坐薬 6~12ヶ月
軟膏 6~12ヶ月

出典:愛知県薬剤師会を元にいしゃまち編集部が作成

外箱や袋、説明書(添付文書)は使いきるまで大切に保管しましょう

市販薬の外箱や処方薬の袋には、飲み方や使用上の注意などが記載されています。いつでも確認できるよう、薬と一緒に保管しておきましょう。

薬の箱を入れ替えたり、他の容器に入れ替えたりすると内容や使い方が分からなくなってしまいます。品質の変化の原因になるだけでなく、間違って飲む原因ともなるので、薬は必ずもとの容器のままで保管してください。

最後に

「クスリ」を逆から読むと「リスク」となります。正しい使い方をしないと、健康を害する原因にもなってしまうのです。

しっかりと保管することが、思わぬ事故の予防にもつながります。自分の身を守るためにも、薬の管理はきちんと行ってくださいね。