固いものが噛みにくくなったら、食べ物が美味しく食べられなくなったり、食事に不安を感じるようになったり、ときには生活に支障がでたりします。固いものが食べにくくなったとき、歯科医院ではどのような処置をおこなうのでしょうか。歯科医院での治療法について、説明していきたいと思います。

目次

固いものが食べにくくなる原因

固いものが食べにくくなる7つの原因」でも説明されていますが、固いものが噛みづらくなったとき、

  • 歯周病になっている
  • むし歯になっている
  • 歯が抜けてそのままになっている
  • 入れ歯や詰め物、被せ物があっていない
  • 歯並びに問題がある
  • 顎関節症になっている
  • 脳梗塞や脳卒中などの全身疾患がある

などの原因が考えられます。

今回は、口の中に焦点を絞って治療法について説明していきたいと思います。

固いものが噛みにくいときの治療法

リンゴ

歯周病

歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎の隙間の深さを検査し、歯周ポケットが4mm以上の歯があるとき一般に歯周病と診断します。

基本治療

歯周病は歯周病菌による感染症です。歯垢(プラーク)が除去されずに放置されると歯肉が炎症を起こす歯肉炎になり、さらに歯周組織が破壊され歯周病へと進行します。

治療では歯磨き指導が行われ、歯茎周囲のプラークや歯石の除去と歯周ポケット内の歯石除去を行います。

咬合性外傷とその処置

咬合性外傷とは、噛み合わせのときに加わる力(咬合力)が原因となり、歯を支える組織に障害が生じることです。一次性と二次性に分けられますが、このうち歯周病は二次性に該当します。歯周病の場合、歯周病で歯周組織が弱った場所に咬合力が加わることで骨吸収が促進、歯周病の進行が加速します。咬合調整(噛み合わせの調整)などを行い、咬合力のコントロールを行う必要があります。

むし歯

むし歯で穴が開いてしまっている歯の治療は、どのくらいむし歯が進行しているかによって変わります。

むし歯が神経まで進行していない場合

むし歯になっている部分(軟化象牙質)を取り除き、プラスチックや金属でできた詰め物や被せ物をします。

むし歯が神経まで進行している場合

むし歯が神経まで進行している場合、神経の処置が必要になります。神経を取り除き、神経が入っている管をきれいにした後、被せ物をしていきます。

欠損歯がある

歯が抜けたままになっていると、噛みにくくなるだけではなく、歯並びや噛み合わせも悪くなってしまいます。

欠損している歯がある場合、取り外し式の入れ歯ブリッジ(前後の歯を土台として削り、接着する固定式の入れ歯)、インプラント(歯を抜いた部分に人工の歯根を植え、その上に歯の形をした被せ物をかぶせたもの)という選択肢があります。

抜けてしまっている歯の場所や、周りの歯の状態、審美的な要因によって、どの治療が良いかが違います。抜けてしまっている歯がある場合は歯科医院でよく相談して、どのような治療法にするか決めてください。

入れ歯や詰め物、被せ物が合っていない

入れ歯が合っていない

まず粘膜に当たりが強いところがないかを確認します。強く当たっているところや、傷になっているところがあれば、入れ歯の粘膜面を削って調整します。

粘膜面に問題がなければ、真っ直ぐカチカチ噛んでもらい、噛み合わせを確認します。どこか数か所のみ強く噛んでいるところがあると、噛みにくかったり、痛みが出たりする原因となるので調整します。次に、ギリギリ噛んでもらい、噛み合わせを確認します。どこかが強くあたっていると、噛む動きを妨げてしまい、噛むことが難しくなってしまいます。再度、粘膜に当たりが強いところが出てきてないかを確認し、調整は終わりです。

入れ歯の調整は時間がかかり、一般的に入れ歯が完成するまでと同じくらい時間がかかるといわれています。根気よく、歯科医院に通って調整しましょう。

詰め物や被せ物が合っていない

詰め物や被せ物が少し高いだけでも、噛みにくい原因になってしまいます。

詰め物や被せ物をした後から噛みにくくなったと感じた場合は、歯科医院で噛み合わせをチェックして、削って調整してもらうようにしましょう。

歯並びに問題

歯並びが悪くて、固いものが噛みにくい場合、矯正治療が必要になります。

矯正治療は、まず検査を行い、診断し、治療を行っていきます。

マルチブラケットと呼ばれる歯の外側についているワイヤーを用いて歯を移動し、歯並びを治していくことがほとんどですが、下顎の骨が上顎に対してとても大きい場合などは、手術を行って歯並びを治す方法が一般的です。

他にも、インビザラインなどマウスピースによる矯正治療もあります。

まずは矯正治療を行っている歯科医院で、きちんとした診断を行ってもらうようにしましょう。

顎関節症

顎関節症になったら、口が開きにくい、口を大きく開けたとき音がする、痛いなどの症状がでて、固いものも噛みにくくなります。

顎関節症の治療には以下のようなものがあります。

歯牙接触癖の除去

人間の歯は、普段使っていないときには上下の歯が離れているのが通常です。しかし、常に上下の歯を接触させる癖のある方がおり、これを歯牙接触癖といいます。歯牙接触癖は顎関節症の原因となり、これを是正するように指導します。

薬物療法

痛み止めや、筋肉の血流が良くなる薬などが処方されることがあります。

スプリント療法

マウスピースによって、噛み合わせを高くして、顎に負担がかからないようにします。

関節腔注射など外科的処置

顎の関節に局所麻酔薬や痛み止め、潤滑剤のようなものを注射し、痛みをとる場合があります。

噛みにくいのを我慢したら

歯医者

噛みにくいと感じるのは、口の中に問題があるかもしれないサインです。

特に、歯周病やむし歯は初期・中期では気が付かないことが多く、放置しているとどんどん悪化してしまいます。最近固いものが噛みにくくなってきたと感じている人は、歯科医院で健診を受けるようにしましょう。

まとめ

簡単ではありますが、固いものが噛みにくくなる原因別に治療法を説明しました。

歯科医院に行くのは億劫だと思っている人は多いと思いますが、噛みにくいと感じたときは早めに対処して、美味しく健康的な食事ができるようにしましょう。