「固いものが元々噛みにくい」「年とともに噛みにくくなってきている」ということがありますよね。固いものが噛みにくいと食事もなかなか楽しめないもの。今回は固いものが噛みにくくなる原因を説明していきます。
食べ物を食べるメカニズム

まずは、食べ物を食べるメカニズムを見てみましょう。
普段なにげなく行っている食事ですが、以下の5段階に分けることができます。
先行期
食べ物を目で見て認識し、大きさや形状から食べ方を決める段階です。
同時に唾液が分泌されます。
準備期
舌を変形させ、食べ物が喉の奥に行かないように移動させます。
その後左右の歯でよく噛むことにより、食べ物を飲み込みやすい食塊にすることができます。
口腔期
形成された食塊が複雑な舌の動きによって喉の奥へと送られます。
咽頭期
複雑な動きによって食塊が気管に入らないようにし、食道へと送ります。
食道期
食道から胃へと食塊が運ばれます。
5段階中のうち、準備期に障害が出たとき食べ物が噛み難いと感じるようになります。
固いものが噛みにくい原因は!?

歯周病
歯周病はプラーク(歯垢)がきちんと清掃されず、その中の細菌が毒素を出して炎症を起こし腫れてしまう病気です。そして、進行すると歯を支えている骨が溶け、歯がグラグラと動揺します。
歯が動揺すると、固いものを噛む力が負担できなくなり噛みにくくなってしまいます。
むし歯
むし歯の原因は菌が歯垢(プラーク)の中で増え、歯の表面に付いてしまいます。そして、砂糖を餌にして酸を作ります。その酸が、歯の成分、カルシウムやリンを溶かして歯に穴を開けてしまう病気です。
むし歯で穴が開いていると食べ物を噛むところがなくなり、固いものが噛みにくくなります。
欠損歯がある
むし歯や歯周病、外傷によって歯が抜けてしまい、そのままになっているところがあると、その歯が負担していた分、噛む力が弱くなり、噛みにくくなります。
また、歯が抜けたままになっていると、両側の歯が歯のないスペースの方に動き、食べ物が噛みづらくなってしまいます。
入れ歯や詰め物、かぶせ物が合っていない
入れ歯は天然歯(自分の歯)よりも噛む力が弱いと言われています。
入れ歯が合っておらず、噛んだ時にずれてしまったり、浮き上がったりしていると、さらに固いものが食べにくくなってしまいます。
ただし、新しい入れ歯を作ったばかりの頃は、入れ歯が合っていても固いものを食べると痛みが出てしまいます。なるべく柔らかいものから食べるようにして、徐々に固いものにしていきましょう。
歯並びに問題がある
歯並びが悪いと言っても、骨格が原因のものや、歯が原因のものなどいろいろな種類があります。臼歯部開咬と呼ばれる奥歯が噛みあっていない状態の場合は固いものが噛みにくくなります。
顎関節症
顎関節症とは、顎の関節とその顎に関連する筋肉(咀嚼筋)の病気で、口を大きく開け閉めした時あごの痛みがある、口が開けにくいというのが主な症状です。
口を大きく開け閉めしたときに出る痛みにより、固いものが噛みにくくなってしまいます。
固いものが噛みにくいのは口の中の問題だけではない!

食べ物を噛むためには、咀嚼筋や舌、顎の骨などの複雑な動きが必要です。
その動きを支配している脳や神経が、脳梗塞や脳溢血によってダメージを受けたりパーキンソン病などで舌が動きにくくなる、食べ物が噛みにくいという症状が出るようになります。噛みにくさの原因は、歯以外の場所にも潜んでいることがあり、要介護高齢者ではこちらの原因により噛めなくなっている場合が多いです。
まとめ
固いものが噛みにくくなる原因は
- 歯周病になっている
- むし歯になっている
- 歯が抜けてそのままになっている
- 入れ歯や詰め物、被せ物が合っていない
- 歯並びに問題がある
- 顎関節症になっている
- 脳梗塞などの全身疾患がある
の7つが考えられます。
脳梗塞など麻痺がおこる病気になっていない人は、まず歯周病を疑い、歯科医院で健診を受けるようにしましょう。