かゆみが酷いのでなんとかしたいのだけれど、近所に皮膚科がない・忙しくて時間がないなどの理由で「本当に皮膚科へ行くべきだろうか」など悩むことはありませんか?

今回は、セルフケアできる皮膚症状とセルフケアの際に使用するお薬、そして病院へ行くべき症状についてご紹介いたします。

目次

セルフケアできるもの

①乾燥肌・敏感肌

軽い症状のものであれば、乾燥肌・敏感肌によるかゆみは保湿剤を使用することでセルフケアが可能です。ハンドクリームやボディクリーム・ローションを使用します。かゆみが強いようであれば、薬を使うこともあります。

②虫刺され

蚊、ノミ、ダニ等の虫刺されに関しては、外用薬を使用しましょう。使用してもかゆみが治まらないようであれば、皮膚科を受診しましょう。

皮膚科で診察を受けたほうがいいもの

Ⅰ.薬の副作用

薬を使用した際に、体内に成分が入る、又は触れることで痒みや発疹が起こることがあります。そのような状態を薬疹といいます。

薬疹かどうかの判定は難しいものです。何らかの薬を使用しており、乾燥や虫刺されなどの覚えがない痒みや湿疹の場合、それまでの使用した薬の名前がわかるものを持って皮膚科を受診して下さい。

薬疹は、薬をわずかに使うだけで出ることもあれば、長期間使用してから生じることもあります。また、薬の使用をやめた後も数週間から数カ月も持続することがあります。使用したすべての薬が疑いの対象になり、処方せんがいらない市販薬、点眼薬、点鼻薬、坐薬なども原因となります。

Ⅱ.皮膚のかゆみを伴う病気

皮膚のかゆみを伴うような病気の場合、専門医による適切な治療が必要になります。

住宅街などでは皮膚科は混んでいることが多いと思いますが、都市部やオフィスビル内などまで足を伸ばしてでも皮膚科を受診してもらいたいものです。

  1. アトピー性皮膚炎:ハウスダスト等が原因で生じるアレルギー疾患です。
  2. 接触性皮膚炎、かぶれ:金属アレルギーや漆かぶれ、おむつかぶれなどです。
  3. 蕁麻疹(じんましん):食べ物や薬、植物などが原因で生じたり、またストレス性のじんましんなどがあります。原因が特定できないことも多くあります。
  4. 水虫(白癬症):カビの一種である白癬菌(真菌)が手足、身体、頭皮などに入り感染すると白癬症と呼ばれています。
  5. あせも:汗腺の出口が詰まり、汗腺の出口とその周辺に汗が溜まって起こる炎症です。
  6. 乾癬:遺伝や免疫機能の低下などが関係していると見られています。菌の感染によるものではなく、名前の似ている白癬症とは全く関係ありません。
  7. 皮膚そう痒症:皮膚病や肌の乾燥がないにも関わらず、皮膚がかゆくなる疾患です。肌の一部がかゆくなる限局性と、全身がかゆくなる全身性の2つに分けられます。

セルフケア①~乾燥を防ぐ~

ドライヤー

エアコンの使用による乾燥に気を付けましょう。冬は加湿器を用いて、適度な湿度を保ちましょう。皮膚の乾燥を防ぐために、保湿剤を使用しましょう。保湿剤にも、いろいろな種類があります。

①ワセリン製剤

ワセリンは皮膚表面に薄い膜を作り、水分の蒸散を防いだり、アレルゲンの侵入を防ぎます。
⇒白色ワセリン、プロペト、サンホワイト など

②ヘパリン製剤

水分保持作用と血行促進作用があります。
⇒HPクリーム、アットノン など

③尿素製剤

尿素が古い角質を取り除き、皮膚を柔らかくし、水分を保持します。
⇒ウレパール、ケラチナミンなど

④その他

セラミドを含む保湿剤

セラミドは角質細胞の間に水分をはさみこんで保持する細胞間脂質です。

セルフケア②~かゆみを改善する~

かゆみ止めの成分が入ったものは、医薬品になります。抗ヒスタミン剤などが配合された「非ステロイド剤」と、ステロイドの配合されたものとに大きく分けることができます。

非ステロイド剤

かゆみ止めの成分である抗ヒスタミン剤が主に配合された塗り薬です。市販薬の場合、この成分に加えて抗炎症成分グリチルレチン酸や、鎮痒成分クロタミトンなどが配合されている場合があります。

虫刺され、湿疹、かぶれ、かゆみなどに有効です。

⇒ラナケイン、ユースキンI、オイラックスソフト  など

ステロイド剤

ステロイド成分は、炎症やかゆみを抑える効果が高くなります。ステロイドの中にも強さにランク付けがあり、最強・非常に強い・強い・中間・弱いの順になります。

一般的に市販薬の場合であれば、中間~強いのものまでが配合されていることが多いようです。虫刺されで使われる薬ではムヒアルファなどにも含まれています。

湿疹、かぶれ、虫刺され、ある程度のじんましんなどに有効です。

ステロイドを使用する場合は、1~2週間までと期限を決めて使用し、良くならない場合は皮膚科を受診した方がいいでしょう。

⇒ムヒアルファ、オイラックスPZなど

ステロイド剤に抗生物質を配合したもの

化膿を伴うような湿疹やあせも、かぶれ、などに使用します。化膿を伴う場所には、ステロイド剤のみの製品を使用すると悪化してしまいます。

⇒テラ・コートリル軟膏、フルコートf軟膏など

セルフケア③~衣類や寝具に注意~

衣類は肌触りが良く、吸湿性のよい木綿のものを選びましょう。

セルフケア④~洗濯はすすぎをしっかりと~

洗濯物に残った洗剤がかゆみを引き起こすことがあるので、しっかりすすぎを行いましょう。

セルフケア⑤~アレルギーの原因をさける~

特定の薬品、金属、食物でのアレルギーが分かっている場合には、その物質を避けましょう。また、アレルギーの原因物質以外でも、アルコールや香辛料は皮膚のかゆみを増すことがあります。かゆみの原因になる場合には、これらの物質も避けるようにしましょう。

セルフケア⑥~皮膚を清潔に~

汗をかいたら、こまめにふいたり、シャワーを浴びましょう。身体を洗うときは、しっかりと泡立てた泡で優しく洗います。

また、あまり意識しない方も多いかもしれませんが、爪や髪の毛は皮膚への刺激となります。掻くと傷になってしまうので爪は短くととのえ、髪の毛は顔や首にあたると刺激になるので、後ろに結んだりピンでとめておきましょう。

まとめ

今回は、「かゆみ」に対するセルフケアの方法と、乾燥対策に使う保湿剤、セルフケアで使用できる外用剤についてご紹介しました。軽いうちに早めのケアをしたり、日頃から予防・対策を行うことで、症状が重くなることを防ぐことが可能です。

なお、症状がひどくなった場合、長引く場合などは、早めに皮膚科を受診するようにしましょう。