健康診断などで、高尿酸血症と診断された方はいませんか?特に、尿酸値が高いだけで、まだ自覚症状がない場合には放置しがちです。ここでは、高尿酸血症の治療に焦点を当て、生活習慣の改善や薬物療法について紹介します。

目次

高尿酸血症の治療

高尿酸血症と診断されたら、まずはその尿酸値の数値が重要になってきます。高尿酸血症であれば、尿酸値を7.0mg/dlを超えないようにすることが必要とされています。

治療としては、まずは食生活や運動などによる生活習慣の改善が基本です。しかし、食事・運動療法では数値が改善しない場合や、合併症として痛風などの症状がある場合は薬物治療が必要になってきます。

痛風などの合併症がない場合には、生活習慣の改善だけで経過を見ることもあります。高尿酸血症を改善するための生活習慣の見直しや薬物療法についてご紹介します。

生活習慣の見直し

食事の種類やカロリーに気をつけて

食事による摂取カロリーを制限することが必要です。これは尿酸値の高い人は肥満であることが多いためです。摂取カロリーに気をつけた食事を摂ることで肥満を解消すれば、尿酸値を下げることができます。同様に、早食いや不規則な食事にも気をつけるようにしましょう。

また、食事で特に気をつけた方が良いものとしては、プリン体を多く含む食品です。プリン体は体内において尿酸を合成する原料となり、尿酸値を上げてしまいます。レバー、カツオ、サンマの干物などが尿酸値を上げやすい食品です。特にお酒と共に食べるおつまみの内容には気をつけましょう。

高尿酸血症に起こり生じることがある尿路結石を防ぐためには、尿をアルカリ性にすると良いため、野菜や海藻類などを積極的に食べるようにしましょう。

アルコール摂取に気をつける

アルコール摂取も大きく関わっています。アルコールには尿酸の産生を増加させたり、排泄を低下させる働きがあるからです。特にビールはプリン体を多く含んでいるため控えた方が良い食品の代表です。休肝日を設けるようにし、ウイスキー、ブランデー、焼酎などを選ぶようにすると良いでしょう。

運動は無理せず気楽に継続

肥満と高尿酸血症は関係が深いとされています。運動は肥満解消には効果的な方法で、エネルギーを消費することで肥満が解消されれば、尿酸値を低下させやすくなります。肥満解消には、特に有酸素運動が効果的です。ただし、継続して行えることが大事なので、簡単なジョギングやウォーキングなどできる範囲でスタートしましょう。

1つ注意しなくてはならないのが、激しい運動はNGということです。運動によるエネルギー消費によって体内のエネルギー物質ATPを分解してしまうことで尿酸を産生してしまうことになり、尿酸値を上げてしまう可能性があるのです。軽めの運動を継続して運動を行いましょう。

適度にストレスを解消しよう

ストレスを溜めるのも禁物です。ストレスによって「アドレナリン」というホルモンが分泌され、血管が収縮することで尿酸の排泄が低下するとも考えられており、尿酸値を上げてしまうことにつながります。

ストレスをなるべく感じないように生活することが望ましいですが、現代社会においては完全には避けられません。趣味や運動などでストレスは溜めないうちに解消するようにしましょう。

高尿酸血症の薬物治療

中年男性と薬-写真

尿酸降下薬:尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬

生活習慣で改善されない場合や、痛風の発作などの合併症が起こしたことがある場合には尿酸降下薬により尿酸値を下げる薬物治療が行われます。「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版2012年追補版」において以下の場合には薬物療法が望ましいとされています。

  • 痛風発作を起こしたことがある、または痛風結節のある方
  • 尿酸値が8.0mg/dl以上で合併症のある方
  • 尿酸値が9.0mg/dl以上の方

また、尿酸降下薬には、下記のような尿酸の生成を抑える「尿酸生成抑制薬」と排泄を促す「尿酸排泄促進薬」があり、それぞれの高尿酸血症のタイプに合わせて医師の判断により薬が選択されます。

尿酸値は、急に下げると痛風発作などが起こることもあるため、基本的に3〜6ヶ月かけて「ゆっくり、しっかりと下げる」ようにします。また、尿酸値が下がったら飲むのをやめるのではなく、継続して飲み続けることで尿酸値をコントロールする必要があります。

痛風発作の場合には、まず痛みを鎮める

高尿酸血症が長期間に渡った結果、痛風を発症してしまった場合には、尿酸値をコントロールすることではなく、関節炎などの発作を鎮める方を優先して治療します。

痛風発作時の薬としては非ステロイド系抗炎症薬とステロイド薬があります。これ以外にも、発作の予兆がある場合に、「コルヒチン」という薬を飲む場合もあります。痛風発作時に気をつけなければならないのは、このタイミングで尿酸降下薬を使用すると、尿酸が急激に下がることで、むしろ発作が悪化する場合もあることです。発作時の薬の服用については医師に相談して、指示に従うようにしましょう。

まとめ

高尿酸血症と診断された方は不安かもしれませんが、きちんと治療をすれば改善する見込みのある疾患です。まずは、医師と相談して尿酸値の程度と、合併症の有無から治療方針を決めていくようにしましょう。そして、食事・運動療法によって生活改善を行いつつ、必要に応じて、薬物療法を受けるようにしましょう。

生活習慣の改善は、高尿酸血症に限らず、いろいろな病気を予防する上でも必要なことです。ぜひ、この機会にまずは生活習慣の改善から取り組むことをおすすめします。