体調が悪いときよく現れる症状に発熱があります。発熱する原因はたくさん考えられるため、何が原因かは詳細な検査や付随する症状で判断することになります。ここでは発熱に加えて腹痛があるときに考えられる原因について紹介します。

目次

発熱とは

発熱とは体温調節の機能を持つ視床下部が刺激されて生じる現象です。体温には個人差があり、小児や高齢者など年齢によっても基準が異なってくるため平熱と比較していくことが大切です。

発熱の原因は?

発熱の原因は、体内にウイルスや細菌が侵入して起こる感染症が一般的です。ウイルスや細菌といった病原体が侵入すると、白血球やマクロファージなどの細胞が攻撃します。そのためには体温を上昇させて病原体の繁殖を抑え、免疫機能を高める必要があります。発熱自体は体内の健康を保つために必要な機能ですが、原因となる病気によっては早めに治療することが求められる場合もあります。

発熱と腹痛が同時に起こるときに考えられる原因は?

考える女性-写真

発熱だけでは原因となる疾患は判別できませんが、他の症状が伴う場合はある程度予測することができます。そこで、発熱と腹痛が同時に起こるときに考えられる原因を6つ紹介します。

感染性胃腸炎

細菌やウイルスが腸管の中に侵入し、感染することでかかる病気です。ウイルス感染による胃腸炎は秋から冬にかけて流行します。原因となる菌はさまざまです。途上国を訪れる人たちが注意しなければならない赤痢コレラ、この後紹介する食中毒も感染性胃腸炎の一つです。腹痛下痢吐き気嘔吐を伴いながら発熱も生じます。

虫垂炎

典型的な場合、発症した直後はみぞおちに痛みが生じますが、数時間かけて徐々に痛みは右下腹へ移動していきます。激しい痛みが生じますが、下痢や嘔吐はあまり見られません。腹膜炎などより重症化していく危険性があるため、早めの対応が必要です。

膵(すい)炎

胆石やアルコール摂取により膵臓に炎症が生じて起きる病気です。お腹の左上側に激しい痛みを覚える他、嘔気(おうき)嘔吐、発熱、背中の痛みを生じます。重症化すると命に関わるため、症状がみられたらただちに受診してください。

胆嚢(たんのう)炎、胆管炎

脂肪の消化吸収を助ける胆汁を蓄えておく胆嚢と、胆嚢と十二指腸、肝臓をつなぐ管である胆管に炎症が生じる病気です。主な原因は細菌感染ですが、患者の9割に胆石が見られています(Eisai|胆嚢炎・胆管炎とはより)。胆石により胆管がつまってしまうことで細菌が増殖し、感染症を引き起こします。右上腹の痛み発熱、嘔吐、悪寒などの症状が見られます。お年寄りは重症化することもあるため、早めに受診しましょう。

腎盂(じんう)腎炎

細菌が尿の出口である尿道から侵入し、尿がたまる腎盂内で繁殖して腎臓まで炎症してしまう病気です。みぞおち辺りをはじめ背中腰に痛みを生じ、発熱も伴います。吐き気悪寒といった症状が見られることもあります。症状が重たくなると細菌が血流に乗って全身に広がってしまうため、命に関わる危険性があります。

食中毒

食中毒でも、発熱がみられる場合があります。食品に含まれるウイルスや細菌を食事中に体内へ取り込んでしまい、増殖した病原体に感染することで発症します。あらかじめ病原体が増殖している状態の食物を食べることでも発症します。冬に流行するノロウイルスや夏から秋にかけて多発する腸管出血性大腸菌O-157による感染が知られています。腹痛下痢一時的な発熱が出ることもあります。何度も水のような下痢を繰り返したり、激しくおなかが痛む場合は特に注意が必要です。

まとめ

発熱だけでは原因はなかなか分かりづらいですが、付随する症状が現れたら原因を推測できます。発熱と同時に腹痛があった場合は重篤な症状が潜んでいる危険性もあります。ここで挙げた病気以外の疾患が原因となっている可能性もあるので、早めに内科消化器科、胃腸科、泌尿器科を受診しましょう。