生理はだいたいひと月に1回、1週間程度続くのが一般的ですが、個人差やその時の健康状態や環境によって変動することがあります。生理は、緻密なホルモンバランスの上に成り立っているため、ストレスなどでホルモンバランスが崩れることで、排卵が起きない、不正出血が起こる、生理が遅れるなどの月経異常に繋がる場合があります。ここでは、生理について詳しくお話ししたいと思います。

目次

そもそも生理ってなに?

生理(月経ともいいます)とは、1か月の間隔で起こり、数日で自然に止まる子宮内腔からの周期的な出血のことをいいます。

この周期的な出血は、赤ちゃんを妊娠するために増殖した子宮内膜が、その役目が必要ないと指令を受けることで起こります。子宮という土台の上に、子宮内膜というクッションをどんどんふかふかにしていって、受精卵が来るのを待っていますが、来なかった場合はクッションの必要がなくなり、出血という形で外に排出されます。そして、次の機会のために子宮内をきれいにし、新しいクッションの準備をします。この一連の流れが生理周期になります。

受精卵が来た場合には、クッションの中に受精卵が入り込み、そこで赤ちゃんは成長していきます。

生理周期について

生理(月経)周期は、生理開始日から次回の生理開始日前日までの期間をいいます。28~30日周期であることが多いですが、個人差が大きいため25~38日周期の範囲であれば多少のばらつきは正常範囲とみなされます。生理周期は、卵胞期、排卵期、黄体期の3つに分かれます。

卵胞期

脳から出る卵胞刺激ホルモンの指令を受けて、卵巣の中で卵子の元となる細胞が、卵胞になり排卵できる状態まで成長していく期間です。28日周期の場合だと、生理開始日から2週間ぐらいの期間になります。この間に卵胞から出るホルモン(エストロゲン)によって、子宮では、新しいクッション(内膜)をふかふかにして準備を整えていきます。

排卵期

脳から出る黄体化ホルモンの指令を受けて、卵巣で成長した卵胞から卵子が飛び出し、排卵が行われます。28日周期の場合だと、生理開始日から14日後あたりになります。排卵された卵子が、精子と出会い受精すれば受精卵となって卵管内をコロコロと子宮内を目指して移動していきます。

黄体期

排卵した後、卵巣内に残った卵胞は黄体と呼ばれ、黄体から分泌されるホルモン(プロゲステロン)によって受精卵が着床しやすくなります。28日周期の場合だと、排卵後から2週間ぐらいの期間になります。クッションはよりふかふかになっていき、受精卵が着床すれば妊娠成立となります。受精卵が来ない場合や、着床がうまくいかなかった場合は、約2週間で黄体が消えていくためホルモンが激減し、生理が起こります。

生理の色や量について

生理-写真

生理は血液ですので、色は赤や茶、黒っぽいこともあります。これは異常ではなく、血液の性質として色が変化するのは正常です。子宮や膣内に停滞した時間の分だけ、色は茶色や黒っぽくなります。

通常、ひと月の生理の量は20~140ml(平均50~70ml)ですが、測ることは難しいため、判断に困るかと思います。目安として、ナプキンを1時間で交換する必要がある場合は多いと考えられます

こんな場合は受診をしましょう

生理周期で起こる様々な変化は、脳の下垂体から出る卵胞刺激ホルモン(FSH)・黄体化ホルモン(LH)や、卵胞ホルモン(エストロゲン)、黄体ホルモン(プロゲステロン)などの増減によって綿密に調整されています。

1つのホルモンの増減で生理周期が調整されているわけではなく、女性の体は非常にデリケートです。ホルモンの異常の他にも、卵巣・子宮などの異常によって生理の異常が起きる場合があります。下記のような症状がある場合には、なんらかの原因が隠れている場合がありますので、婦人科を受診することをおすすめします。

  1. 生理痛が異常に強い
  2. レバーのような固まりがたくさん出る
  3. 生理の期間が長くて(8日以上)出血量も多い
  4. 生理の時以外に少量の出血が続いている
  5. 外陰部にかゆみや痛みがある

まとめ

胃やお腹の不調と違い、生理に関する悩みは、相談する人や場所を選ぶため、気軽に相談できない方も多いかと思います。なにかおかしいと感じながらも、そのままの方もいらっしゃるかもしれません。生理に関して不安なことやなにかおかしいなと思いことがあれば、婦人科を受診することが一番の解決になります。

婦人科の病気は早期の治療で完治するものが多く、時間が経てば経つほど悪化し、不妊や不育症に繋がったり、命に関わる状態になる場合も少なからずありますので、早めの受診をお勧めします。また、異常を感じていない場合も、20歳以上の方は1年に1回は子宮頸がんの検診を受けましょう。