妊娠中にアルコールを飲んではいけないという話はよく耳にされるかと思います。

少しなら良いんじゃないかと思う方もいるかと思いますが、妊娠中の飲酒は赤ちゃんの一生を左右してしまう危険性があり、厳禁です。

ここでは、飲酒によってお腹の中の赤ちゃんにどんな影響があるかを詳しくお話ししたいと思います。

目次

飲酒による赤ちゃんへの影響

妊娠中の飲酒は、流産や死産のリスクを上げることがわかっています

また、アルコールには催奇形性(奇形が発生する危険性)があるとされ、赤ちゃんに先天異常(生まれつきの病気)を起こすことがあります。

胎児性アルコール症候群(FAS)について

アルコールによって引き起こされる先天異常のことを胎児性アルコール症候群(FAS)といいます。

胎児性アルコール症候群の具体的な赤ちゃんへの影響として、下記のような病気が挙げられます。

  • 赤ちゃんが成長しなくなってしまう(子宮内胎児発育遅延、成長障害)
  • 小脳低形成(小脳が小さく、立ったり座ったりすると身体がふらつく、発音がうまくできないといった症状を起こす)
  • 難聴
  • 精神発達遅滞
  • 多動症
  • 平らな顔、小さい顎、小さい目、低い鼻、薄い上唇など、胎児性アルコール症候群による特徴的な顔つき
  • 小頭症、心奇形、関節異常などの奇形

このほか、ADHDやうつ病、成人後の依存症との関係も示唆されており、胎児性アルコール・スペクトラムと呼ばれることもあります。

お酒は少量なら大丈夫?

飲酒量に比例して、胎児性アルコール障害のリスクは上昇していきます。

少しのお酒なら大丈夫なの?と思うかもしれませんが、ごく少量の飲酒でも発症例が報告されており、この量なら大丈夫という安全量は確立されていません。

逆に、1日に純アルコール(エタノール換算)60ml 以上の摂取で高頻度に発症することはわかっています(厚生労働省より)。
少量であっても妊娠中の飲酒は控えましょう。

また、少量で長期間の飲酒と、短時間で大量の飲酒をした場合では、後者のほうが胎児性アルコール症候群のリスクが高くなることがわかっています。

今日だけ…と飲酒を許してしまうことのないように注意しましょう。

妊娠時期によっては大丈夫?

妊娠初期と後期では、特に初期の方が胎児性アルコール症候群のリスクが高いです。

ですが、成長障害や脳障害など、出生後に影響が出てくるケースは妊娠中期から後期の飲酒が影響しているとされています。そのため、妊娠全期間を通して、飲酒は避けるべきと言えます。

胎児性アルコール症候群の治療法は?

胎児性アルコール症候群には治療法がなく、母親の妊娠中の飲酒が赤ちゃんの人生を奪うことになりかねません。

胎児性アルコール症候群の特異的顔貌や低体重は、子どもの成長とともに次第に目立たなくなっていきますが、精神発達遅滞やADHD、うつ病などの精神面の障害は、成長とともに浮き彫りになっていく場合があります。

胎児性アルコール症候群は、非遺伝性精神発達遅滞の原因で最多となっています。妊娠中の飲酒をやめることで回避できる病気ですので、妊娠中の飲酒は絶対にやめましょう。

まとめ

胎児性アルコール症候群は、妊娠中に飲酒をしなければ起こることのない病気です。

飲酒は妊娠のどの時期にあってもリスクがあり、少ない量でも赤ちゃんへ影響が及ぶ可能性があります。

妊娠検査薬で陽性が出た段階で、すでに赤ちゃんはお腹の中で成長しているため、妊娠を希望される方は、妊活の段階から禁酒すると安心です。