今回は保健所で行われている手厚い母子保健サービスの紹介です。例えば文京区では、生後4ヶ月までの乳児がいる全家庭を訪問し、不安や悩みを聞き、情報提供を行っています。意外に手厚い母子保健サービスのことを知らない人は、これを機に是非知っておくべきです。自治体によって違いもあるので、自分が使えるサービスを上手く利用して、賢く生きましょう。

目次

保健所って何やってるの?

「保健所」といっても多くの人は、一体何を行っている組織なのかイメージがわかないでしょう。かくいう私も研修医であるにも関わらず、「保健所の役割」をあまり把握していませんでした。

今年(2014年)の9月に、研修医として1ヶ月間文京区の保健所で研修を行いました。1ヶ月ではありますが保健所の中で、一体何が行われているのかを学ぶことが出来ました。

保健所の役割

上記の図が、私が研修した文京保健所の役割です。

冒頭の例ですが、私は赤ちゃんがいる家庭に対してこのような手厚いサービスが行われているとは全く知らなかったので驚きました。

このサービスは保健所の重要な役割の一つであり、上図の疾病予防に属する「母子保健事業」の一環なのです。

「母子保健」って何?

母子保健法によると、「母親、乳児、幼児の健康増進のために、保健指導、健康診査、医療などの手段を通じて行う保健事業」のことです。

もう少しわかりやすく説明しますと、

1.妊娠から出産が安全に

2.安心して子育て

3.病気と事故を未然に防ぐ

4.病気や障害と共に生きるためのサポート

このようなことを行っています。こちらの厚生労働省の資料が非常に分かりやすいので、是非見てください。

母子保健関連施設の体系

日本の母子保健は世界No.1

例えば乳児死亡率は出生1000人に対して2.1人(2013年)であり、アイスランドなどの国と共に世界トップです。日本でも1955年は39.8人だったこと、2012年のデータでシェラレオネ 117人、コンゴ 99人、アメリカ6.0人、イギリス4.1人であることと比較すれば、今の日本がいかに恵まれているかがわかるでしょう。

世界に名だたる母子保健手帳

1942年の妊産婦手帳にまで起源を遡る「母子保健手帳」は、日本の母子保健を増進していくのに大きな役割を果たしてきました。

母子手帳

中には妊婦健康診査や乳幼児健康診査の結果、保健所による訪問指導の記録、体重や身長などの発育の記録、予防接種の接種状況の記録がなされています。

一番の意義としては、妊娠期から乳幼児期に至るまで、母子の健康に関わる重要な情報が全て一つの手帳で管理されていることです。病院や保健所の医療関係者、保護者を含め、関わる人々皆が記載していく手帳なのです。

またネット上に様々な知識があふれている中、母子保健手帳には信頼性の高く、妊娠期から乳幼児期に役立つ様々な情報が記載されており、保護者への情報提供媒体としても優れています。

いつ、どこで母子保健手帳をもらうの?

だいたい妊娠10週以降で、病院の超音波検査(エコー)で頭殿長(CRL;赤ちゃんの頭からおしりまでの長さ)が2cmくらいになった頃、自分の住んでいる市町村の役所で「妊娠届」を提出した時にもらうことが出来ます。

他にも色々なサービスが!

母子保健サービスは区市町村により異なるので、主に文京区で行われているサービスを紹介していきます。

・   妊婦健康診査、乳幼児健康診査/歯科健診

・   定期予防接種

・   妊娠届出時面接:母子手帳を発行する際には、保健師との面接を行う。

・   両親学級:初めて親になる妊婦、夫を対象に、子育てのための講義やおむつ交換の実習を行う。

・   アレルギー相談:子どものアレルギーが疑われる時に、専門医の診察を受けることが出来る

・   他に「ふれママ」、「おしゃべりルーム」など地域の母同士で交流出来る場作りを行ったり、「双子の会」、「ダウンの会」などの自主グループの支援も行っている。

基本的に保健所のサービスは無料、安価なことが多いので、是非是非活用してみてください。

最後に

地域によって母子保健サービスの内容は異なります。各自治体はホームページで情報公開していますので、そちらを見てみたり、あるいは直接問い合わせてみてください。

今後出産する予定のある方が引っ越す場合には、予め母子保健サービスについて調べてみるといいかもしれません。