妊娠がわかって幸せな日々…。だけど、最近頭痛が続いてるのは一体なんなんだろう?と不安に思われている妊婦さんもいらっしゃることでしょう。妊娠中に起こりやすいトラブルの一つに頭痛があります。ここではそんな妊娠中の頭痛の原因、隠れた病気の存在についてお話ししたいと思います。

目次

妊娠中の頭痛はなぜ起こるの?

妊娠中、特に妊娠初期に頭痛になる方は少なくありません。原因として以下の3つが考えられます。

1.ホルモンの変化

妊娠初期にはホルモンのバランスが大きく変化するため、様々な体の変化が起こります。

女性ホルモンの一つにエストロゲンというホルモンがあります。このホルモンが少なくなることで、セロトニンというホルモンの量も少なくなります。セロトニンは脳への血液量を調整する役割があるのですが、少なくなることで血管が拡張し脳への血液量が増え、神経を刺激し、頭痛を起こすことが知られています。

エストロゲンの分泌は排卵前にピークとなり、排卵後に分泌が少なくなります。生理前にも頭痛を起こす方が多いのはこれが原因の場合が多いです。そして、妊娠した場合は、胎盤ができた頃(妊娠15週頃)に少しずつエストロゲンの量が増えていくため、頭痛も少しずつ治まる方が多いです。片頭痛持ちの方も、妊娠後期は頭痛の頻度が少なくなることが多いそうです。

2.貧血

妊娠中、赤ちゃんを育てるために鉄分は非常に重要となります。お母さんの鉄分の摂取量が少ないと、体内に蓄えている鉄分をどんどん使っていくため、お母さんは貧血となってしまいます。貧血になると、血液中の酸素を運ぶ役割を担うヘモグロビンが足りなくなるため、体中が酸素不足となります。そして、脳の酸素が不足することによって頭痛が引き起こされる場合があります

頭痛以外にだるさやめまい、立ちくらみなどが起こるようであれば、貧血が原因かもしれません。

3.疲れ

肩こりや腰痛、眼精疲労など体の疲れから頭痛が来る場合もあります。妊娠中は非妊娠時と比べて疲れやすく、妊娠前と同じ生活をするには無理があります。

仕事や家事、上のお子さんのお世話など、妊娠前と同じようにしようと頑張りすぎてはいないでしょうか?旦那様やご両親など、頼れる人にはしっかり頼って、休む時間をしっかりとるようにしましょう。

こんな頭痛は危ない!?

頭を抱えた女性-写真

妊娠中に起こる頭痛の大半は、様子を見れば軽快していきます。ですが、中には緊急を要する頭痛が潜んでいる場合もあります。

重篤な妊娠の合併症よる頭痛

妊娠高血圧症候群子癇発作などの重篤な妊娠の合併症の症状として、頭痛が起こる場合があります。頭痛の起こる原因が高血圧によるものなので、もし高血圧を指摘されている妊婦さんで頭痛の症状が表れた場合は早めに診察を受けましょう。

脳血管疾患による頭痛

妊娠中は心臓や血管系に大きな負荷がかかった状態になります。妊娠後期には血液中の液体成分(血漿と言います)量は非妊娠時の40~50%も増え、心拍数は非妊娠時の20%まで増えます。

全身の血液をお母さんの心臓一つで回すため、心臓から遠い足の血管は血流が悪くなります。さらに妊娠中は血が固まりやすくなっているため、血栓(血の塊)を作ってしまう場合があります。この血栓が脳に行くと脳血栓症となります。突然に半身のマヒや言語の障害によって始まることが多く、頭痛が症状として出る場合があります

また、脳動脈瘤という脳の血管に瘤(こぶ)ができる病気や、脳動静脈奇形という脳血管の動脈と静脈の繋がりが通常と違っている病気に、本人も気づかないまま罹っているという場合があります。ご家族にこのような病歴をお持ちの方がいる場合は危険性が高いことを覚えておきましょう。

脳動脈瘤や脳動静脈奇形はくも膜下出血や脳出血を起こす病気で、特に妊娠中は血液量も増え、血圧も上昇傾向にあるため、発症の危険が高くなります。多くの場合、突然意識の障害が出ます。半身マヒや言語障害がおき、特にクモ膜下出血の場合はバットで殴られたような激しい頭痛が特徴です。

このような脳血管疾患を発症することは稀ではありますが、いつ誰が発症するかはわかりません。知識として知っておくことは非常に大切です。

まとめ

妊娠中の頭痛は一過性のものがほとんどですが、上記のような重篤な病気が潜んでいる場合もあるため、健診の際には医師に症状について報告しておきましょう。また、ご家族に高血圧や脳血管疾患をお持ちの妊婦さんは通常より脳血管疾患のリスクが高くなることを知っておきましょう。