膣カンジダは体の中で自然に繁殖する菌(常在菌といいます)が一時的に増えて起こる病気です。繁殖の原因ははっきりしておらず、外陰部のかゆみや痛み、おりものがカッテージチーズ状になる等の異常がでます。症状を感じたら早めに医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。放っておくと日常生活に支障を感じることもあるので、恥ずかしがらずに治療を受けることが大切です。

目次

病院で行う治療とは?

膣カンジダを疑った場合は、婦人科か産婦人科、性病科を受診しましょう。検査では膣、外陰部の症状を調べ、膣鏡を入れておりものを診ます。膣カンジダと診断がされれば、カンジダ菌は水虫の原因菌である白癬菌などと同じ真菌ですので、これを抑える抗真菌薬が処方されます。

薬というと水で飲むものや塗り薬を想像するかもしれませんが、膣カンジダで使用するのは膣錠という、錠剤を膣に入れて治すタイプの薬です。カンジダ菌にはクロトリマゾール、オキシコナゾール硝酸塩などの抗真菌剤が使われ、治療期間は6日間程度で済みます。

治療中に気を付けることは?

膣内に錠剤を入れて治療を行っているときは、ビデ(膣内洗浄)やタンポンの使用をやめましょう。膣から薬が洗い流されてしまうので、効果が弱まる可能性があります。感染の確率は数%と低いですが性交渉を控え、パートナーが不快な症状を訴えた場合には、パートナーにも医療機関を受診してもらいます。

そのほか、タオルの共用、外陰部を掻いたり、石鹸で強く洗ったりする行為も避けましょう。

入浴時には軽く洗い流す程度にとどめることで、炎症がひどくならずに済みます。

市販薬は使ってもよい?

薬局などでも膣カンジダの治療用の膣剤やクリームなどの外用剤が売られていますが、その多くが膣カンジダの再発治療薬です。過去にカンジダ菌で医師の診断と治療を受けた方に限り、使うことができる治療薬です。また、再発でも他の病気の可能性がある場合は、医療機関の受診が必要となるので、必ず医師の診断を受けるようにしましょう。

再発を防ぐためには?

手を伸ばす女性

膣カンジダは、20~60代の女性の5人に1人は発症したことがあり、その半数以上が再発をしているというデータがあります。カンジダ菌は元々身体にいる常在菌なので誰もが発症する可能性を持つ病気であり、治癒しても免疫力の低下やホルモンバランスの変化などの要因によって、カンジダ菌が増殖すると再発してしまうのです。

1.健康的な生活を

身体の免疫機能が落ちたときにカンジダ菌が繁殖しやすくなるので、日ごろからバランスのとれた食事をとり、十分に休息をするようにしましょう。

2.乾燥を保つ

カンジダ菌は温度や湿度が高いときに繁殖しやすいので、できるだけ乾燥を保ちましょう。入浴や水泳をした後は、膣の外側を十分に乾かします。濡れた水着や湿った衣類はできるだけ早く脱いで着替えます。おりものシートなどの衛生用品を使うときはこまめな交換を心掛けましょう。下着は綿などの素材の通気性の良いものを選び、むれやすいストッキングはなるべくはかないようにします。

3.刺激を避ける

外陰部を石鹸などの刺激から守るために、入浴をするときはお湯だけで軽く洗う程度にとどめます。

4.清潔さを保つ

下着やタオルはまめに取り換えて、毎日清潔なものを使いましょう。できれば感染を避けるためにも、タオルなど身体に触れるものは家族と共用しないで一人一人で使う方が良いです。

5.腸からの感染を防ぐ

カンジダ菌は腸にもいるので、感染を防ぐためにトイレの後は前から後ろにふくようにします。外陰部がかゆくなってもなるべくかかないようにしましょう。悪化したり感染が広がったりする可能性があるからです。

まとめ

膣カンジダは真菌のカンジダ菌が原因となって起こるので、治療には抗真菌薬が使われます。治療が終わった後も再発しやすい病気なので、再びかからないように普段から身体の抵抗力を強めるように意識しましょう。バランスのとれた食事と睡眠を取る、乾燥と清潔を保つ、刺激を避ける、腸からの感染を防ぐなどに気を付けることが大切です。