赤ちゃんのよくあるトラブルのひとつに下痢があります。小さな赤ちゃんが下痢をしてしまう原因にはどのようなことがあるのでしょうか。受診するタイミングや予防・対策などもあわせてみていきましょう。
赤ちゃんの下痢とは
下痢には軟便・泥状便・水様便があります。形があれば軟便、形がなければ泥状便、水のようにオムツに全部しみ込んでいれば水様便といいます。
赤ちゃんは離乳食が始まるまでは母乳やミルクのみで栄養を補給しているので、便も大人と比べるとやわらかいのが基本です。中でも、母乳で栄養をとっている赤ちゃんの方が人工栄養(ミルク)の赤ちゃんよりもゆるくて水っぽいという特徴があります。
そんな赤ちゃんの便ですが、いつもよりもはるかに便がゆるい場合や、いつもよりも回数も多く、量も多い場合は下痢と判断されます。また、回数は少なくても急に水っぽい便になったときも下痢といえます。形がある軟便の場合は、治療対象にはなりません。
赤ちゃんは大人と違って体も小さいため、下痢が長引いてしまうと脱水症状をおこしてしまう可能性があります。そうならないためにも赤ちゃんの下痢の特徴をしっかりと把握しておく必要があるのです。
「心配いらない下痢」と「心配な下痢」
赤ちゃんが下痢になったときまずは、落ちついて赤ちゃんの状態や便の状態を確認するようにしましょう。下痢にも「心配いらない下痢」と「心配な下痢」があります。
心配要らない下痢
- 回数は多少増えたが機嫌は良い
- 食欲がある
- 発熱など下痢以外の他の症状がない
- 初めて与えた飲み物や食べ物の後に下痢をしたが
少しずつ元に戻りつつある
心配な下痢
- 下痢があり不機嫌であやしても笑わない
- 母乳やミルクの飲みが悪く食欲もない
- 白っぽい水のような便
- 下痢に血が混ざっている
- 嘔吐や発熱など下痢以外の症状もある
まだ喋ることができない赤ちゃんにとって、機嫌や便は赤ちゃんの健康を知るためのバロメーターとなります。下痢になったときは、上記のどちらに当てはまるのかを落ちついて観察しましょう。
赤ちゃんの下痢の原因
下痢になる原因は大人と同じで様々な原因が考えられますが、大きく分けると感染性のもの(感染症が原因となるもの)と非感染性のものがあります。
非感染性のもの
冷えや消化不良、アレルギー、抗生物質の内服などが原因としてあげられます。また下痢が長引くと、母乳やミルクに入っている乳糖を分解できずに下痢となる2次性乳糖不耐症となることがあります。
すぐに症状が改善する場合は問題ありません。
感染性のもの
赤ちゃんの下痢に一番多いのがウイルス感染による下痢です。ロタウイルスやノロウイルスなどが代表的で、冬に流行します。便が白っぽくなることもあり、嘔吐をともなうこともよくあるので脱水をおこしやすいため注意が必要です。食中毒など細菌性の下痢の場合は魚の腐ったような臭いがしたり、便に血が混じったりすることもあります。
赤ちゃんの下痢がひどい場合や症状がなかなか良くならない場合は、必ず小児科を受診するようにしましょう。便に血が混じっていると考えたら、必ず便をおむつごと医師に見せてください。
受診するタイミング

「下痢ぐらいで小児科を受診してもいいのか」と悩む人もいるかもしれませんが、赤ちゃんの体調の変化はある日突然やってきます。回復も早いですが悪くなるのも早いのが赤ちゃんの症状の特徴です。「心配な下痢」に当てはまるようならば早目に小児科を受診するようにしましょう。
また、血便と同時に激しく泣く・嘔吐も伴ってグッタリしているなどという場合は、小腸が大腸に入り込んでしまい腸閉塞のような状態になってしまう腸重積の可能性もあるので夜中でも受診しましょう。
また機嫌もよく「心配いらない下痢」だったとしても、急に症状が悪化したり、その他の症状もでてきたりした場合は早い段階で受診が必要です。受診しようか迷うときは念のため受診したほうが安心できるので、遠慮せずに医師に診てもらうことをおすすめします。
上記の通り、受診の際は便のついたオムツを持参してください。
赤ちゃんの下痢対策と予防
赤ちゃんが下痢になった場合の対策としては次のようなことがあります。
水分はしっかりと与える
赤ちゃんの下痢で一番心配なのが脱水です。脱水をおこさないためにも水分補給は小まめにおこないましょう。
離乳食はやわらかくして与える
食欲があるからといって普段通りの食事を与えてしまうと、弱っている腸に負担をかけてしまうことになります。離乳食が始まっている月齢ならば、いつもよりも離乳食を軟らかくして与えるようにしましょう。「便と同じ固さのものを与える」と思ってもらえればわかりやすいのではないでしょうか。
おむつはこまめに替える
赤ちゃんの肌はデリケートなので、下痢になるとお尻がかぶれやすくなります。おむつはこまめに替えてあげましょう。おしり拭きでゴシゴシこするのは余計に刺激になって肌荒れの原因になるため、シャワーなどでお尻を洗ってあげて清潔を保つようにしましょう。
肌に残っている水分は、タオルなどを押し当てて除きます。ふき取ると、ただれた皮膚も一緒にはがれることがあります。
まとめ
赤ちゃんの下痢は決して珍しいことではなく、赤ちゃんと一緒に過ごしているとよくあるできごとです。いつも赤ちゃんのそばにいると、ふだんと少し様子が変わるだけでも敏感になります。正しい知識をもつことで、もしものときにも慌てず、万が一病気だった場合の早期治療にも繋がります。小さな赤ちゃんをもつ人は基礎知識として知っておくとよいでしょう。