子供はある時期から乳歯が抜け、永久歯に生え変わっていきます。これは体の成長に合わせて、歯もサイズの対応をするためです。子供と大人では顎の大きさがかなり変わるため、歯の生え変わりが正常に進むことはとても大切です。
そんな中、乳歯がなかなか抜けなかったり、永久歯が生えてこなかったりすると、親御さんとしては心配ですよね。
今回は、そういった生え変わりのトラブルが何故おこるのか、原因について考えられるものをいくつか見ていきます。
個人差によるもの
永久歯はおおむね5歳くらいで生えてくることが多いです。しかし生え変わりの時期には個人によって2~3年の差があるとされています。
同い年の子が抜け始めたからと言って、焦る必要はありません。ただし、あまりにも遅い場合、左右で生え変わりのタイミングが半年以上違う場合には、一度かかりつけの歯科医院に相談すべきでしょう。
乳歯の根っこが吸収されていない
通常、歯肉の中で永久歯が充分に育つと、上にある乳歯の根は溶けて(吸収)抜け落ちます。
しかし乳歯が虫歯になったり、歯胚(しはい)という永久歯の卵が正常な位置からずれていたりすると、乳歯の根がうまく吸収されないことがあります。そうすると乳歯が抜ける気配のないまま、永久歯が上から生えてくるなど、生え変わりにトラブルが生じます。
乳歯が抜けていないのに永久歯が生えてきてしまった時、乳歯がすでにグラグラしているようなら様子を見て大丈夫ですが、全く抜ける兆しのない場合にはお早めにかかりつけの歯科医院に相談しましょう。
永久歯が存在していない
永久歯は、親知らず4本を除いて28本生えてくるのが普通です。
しかし乳歯の下で永久歯がつくられず、生えてくる永久歯の数が通常より少ないことがあります。これを先天性欠如と言います。
このような子が10人に1人の割合でいるとされており(日本小児歯科学会より)、稀ではありません。原因ははっきりとわかっていませんが、遺伝や病気、栄養の欠如、薬の副作用などと関係があるのではと言われています。
永久歯がつくられないと、乳歯も抜けません。しかし乳歯は虫歯になりやすく、歯根の吸収が全くないわけではないので、一生残すことは難しいとされています。
歯科医院で、様子を見つつ抜歯や歯並びの矯正等、適切な治療をしていくことが大切です。
歯同士がくっついている
癒合歯(ゆごうし)と言って、隣同士の歯がくっついてしまっている状態です。
癒合歯では、乳歯がなかなか抜けずに残ることが多くあります。さらに40~45%の確率で、癒合歯の下には永久歯が1本しか生えないことがわかっています。結果として永久歯の合計が1本少なくなってしまい、将来の歯並びに悪影響をもたらします。こちらも、歯科医院で適切な治療を受ける必要があります。
まとめ
乳歯が抜けなかったり、永久歯が生えてこなかったりする理由には以上に挙げたような理由が考えられます。
生え変わりのトラブルは歯並びに影響し、歯並びの悪さは見た目だけでなく歯周病のなりやすさ、ひいては歯の寿命を縮めてしまうことにも繋がりかねません。
お子さんの歯のことで気になる症状がある時には、まずはかかりつけの歯科医院に相談してみましょう。自分たちでは気づけない異常を知るために、定期健診を受けることも大切です。