指しゃぶりは、この世に生まれてから成長していく中で誰もが本能的に行うものです。またそれは、五感の発達にも関係しています。このことからも、ある年齢までは指しゃぶりは必要な成長過程だと言えるでしょう。しかし、いつまでも続けていると、今度は口腔機能に悪影響を及ぼすようになります。

とは言っても、なかなかやめられないお子さんもいるでしょうし、お子さんの年齢によっても対応が異なってきます。今回は、指しゃぶりをなくすためにどう対応したら良いのか、年齢別に見ていきましょう。

目次

何歳まではしてもOK?

指しゃぶりは、1~2歳くらいまでは誰もが行う普通のことです。段々回数が減ったりしながら、大体3歳くらいまで続くことが多いでしょう。この頃までの指しゃぶりは、赤ちゃんの時の「吸う」という反射(吸啜反射)のなごりだとも言えます。特に気にする必要はありません。発達期における正常な動作だと捉え、温かく見守ってあげて下さい。

しかし3歳を過ぎても変わらなかったり頻繁に行う様子があれば、歯並びや正常な顎の発達など、お子さんの正常な発育に悪影響を及ぼします。この頃からは徐々にやめさせるようにしていく必要があるでしょう。

年齢による指しゃぶりへの考え方

子供が2人

一口に「指しゃぶり」と言っても、年齢によって考え方は異なります。多少個人差はあるでしょうが、指しゃぶりの一般的な傾向を年齢別に見ていきましょう。

1~2歳

色々な遊びをするようになると、指しゃぶりもしにくくなり、段々回数は減っていきます。眠い時や、退屈な時に見られることが多くなるでしょう。この程度でしたら成長過程だと考え見守ってあげて構いません。

3歳~5歳頃まで

保育園・幼稚園の入園など、お子さんが家庭から外へ出て友達と遊ぶようになると、自然と指しゃぶりは減少していきます。これは、社会性が芽生えていくことにより友達付き合いが増え、様々なことに関心を持つようになるからです。指しゃぶりをしている所を「見られたくない」「恥ずかしい」という意識も芽生え、5歳を過ぎた頃にはほぼなくなっていきます。

5歳過ぎ

この頃になっても、昼夜と指しゃぶりを行う回数が多いお子さんがまれにいます。この時期まで続く指しゃぶりは、自然にはなくなりません。やめさせるよう積極的に対応していく必要があります

このように、お子さんの成長によって指しゃぶりにも変化が見られるようになります。年齢によって指しゃぶりに対する考え方も異なります。この点を踏まえて対応してあげて下さい。

 年齢による指しゃぶりへの対応の仕方

年齢によって指しゃぶりへの考え方が異なるように、指しゃぶりのやめさせ方も年齢によって異なります。3歳、4歳、5歳以降の対応の仕方をそれぞれ示していきます。

3歳

3歳にもなると、こちらが言い聞かせたことが理解できるようになってきます。例えば、誕生日の席や誕生日を目標にして歳になったら指しゃぶりをやめようね。年中(年長)さんになるまでにやめようね。」などと少しずつ言い聞かせていくのも手です。叱らず、優しく声をかけて、徐々に指しゃぶりがやめられるように誘導していきましょう。

4歳

4歳になると、言い聞かせた内容を良く理解できるようになってきます。指しゃぶりをなぜやめなければならないのか理由を説明し、少しずつやめさせていくのに適した時期です。

5歳以降

5歳を過ぎても頻繁に指しゃぶりをしている場合は、原因となっていることがないか考えてみましょう。生活環境の変化などからくるストレスや緊張、不安、欲求不満を和らげるために行っている場合もあります。原因がなくなれば自然とやめることもありますので、一概に叱らないようにしましょう。かかりつけの小児科医や歯科医師などの専門家に相談してみるのも良いでしょう。

指しゃぶりに対する対応の仕方は、お子さんの成長に合わせて多少前後しても構いません。指しゃぶりに限らず、何かを急にやめることは難しいですので、早めに少しずつアプローチしていくのも良いかもしれません。

指しゃぶりをやめさせるために家庭でできること

少女とネコ

具体的に、指しゃぶりに対してどのように対応していったら良いのでしょうか。いくつか例を挙げていきますので、参考にしてみて下さい。

1.言葉で注意する

指しゃぶりをしている、もしくはしそうになったら優しく注意してあげましょう。指を口に持っていったら名前を呼ぶなど、周りの人の協力も必要です。

2.外遊びや運動をさせる

他に集中していることがあれば、指しゃぶりをしている暇なんてありません。思いっきり遊ばせてあげましょう。

3.寝つくまでの間、手をつなぐ

眠い時に指しゃぶりが出やすい傾向がありますので、指しゃぶりができないようにあらかじめ手を握っておくのも良いでしょう。

4.眠りながらしゃぶっていたら、外してあげる

無意識下で行っていることまではコントロールできません。こっそり外してあげましょう。

5.指しゃぶりをしなかったら褒めてあげる

子供に限らず、褒められると嬉しいものです。指しゃぶりに関しても、褒めて伸ばすようにしましょう。

6.目標となる期日を決める、皆の前で約束させる

具体的に期日を決めることも有効です。年齢や誕生日などを設定すると、お子さん自身もわかりやすいでしょう。

7.指しゃぶり防止の為に、指サック・指人形・靴下・手袋などをはめておく

指しゃぶりしにくいようにこのようなものを手にはめることで、ガードしてしまいましょう。さすがに靴下には抵抗がありますね。

8.指しゃぶり防止マニキュアを使う

味が苦くてまずいので、自然と指しゃぶりが遠ざかっていくという優れものです。

指しゃぶりに対してはこのように対応していきましょう。しかし、お子さんの成長においては、親子のコミュニケーションを十分に取ることも大切です。できるだけ1~7の方法でやめさせてあげてください。指しゃぶり防止マニキュアは、大きくなってもやめられない頑固な指しゃぶりに対する秘策として取っておくべきでしょう。

まとめ

指しゃぶりは、お子さんの年齢によって、考え方も対応の仕方も異なるということがお分かり頂けたでしょうか。指しゃぶりは、歯並びだけでなくその他の口腔機能にも影響を及ぼす可能性がありますので、まだお子さんが小さいうちや頻度が少ないにも関わらず、心配なさる方が多くいらっしゃいます。お子さんの成長に合わせて、適切な対応ができるよう、今回の記事を参考にしていただければ嬉しく思います。ご自身では対応に悩んでしまうような時には、かかりつけの歯科医院でご相談されてみて下さいね。