まぶたがピクピクしてなかなか止まらない、という体験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。まぶたがけいれんするのは、目の使い過ぎなどによるものだけでなく、病気が原因になっている場合もあります。自分でできる改善方法から眼科での治療まで、まぶたのけいれんの改善方法について、医師・鎌田 絵里子先生による監修記事で説明していきます。
まぶたのけいれんの改善方法は?

まぶたのけいれんは、自分の意志とは無関係に起こっているものなので、自分で止めようと思っても止められるものではありません。ただし、眼精疲労などが原因の眼瞼ミオキミアによるものである場合、しばらく目を休めると止まることが大半です(自分のまぶたのけいれんの原因を知りたい方は、「まぶたがピクピク。不快なけいれんの原因は?」の記事をご覧ください)。
まぶたのけいれんを軽減させるためのセルフケア方法には、以下のようなものがあります。
- 目を使う作業を止め、目を休める
- 軽く目の周りをマッサージする
- 目の血行を良くするため、温めたタオルなどを乗せて目を温める
止まったと思ってすぐ作業にかかると、また繰り返すことがあります。症状が繰り返す場合は、少し長い時間目を休める必要があるということです。
眼科で行われる治療は?
目を休めてけいれんが改善できる場合は良いですが、眼瞼けいれん(眼瞼ジストニア)や片側顔面けいれん(顔面スパスム)が原因となっている場合、眼科を受診し治療を受けることが必要です。
眼瞼けいれん(眼瞼ジストニア)の治療法
目が眩しく開けにくくなるため、遮光眼鏡が使われたり、内服薬、ボツリヌス療法が用いられたりします。
内服薬
- 抗けいれん薬:リボトリール、テグレトールなど
- 抗コリン薬:アーテンなど
- 抗不安剤:セルシン、ホリゾン、リーゼなど
片側顔面けいれん(顔面スパスム)の治療法
発症から1ヶ月程度で軽症の場合は、治療はすぐ開始されず、様子観察が行われることがあります。治療が必要であれば、ボツリヌス療法か神経血管減圧術という手術が行われます。
神経血管減圧術
片側顔面けいれんでの根治療法で、8~9割の治癒率があります。顔面神経と血管がぶつからないようにする手術です。
ただ、軽症の場合や全身麻酔が行えない時は、内服薬、ボツリヌス療法が用いられます。
ボツリヌス療法
眼瞼けいれんや片側顔面けいれんには、ボツリヌス療法という治療法があります。ボツリヌスというのは食中毒で聞くことがあると思いますが、同じ菌です。
ボツリヌス菌は、ボツリヌストキシンというたんぱく質を作り出します。このボツリヌストキシンは筋肉を緊張させている神経を抑える働きがあるため、筋肉内に注射することでけいれんを止める効果があるのです。
通常は3ヶ月程度、効果が持続します。
まぶたのピクピクを予防するためには?

まぶたのけいれんの原因として一番よく見られるのが眼瞼ミオキミアで、これのほとんどは眼精疲労やストレスや睡眠不足などで起こります。そのため、まぶたのけいれんは、目を疲れさせないことで予防することができます。
- スマホやパソコンなどを見る時は1時間に10分の休憩を取る
- パソコンの画面は水平より下になるようにし、目から50cmは離すようにする
- 目の冷罨法(冷やす)や温罨法(温める)で血管を刺激する(目の充血や炎症がある時は温めない)
- 目を動かすストレッチやマッサージをする
- 加湿器などを利用し部屋の乾燥を防ぐ
- 市販の目薬を使う場合は、防腐剤の入っていない人工涙液を選ぶ
また、ピクピクを悪化させやすい日頃の生活習慣も見直しましょう。
- ストレスを溜めこまない
- バランスの良い食生活をする
- カフェインを摂り過ぎない
- 充分な睡眠を取る
まとめ
眼精疲労から来る目のピクピクは、誰にでも起こることがあります。自分で止めようとしても止まらず不快でイライラしてしまうものですが、それは目からのSOSかもしれません。夢中になってスマホやパソコンのゲームをしている人がいますが、目に良くないのは確かです。時々は目を労わり、ゆっくり休める時間を作るようにしてみましょう。