健康に気を使う人が増え、病気の早期発見のために健康診断を受ける人が増えています。日本人の死亡率ナンバーワンの「がん」も、「がん検診推進事業」がすすめられ、年齢に応じて無料クーポンが送られてくることなどから早期発見が増えています。しかし、案外忘れがちなのが目の検診です。今回は、日本人の失明原因第1位の緑内障について見ていきましょう。

目次

失明原因No.1!緑内障とは?

白内障・緑内障という病名は聞いたことがある人が多いと思います。しかし、白内障は知っていても緑内障が実際にどのような病気なのかはよく知らない、という人がほとんどではないでしょうか。

私たちが物を見る時は、視神経という神経を使っています。この視神経が何らかの原因で障害されて、物が見える範囲、すなわち視野が徐々に欠けて狭くなっていく病気緑内障と言います。未治療のまま放置すると失明に繋がることもあり、厚生労働省の調査によると日本人の中途失明原因の第1とされています。

緑内障の原因は?

緑の目

目は風船のようにしぼんでフニャフニャになってしまわないように、一定の圧力で形を保っています。この圧力、つまり目の硬さのことを眼圧といい、眼圧の正常範囲は10~20mmHgとされています(日本眼科学会より)。

風船の場合は空気で形を保っていますが、目の場合は房水(ぼうすい)と呼ばれる水によって圧力が保たれています。房水は目の中で作られ、シュレム管という所から排出されますが、この房水が過剰に作られたり、排出する場所が目詰まりを起こし流れが悪くなったりするとうまく外に排出されず、眼圧が上がってしまいます。眼圧が高い状態が続くと視神経を圧迫し障害されてしまうため、この高い眼圧が緑内障の原因となるのです。

緑内障の種類

緑内障は、眼圧が高くなる原因によって次のようにわけられます。

原発緑内障

他に何も原因となる病気がない場合をいいます。原発緑内障はさらに、房水の出口である隅角(ぐうかく)が広い「開放隅角緑内障」と隅角が狭い「閉塞隅角緑内障」に分けられます。

開放隅角緑内障

隅角は広く開いていますが、房水の排出される場所が目詰まりを起こして流れが悪くなり、徐々に眼圧が上昇していきます。眼圧の上昇は軽いものが多く、慢性の視神経障害のため視野障害など病気の進行もゆっくりです。眼圧が正常範囲なのに緑内障の視野障害が起こる正常眼圧緑内障もこの開放隅角緑内障に分類されます。

閉塞隅角緑内障

房水の出口の隅角が狭くなって流れが悪くなってしまう場合や、全部がふさがってしまい房水が流れなくなってしまう場合があります。完全にふさがってしまうと眼圧が急激にあがる「緑内障発作」という状態になり、目の痛みや吐き気・頭痛など様々な症状が現れます。放置しておくと失明に繋がる危険性があるため、緑内障発作を起こした場合は早急な治療が必要になります。

続発緑内障

何か他の原因で眼圧が上がってしまうことを続発緑内障と言います。

ぶどう膜炎などの目の炎症や網膜剥離・角膜の病気など目の病気の他に、糖尿病など全身の病気、ステロイド点眼薬の影響など、眼圧が上がる原因は実に様々です。続発緑内障の場合は、眼圧が上がる原因からしっかりと治療していくことが大切です。

小児緑内障

子供(具体的な年齢は定められていません)に発生する緑内障を小児緑内障と呼びます。生まれてすぐに高眼圧によって発症するものを原発小児緑内障、先天疾患を含むなんらかの病気や怪我によって発症するものを続発小児緑内障と分類します。

子供の眼球はまだやわらかく、伸縮性があります。そのため、生まれつきのものや、小さなお子さんの緑内障では眼球が大きくなり、牛のように黒目(角膜)が大きくみえます。これを俗に「牛眼(ぎゅうがん)」と呼んでいます。

こんな症状は要注意!緑内障の初期症状

頭を抱える

緑内障は自覚症状がほとんどないので、視野障害が進行し末期になってからようやく発見されることも少なくありません。眼圧が正常であるにも関わらず視野障害が進む正常眼圧緑内障を含め、開放隅角緑内障はゆっくりと視野障害が進んでいきます。そのため、気付かないうちに何年もかけて視野が奪われていくのです。

一方、閉塞隅角緑内障も自覚症状はないのですが、隅角がふさがってしまい緑内障発作を起こすと激しい症状が現れるため、自分でもおかしいと気付きます。しかし、頭痛などの症状から脳の疾患と間違われる場合もあるため、隅角が狭いといわれたことがある人はしっかりと緑内障発作時の症状を把握しておく必要があります。

 

視野は一度欠けてしまうと元には戻りません。目の痛み・頭痛・吐き気・かすみ・充血などの症状が急激に現れた場合、早急に眼科を受診し治療を受ける必要があるということを覚えておきましょう。

まとめ

緑内障はよく、白内障と同じように思われがちです。しかし、眼圧が高くてもよほど進行しない限り、白内障のように見にくいなどの症状がありません。また、白内障のように手術して治る病気でもありません。視野を失ってから後悔しないためにも、40歳を過ぎたら年に1度は眼科で定期検診を受けるようにしましょう。