耳掃除は気持ちが良いのでついやり過ぎてしまっていませんか?また、誰からも習うことがないので、自己流で耳の掃除をしている人も多いでしょう。
耳垢にも役割があります。間違ったお手入れをすると、耳に炎症が起きる可能性があります。今回は、正しい耳掃除の仕方についてご紹介します。
耳の構造は?
耳は、聴覚と平衡感覚をつかさどる器官で、外耳、中耳、内耳からできています。
外耳
耳介(じかい)と呼ばれる耳の外側の部分と外耳道からできており、鼓膜へと繋がっています。
薄い膜でできた鼓膜によって外耳と中耳を隔てています。
中耳
鼓膜と空気で満たされた鼓室からできており、耳管から鼻に繋がっています。
耳管は、外の空気を中耳の中に取り入れられるようにしており、耳の中の気圧を調整しています。
ものを飲み込むと耳管が開き、鼓膜の内側と外側の空気圧を等しく保っているのです。
内耳
内耳には、聴覚をつかさどる器官(聴神経)があります。
聴神経は、前庭神経と蝸牛神経からできており、そのうち前庭神経は平衡感覚をつかさどっています。
これらの神経は、脳幹部を経て大脳へ繋がっています。
耳垢って何?
外耳道の中には、耳垢腺(じこうせん)があり、油脂を分泌して耳垢ができます。耳垢腺は、緊張や不安など、脂汗をかくようなときに、分泌が多くなります。
耳垢腺からの分泌物に、皮脂腺の分泌物、外耳道の皮膚、耳毛やほこりなどが一緒に混ざって耳垢を作ります。
耳垢の種類は?

かさかさした乾性耳垢とねばねばした湿性耳垢に分けられます。
遺伝によって乾性か湿性か決まります。
乾性耳垢
耳垢腺からの油脂成分の分泌が少ないので、かさかさしています。
乾性耳垢は、およそ20%が油脂成分でできています。
湿性耳垢
耳垢腺の油脂成分の分泌が多くなり、耳垢の約50%を占めています。
ねばねばして、耳垢の量も多くなります。
耳垢の役割は?

耳垢は、外耳道の先にある鼓膜を守る働きをしています。
外耳道の自浄作用
外耳道では、皮膚のターンオーバーが行われるときに、耳の奥の皮膚が自然に耳の外へと移動しています。
皮膚が剥がれ落ちることなく、鼓膜から耳の外側へ、どんどん動いているのです。
移動してきた皮膚は、途中で剥がれ落ちて耳垢になり、耳垢腺からの分泌物や耳毛などの動きで、外へ外へと移動していきます。
異物の侵入を防ぐ
小さい虫、砂やほこりなどの異物が耳の中に入ることを防ぎます。
外耳道の長い道のりでは、外部からの異物をからめ取って、それ以上奥へと入らないようにしています。
耳垢で保湿をすることによって、外部からの刺激から外耳道を保護し、傷がつくのを防いでいます。
耳の中はなぜかゆくなるの?
耳の中は耳垢腺からの分泌物によって湿度があるので、湿疹を起こしやすくなります。
耳掃除をしすぎて、外耳道に物理的な刺激を与えると炎症を起こし、皮膚がかゆくなったり、酷いときは、痛くなったりします。
耳垢が詰まる病気はある?
耳垢が溜まりすぎると、耳垢栓塞(じこうせんそく)という病気になります。
耳垢が外耳道に栓状に詰まった状態で、耳垢の厚みが1センチ程度になると、聞こえが少し悪くなります。
鼓膜に耳垢がつくと、違和感、耳鳴りや難聴といった症状が起きます。
原因は?
- 耳掃除のし過ぎによる耳垢の過剰分泌
- 耳掃除で耳垢を奥に押し込んでしまった場合
- 湿疹などの皮膚疾患
などが考えられます。
耳垢栓塞になると、自分で耳垢を取り除くのは難しいので、耳鼻咽喉科で除去してもらいましょう。
正しく耳掃除をしよう
外耳道では自己清掃システムが働いているので、こまめなケアは行う必要がないと考えられています。
耳掃除の目的は耳垢を取ることですが、耳掃除自体が気持ち良い、耳掃除をすると落ち着く、という本来の目的から外れて、耳掃除を過度に行ってしまう人は、注意が必要です。
掃除の仕方
鼓膜を守るために必要な耳垢の正しいお手入れの仕方をマスターしましょう。
- 耳垢がふやけて取りやすくなっているお風呂上がりに取る
- 耳を後ろに引いて、耳の入口を見えやすいようにする
- それより耳の奥には耳垢は溜まらないので、耳垢が見えなければ掃除をしなくてよい
- 細い綿棒で軽く取り除く
- 湿った耳垢は、綿棒などで入口をぬぐいとる
- 乾いた耳垢は、耳かきでかき出すようにとる
- 左右の耳で綿棒を変える
- 子供だけでは耳掃除をさせない
頻度
- 通常は、2週間に1回の掃除で留める
- 気温と湿度が高い夏は、細菌炎症を起こしやすいので、耳掃除の回数を減らす
耳掃除をしているときに子供がぶつかると、耳を怪我することがあります。耳掃除は子供がいない場所で行いましょう。
耳にしつこい痒みや違和感がある場合は、無理に触らないで耳鼻咽喉科を受診しましょう。
まとめ
耳は中のものを自然に外へと押し出す動きをしているので、耳の奥にある耳垢を無理に取る必要はありません。
耳掃除のやり過ぎは外耳道を傷つける恐れがあるので、耳の中を触り過ぎないように、頻度を減らようにしましょう。
特に夏場は細菌感染が発生する可能性があるので、注意が必要です。