傷の治療の際に、最近では傷口を乾かさないモイストヒーリング(湿潤療法)が普及しつつあります。通常の絆創膏(ばんそうこう)を使用して行うこともできますが、市販されている専用絆創膏を使用するとより簡単に行うことができます。
この記事では、湿潤療法の際に使用する絆創膏やドレッシング材の選び方について、市販されているものを紹介します。
なお、湿潤療法について「傷は早く綺麗に治そう!モイストヒーリングの注意点」の記事をご参照ください。
救急絆創膏の種類
救急絆創膏は、薬事法によって「医薬品」「医薬部外品」「医療機器」の3つに分けられます。
医薬品・医薬部外品の絆創膏は、粘着テープの中央に傷に当てるパッドに、一定濃度のアクリノールのほか塩化ベンザルコニウムなどの殺菌消毒薬が使用されています。
また、現在多くの絆創膏の分類区分となるのが医療機器です。パッド部分に薬剤が含まれていないことから、患部の保護が大きな目的となります。
貼る際には、中央からそっと貼るようにしましょう。絆創膏を引っ張りすぎると、皮膚に負担がかかり、かぶれの原因になることがあります。また、はがす際は絆創膏と一緒に肌の角質までもはがしてしまう恐れがあるので、なるべくゆっくりと剥がすようしましょう。
絆創膏は、傷の保護の目的でも使用しますので、軽い擦り傷などでも救急絆創膏を貼ったほうが傷口を清潔に保ち保護することができます。
一般的な医療機器区分の絆創膏の例
スタンダードタイプのものは、傷に当てる部分や粘着剤に特徴があります。
バンドエイド
防水、肌色、など数種類あります。
- 水の中でもはがれにくい粘着力
- 傷口につきにくい特殊パッド
ケアリーヴ
防水など数種類あります。
- 素肌にやさしい伸縮素材を使用した低刺激性の絆創膏で、肌に馴染みやすい
- パッド部は、傷口にやさしい構造
傷に直接塗って皮膜を作って保護する「液体絆創膏」
コロスキン
- 包帯いらずの傷ぐすり、ホコリやバイ菌から傷を守ります
- 仕事をしてもはがれませんが、塗るときに一瞬しみます
サカムケア
- ハケ付きで塗りやすく、小さな傷やヒビなどをピタッと固めてケア
- 水仕事、ガーデニング、海水浴、プールでの傷の保護に最適。塗るときに一瞬しみます
市販の創傷被覆材(ドレッシング材)を含む絆創膏
創傷被覆材(ドレッシング材)は絆創膏の一部ともいえ、最近のモイストヒーリング(湿潤療法)で使用されるものになります。
以前は、医療機関でのみ使用されているものでしたが、最近は、傷を早く治し傷あとを残さないモイストヒーリング(湿潤療法)が有名になってきているので、市販でも購入ができるようになりました。
市販の絆創膏のドレッシング材には、主にハイドロコロイドとポリウレタンフォームがあります。
1.ハイドロコロイド
皮膚にぴったり吸着し、浸潤環境を形成するドレッシング材です。
浸出液が親水性ポリマーに吸収され、ゲル状に変化し、浸潤環境を形成します。
市販薬
- バンドエイドキズパワーパッド
- ケアリーヴ 治す力
- デルガードクイックパッド
- リーダー ハイドロ救急パッド など
2.ポリウレタンフォーム
浸出液を吸収し、保持するドレッシング材です。
吸水能が高く、より滲出液の多い傷に適しています。
市販薬
- メディケア ハイドロウェット
- メディケア アルゲキュア など
上記のハイドロコロイドやポリウレタンフォーム以外にもアルギン酸塩、ハイドロファイバー、ハイドロポリマーといった種類のドレッシング材があります。
モイストヒーリング(湿潤療法)を行う際の注意点
傷口が化膿していたり乾燥してかさぶたになったりしている場合、糖尿病などの持病により感染症のリスクが高い方などは、モイストヒーリングを行うことはできません。
また、患部が不衛生な状態になると傷口が感染を起こし、かえって傷を悪化させてしまいます。傷が熱を持っている、痛みがある、赤く腫れているといった化膿(炎症)のサインがある場合にはすぐに皮膚科にかかるようにしましょう。
感染を防ぐため、毎日絆創膏を貼り替えるようにしてください。貼り替えるときには、傷口にほこりやごみなどの異物が付着したままの状態にならないように、傷にしみなければ石鹸で、しみるようであれば流水できれいに洗い流すようにしてください。
詳しくは、下記記事をご参照ください。
まとめ
モイストヒーリング(湿潤療法)は、当初は病院でしか受けられないものでしたが、現在は市販の絆創膏を利用するなどして家庭でも簡単に行うことができるようになっています。
行う際には患部を常に清潔に保つよう注意しましょう。1日1回、傷口を洗って絆創膏を貼り替えるのが理想です。