外用薬は軟膏剤、クリーム剤、スプレー剤などいろいろな剤形(薬の形のことを「剤形」と呼びます)があります。外用薬の場合は剤形が効果に影響してしまうため、慎重に剤形を選ぶ必要があります。剤形の特徴と注意点についてご紹介します。内服薬に関しては「飲み薬には種類がある!その特徴と飲み方のポイントとは」で解説していますので、あわせてご覧ください。

目次

外用薬とは?

外用薬とは、内服薬と注射薬を除いた薬のことです。皮膚や粘膜に塗ったり、皮膚に貼ったり、症状や部位にあわせて様々な剤形を使い分けます。

様々な剤形の特徴と使用上の注意点

軟膏

皮膚を保護する効果が高く、かつ刺激が最も少ない剤形です。乾燥した患部やジクジクした患部などあらゆるところに使えます。しかし、べたつく・洗い流しにくいなどといった特徴もあるため、使用感が悪いと感じる方もいます。保湿剤、ステロイド剤、化膿止め、皮膚保護剤などがあります。

クリーム

軟膏と似ていますが、水が含まれており、油と混ざっていることが特徴です(乳化)。軟膏よりも使用感は良く、べたつかない・洗い流しやすいことが特徴ですが、皮膚に刺激を与えることがあるほか、ジクジクした傷への使用は適していません。保湿剤、ステロイド剤、化膿止め、かゆみ止めなどに用いられます。

クリームには以下の2種類があり、使用感が異なります。

1.水中油型:水の中に油が分散している

さらっとして使いやすく、べたつかずに水で洗い流せるという利点があります。

皮膚に刺激を感じたり、皮膚乾燥作用によりカサカサしてしまったりすることがあるのが欠点です。

2.油中水型:油の中に水が分散している

水中油型より保湿力が高く刺激が少ないので、剤形としては軟膏に近く、乾燥した患部やジクジクした患部にも使いやすいです。また、水中油型と比べるとややべたついて水で洗い流しにくいですが、軟膏よりも使用感は良いです。

液剤(ローション剤、リニメント剤)

皮膚や爪に塗るタイプの薬です。使用感が良く、よく伸びるので広範囲に使いやすいという特徴があります。加えて、髪の毛が生えている頭皮にも用いやすい剤形です。ただし刺激が強く、ジクジクした患部などには使用できません。また、汗をかいたりこすれたりすると取れやすいという欠点もあります。

液剤には、以下の2種類があります。

ローション剤

粉末の成分を液体に混ぜたものです。保湿剤や鎮痛消炎剤などに用いられます。

リニメント剤

液状または泥状の外用剤です。現在ではあまり使われていないようですが、消炎鎮痛剤などに用いられます。

貼付剤(テープ剤、パップ剤)

テープ剤

薬剤を含んだテープで患部を密封することにより、薬の吸収率が上がって効果が高まります。また、皮膚を保護する作用もあり、亀裂がある患部などにも使われます。テープがはがれてしまうため、ジクジクした患部には適しません。

水分を含んだ基剤を用いるパップ剤(湿布など)と、ほとんど水分を含まない基剤を用いるテープ剤との2種類があります。また、薬を貼った場所にだけ作用するタイプ鎮痛剤、ステロイド剤、かゆみ止めなど)と、全身に作用するもの狭心症治療薬、気管支拡張剤、禁煙補助剤、ホルモン剤など)とがあります。

スプレー剤(エアゾール)

薬の成分を霧状、粉末状、泡状、ペースト状などにして、患部に噴霧する剤形です。手の届きにくい背中などに使う際に便利です。日焼けなど、触ると痛む患部にも塗布しやすいです。消炎鎮痛剤、ステロイド剤などに用いられます。

座薬

肛門から入れて、直腸の粘膜から吸収されることで効果を発揮する剤形です。痔などの肛門疾患に効果があるものだけでなく、解熱剤など、全身に作用する薬にも用いられます。飲み薬だと胃腸を痛めやすいという人や、飲み薬を嫌がる乳幼児などにも用いやすい薬です。

体温で溶けるように作られているので、できるだけ涼しいところで保管する必要があります。

点眼薬

目に滴下して使う薬です。無菌状態で製造されますが、点眼容器の先端がまぶたやまつげに触れると中の薬が細菌に汚染されてしまうため、触れないように注意して使用します。

複数の点眼薬を同時に使用する場合は、滴下する間隔を5分くらい空けて、薬同士が混ざって薄まり効果が弱まることのないようにしましょう。「目薬の正しい差し方、知っていますか?」も合わせてご覧ください。

まとめ

外用薬にはいろいろな特徴を持った剤形があります。自分の好みだけでなく、患部の症状に合わせて使用し、効果を十分に発揮させることが大切です。自分が使う薬がどのような剤形かを確認し、心配なことがあれば医師や薬剤師に相談してから正しく使うようにしてくださいね。