発疹やかゆみを伴う接触皮膚炎(かぶれ)は、患部をかき壊してしまうと長期にわたる治療が必要になり、治ってからも傷が残ることがあります。かぶれが起きたときには、症状を早く治すためにどのような治療を行えば良いのでしょうか。今回はかぶれの治療方法や改善策についてご紹介します。
早期治療が大切
身の周りにあるものと肌が接触することでかぶれることがあります。かぶれはかゆみを伴うため、かゆいからかく→かき壊す→皮膚がジュクジュクしてくる→炎症がさらにかゆみを引き起こす、というように悪化していきます。
患部をかき壊すと、治療期間が長引き、かき壊した傷口が化膿しやすい状態になります。皮膚トラブルに気づいたら、すぐに治療を行うことが大切です。
かゆみを防ぐには?
炎症の悪化サイクルを断ち切るためには、
- 原因を取り除く
- かかない
ことがとても大切です。
病院ではどんな治療をするの?

かぶれの症状が急に出て、原因物質が分からない、かゆみも腫れもひどいときは、皮膚科やアレルギー科を受診するようにしましょう。
原因物質の排除
治療の基本は、刺激となったものを排除することです。
まず、職業、趣味、日常生活、皮膚炎発症の前日に行ったことなどを問診で聴取して原因物質を推測します。原因となった物質は、以後使用すると必ずかぶれてしまいます。疑わしいものがあったら使用しないようにしましょう。
検査
パッチテストで原因が特定できることがあります。
疑わしい物質(アレルゲン)があるときは、その物質を少量肌に塗って反応をみる検査です。
パッチテストは48時間、アレルゲンを絆創膏などにつけて貼りっぱなしにして、その反応を48時間、72時間、1週間と3回確認します。パッチテストを希望するときは、皮膚科で相談してみましょう。
薬物療法
炎症やかゆみを抑えるために、ステロイド外用剤、抗ヒスタミン薬やステロイド剤の内服薬などが処方されます。
医師の指示に従いましょう。
何がかゆみを悪化させるの?
- ストレス
- 香辛料
- 発汗
- 急に身体を温めること
- アルコール
- 睡眠不足
- ハウスダスト
- 下着などによる圧迫
肌がかぶれたときは、周りのあらゆるものがかゆみの原因となって症状を悪化させます。完全に取り除くことは難しいですが、少しでも遠ざける工夫ができれば良いですね。
日常生活で気をつけること
アレルゲンを避ける
原因物質が特定できれば、なるべく避けて代替品を使うようにしましょう。アレルゲンを身体から遠ざけてかぶれを防ぎます。
化粧品などは同じものを使い続けない
皮膚の状態が悪いときに同じ製品を使い続けると、原因物質が皮膚の内部に入り込み、アレルギーを誘発することがあります。
化粧品、シャンプーやメガネフレームなど、以前使って皮膚炎が起こらなかったものでも、長い期間の使用はやめて商品を変えるようにしましょう。
かゆみが増すものを避ける
- 運動
- サウナ、長風呂
- アルコール
- 香辛料
- ストレス
- 睡眠不足
- 発汗
- ハウスダスト
- 下着などによる圧迫
肌がかぶれてかゆみがあるときは、体が温まると血流がよくなり、かゆみが強くなるので、血流がよくなるような行動・食事は控えましょう。また、周りのあらゆるものがさらに症状を悪化させ、かゆみが強くなることがあります。完全に取り除くことは難しいですが、少しでも遠ざける工夫ができれば良いですね。
ひっかき傷を作らない
かぶれは、かくことによってさらにかゆみを強くし傷もできて、症状が悪化します。身体に傷を残さないように、患部をガーゼで保護しましょう。爪も短く切っておきましょう。
清潔をこころがける
汗やほこりは肌の刺激となります。汗をかく時期はこまめに拭きとりましょう。肌が弱い人は、暑いときでも身体を覆う洋服を着ましょう。
かぶれたところは、よく泡立てた石鹸で優しく洗い、ぬるま湯で流しましょう。患部を強くこすらないように注意をしましょう。
入浴を控える
身体が熱くなるとかゆみを引き起こすことがあるので、入浴はなるべく控えるようにしましょう。
石けんも刺激となることがあるので、身体を洗うときはお湯だけを使い、患部を強くこすらないように注意をしましょう。
肌のバリア機能を保つ
特に手は皮膚の乾燥が原因でかぶれを起こす場合があります。水仕事のときは手袋を使いましょう。
ハンドクリームで保湿をしたり、寝る時に綿の手袋を使うと手がしっとりとします。皮膚のバリア機能を保つよう日常から心がけましょう。
肌にあったおむつを選ぶ
おむつかぶれになった場合は、おむつ選びを見直しましょう。
異なる商品を使って素材の違いや身体への締め付けなどが肌に合うか試しましょう。清潔と乾燥を心がけておむつをこまめに替えることが予防になります。
かぶれによる様々なトラブル

金属アレルギー
ピアス、バックルやネックレスによって金属アレルギーが起き、かぶれることがあります。ニッケルやコバルトメッキのピアスにトラブルが多いので、金やチタンなどのアレルギーを起こしにくい金属のピアスを使うようにしましょう。金属アレルギーのリスクを減らせます。
ベルトのバックルは、肌に直接触れないように下着の上からベルトをするようにしましょう。
また、金属類は汗でイオン化して体に入り、金属アレルギーを誘発することがあります。汗をかく時期や環境では、金属類を身につけないようにするのがお勧めです。
カラーリング
美容院でカラーリングをした後、直後から2、3日中に頭の中がかゆくなったり、湿疹が出たりすれば、染髪料にかぶれたのかもしれません。
かゆみを感じたらすぐに皮膚科を受診するようにしましょう。
湿布
日光に当たると炎症を起こす恐れのある湿布やテープ剤があります。薬の成分は長く皮膚に残り、2週間経ってもなくならないものもあります。
湿布などは服で覆われる部分に貼るようにしましょう。
まとめ
かぶれの治療は、原因物質を避けることにあります。身の回りからなるべく除去し、代替品を使って皮膚と触れないように注意をしましょう。
一度かぶれたものを再び使うと症状が悪化します。普段から清潔を心がけ、肌のバリア機能を高めるよう意識した生活を送ることが大切です。