加齢などが原因の目の病気「白内障」ですが、治療法には一体どのような方法があるのでしょうか。眼科を受診し、検査から治療に至るまで、白内障について詳しく見ていきましょう。

目次

白内障かなと思ったら

目をこする男性

白内障の一般的な症状はかすむ・ぼやけるなどの見え方の異常です。中にはまぶしさなどの症状もありますが、自覚的に視力の低下を訴えて眼科受診される人がほとんどです(詳しくは「目が白く濁る?!白内障とはどんな病気」をご確認ください)。

鏡を見ても目が白く濁っていないから白内障ではないと勘違いされる人もいますが、見た目で黒目が白くなっているようならばそれはかなり進行した白内障で、そうなっていれば視力もかなり低下しているはずです。

また、視力が低下する病気は白内障だけではありません。白内障でも、かすんで見にくい・膜がはったように見にくい・すりガラスを通して見ているみたいなど、訴え方は様々ですが、年々視力が低下しているなどという場合は、白内障だけでなくその他の病気も視野に入れて眼科を受診するようにしましょう。

白内障の検査

視力検査

眼科では、白内障かどうか調べるために次のような検査を行います。

屈折検査

近視・遠視・乱視など目の屈折度を調べます。また、多くの眼科で屈折検査に使われるオートレフケラトメーターという機械は角膜のカーブも測定できるため、白内障手術前の検査でも使用されます。

視力検査

眼科の検査の基本とも言えるのが視力検査で、裸眼視力と矯正視力の両方を測定します。裸眼視力が悪くても眼鏡のレンズなどで矯正して視力が1.0以上出ていれば問題はありませんが、矯正をしても視力が出ないということであれば異常とみなし、白内障や他の目の病気を疑います。

細隙灯顕微鏡検査

眼科診察の必需品ともいえるのが、細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)です。まぶたから結膜・角膜・虹彩・水晶体など目の前眼部と呼ばれる部分を観察することができ、水晶体の透明度などから白内障の程度を診断することができます。レンズを使うと眼底も観察できます。

眼底検査

網膜や視神経など眼底に異常がないかどうかを調べるのが眼底検査です。

光を瞳にあて、眼底の様子をレンズを通して調べるのですが、普通の瞳孔の状態では光が入る量が小さいため網膜の周辺は見えにくくなります。そのため目薬で瞳孔を広げる「散瞳」を行ってから調べます。

眼底にもし異常があれば、白内障の手術をしても視力が思ったよりも出ない場合もあります。そのため、眼底検査は白内障の治療を行う上で大切な検査となります。

白内障の治療法

検査

白内障と診断された場合、どのような治療が行われるのでしょうか。白内障の治療としては目薬などの「薬物療法」と「手術療法」があります。

白内障と診断されても症状が軽かったり、生活に特に支障がないものであったりすれば目薬を使用して様子を見ます。しかしこの目薬は白内障の進行を遅らせるもので目薬を使用したからといって白内障が治るわけではありません。

一方、手術の場合は、水晶体の濁りをとって代わりに1人1人の目の度数に合わせた眼内レンズと呼ばれる小さなコンタクトレンズのようなものを眼の中に入れます。つまり、白内障を治すには手術しかないということになります。

手術といっても小さな切開創でできるので体への負担は少なく、日帰りで行えるケースが多いのです。白内障以外に視力低下の原因がなければ、手術で眼内レンズを入れることで視力の回復が期待できます。

白内障手術後の注意

ノートとペン

保険適応となる通常の眼内レンズは、遠くか近くか一カ所にしかピントが合いません。

人の目は、ものを見る時は水晶体の厚みを変えて調節を行い、ピントを合わせています。しかし、眼内レンズは人工レンズなのでこのピント合わせを行うことができません。

遠くにピントが合う眼内レンズを選ぶと、新聞など手術後は近くを見るときには近用メガネが必要になりますし、逆に近くにピントが合うように選べば、遠くを見るときに遠用メガネが必要になります。

年齢が若い人の場合は本来ならまだ調節力が残っているのですが、手術で水晶体をとってしまうためこの残っている調節力もなくなってしまいます。つまり、極端に言うと70歳の人も40歳の人も手術後は同じ状態になるというわけです。

手術後の見え方は、目の中に入れる眼内レンズの度数によって異なります。その方のライフスタイルや元々若い頃にメガネをかけていたかどうか(近視かそうでないか)などを考慮して一番慣れていて、これからのライフスタイルに合うように眼内レンズの度数を選びます。

手術をして、遠くが綺麗に見えるようになれば近くは老眼鏡が必要になる、また逆に近くを見やすくすると遠くがはっきり綺麗に見えるというわけにはいかなくなる、ということを覚えておきましょう。

まとめ

白内障を完全に治す方法は手術しかありません。進行が進んで真っ白になってしまっていると、手術にも時間がかかってしまいます。放っておいても、目薬をさしたら治るわけでも進行が止まるわけでもないので、ぼやけやまぶしさなどの症状がひどくなってきたという時は我慢をせずに手術を考えてみましょう。

白内障は手術で治る身近な病気です。白内障と診断されても慌てず医師と相談しながら治療をすすめるようにしましょう。