モニターを見続ける作業を行っていると、だんだん目がしょぼしょぼしてきたり、肩が凝ったりしてきますよね。それって、単なる目の使い過ぎかと思っていませんか?実はドライアイという、目が乾燥してしまう病気が潜んでいるかもしれません。
今回はドライアイとはどのような病気なのか紹介します。
そもそもドライアイとは
涙で目の表面を十分に保護することができない状態があり、それにより、目に不快感が現れたり、見え方に支障が出たりして目の不調を自覚する病気がドライアイです。
ドライアイは、涙の量が少なくても起こりますが、まぶたの閉じ方が不完全でも起こります。また、まばたきの回数が少ないとき、逆に極端に多いときにもドライアイ状態になります。
涙はまばたきによって目の表面に塗り広げられます。しかし、涙の質や目の表面の状態がよくないと、せっかくの涙もたちまち干上がってしまい、目を潤わせ続けることができません。これもドライアイの原因になります。ドライアイは、単純に「涙が少ない病気」というわけではないのです。
目の表面が潤っていないと、まばたきのときの眼球とまぶたの摩擦が増え、目の不快感を起こします。角膜・結膜が傷つくと痛みも起こります。また、角膜に涙が不均一に留まると、凸凹状になった「角膜プラス涙」を通して見ることになるので、見え方が不鮮明になります。
モニターを見る作業の約3人に1人、コンタクトレンズを着用している方の40%程度がドライアイだった、という報告もあります(目の健康jp|ドライアイより)。また、ドライアイは労働生産性を下げるだけでなく、幸福度、睡眠の質を低下させるという報告もあります(参天製薬・ドライアイ研究会共同研究|疫学調査「Osaka Study」より)。オフィスワーカー、コンタクトレンズ使用者には、油断のならない病気といえます。
ドライアイの症状
目の痛み・かすみ・充血・異物感といった症状に加えて、頭痛・肩こり・吐き気などの全身症状が出てくることもあります。
ドライアイのチェック項目は「市販の目薬は危険!?ドライアイの正しい治療法」をご参照ください。これに加えて、まばたきを10秒我慢できるかどうかでも確認できます。我慢できなかった場合は、ドライアイの可能性があります。
ドライアイになりやすい人
下記の項目が当てはまる方は、ドライアイになりやすいとされています。
- 女性の方
- 年齢を重ねている方
- モニターを見続ける作業が多い方
- エアコンが効き過ぎている、風が当たるなど乾燥しやすい環境にいる方
- コンタクトレンズを使用している方
- たばこの煙が周りにある方
- 涙の分泌量が低下する働きのある薬を飲んでいる方
- 涙の安定性を低下させる点眼薬を使っている方
予防法は?
ドライアイを予防するために目を乾燥から守るなど自分でできることがあります。以下にいくつか紹介します(タケダ健康サイト|目の乾燥(ドライアイ)より)。
- 画面を見るときは意識してまばたきの回数を増やす
- パソコンのモニターは、目線がやや下向きになるように置く
- 読書や細かい作業をするときは明るい場所で行う
- 加湿器を使う
- 疲れた目を、蒸しタオルで5分ほど温める
- 十分な睡眠
- ビタミンA・B1・B2・Cを不足しないように取る
- 画面と目の間を40㎝以上離す
- 一時間に一回、15分ほど画面から目を離す など
この他まばたきを完全にできていない人も、目の表面が乾きやすくなります。しっかり目を閉じてまばたきすることを心がけるとよいでしょう。
ビタミンが多く含まれている食品
ビタミンA・B1・B2・Cは目の粘膜を保護したり、目の神経の代謝を促したりするのを助けます。以下にそれぞれの栄養素を多く含む食材をいくつか紹介します(国立循環器病研究センター|栄養に関する基礎知識より)。
- ビタミンA:レバー・卵黄・牛乳・緑黄色野菜
- ビタミンB1:豚肉・豆類・玄米など
- ビタミンB2:レバー・卵・牛乳・豆類・緑黄色野菜など
- ビタミンC:柑橘類・イモ類・緑黄野菜
病院へは行ったほうがよい?
結膜炎・白内障・緑内障・虹彩炎などの他の目の病気でも、ドライアイに似た症状が出てきます。また、ドライアイをきっかけに、シェーグレン症候群などの膠原病や顔面神経麻痺などが早期に見つかることもあります。「多分ドライアイだから大丈夫だろう」と思い込まず、思いあたる症状があれば、一度眼科に相談することをお勧めします。
軽度のドライアイであれば、点眼薬で症状を緩和できます。選び方に関して、詳しくは「ドライアイの治療法とは?市販の目薬で治そうとしても良いの?」をご参照ください。それでも症状が治まらない、悪化しているとなれば早めに病院へ行くようにしてください。
まとめ
目を酷使しがちな現代社会です。目をいたわるために、いつもと少し意識を変えてみませんか?こまめに休憩を挟む、乾燥しないよう加湿器をかける、まばたきを増やすといった心がけで、症状は緩和されることがあります。
眼科では診断だけでなく、ドライアイに合った点眼薬を処方してもらえます。他の病気の確認もかねて、症状が出たら一度受診されてみてはいかがでしょうか。