「テニス肘(テニスエルボー)」として知られている上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)。一般的にはテニス肘と呼ばれていますが、テニスだけでなく様々なスポーツでも起こります。また、パソコンやスマホなど手首や指を使う動作を繰り返し行い、肘に負担が蓄積されることでも起こりうるものです。一度発症してしまうとなかなか治らず、悩まされ続ける方も多いのではないでしょうか。

「テニス肘ってそもそも何?」「これってテニス肘なの?」という方は、テニス肘の症状・原因について取り上げた「肘がズキズキ痛い…もしかしてテニス肘かも?」をまずはご覧ください。

目次

1.テニス肘の治療方法

まず保存療法を行います。以下に示す通り自分でできるものが多いので、試してみてください。完全に治るまでに時間がかかるため粘り強い対処が必要です。

1)スポーツ、手首、指、肘をよく使う作業は控える

痛みが出ている時には、安静を心がけます。
症状が軽快してくればストレッチから開始します。

2)痛み始め、熱っぽい場合には患部を冷やす

時間が経った痛みには、温めた方が痛みが和らぐ場合もあります。

3)湿布や内服薬を使用する

4)テニス肘用のバンドを装着する

こちらはスポーツ店などでも購入可能です。

5)肘の患部に局所麻酔薬とステロイドの注射をする

上記の治療で症状が軽快しない場合、圧痛部位に注射をすることもあります。ステロイドの注射は、ある程度の期間炎症を抑えるので症状を緩和することができますが、繰り返し打つと腱組織を弱くしてしまうため、頻繁に打つことができません。

6)手関節固定

それでも症状が長引く場合は、手関節を背屈位にする装具やテーピング固定で3~6週の安静を保持します。

7)外科的手術

上記の保存療法を6か月間行っても治療効果が認められない場合には、手術療法を行うことがあります。手術方法には筋膜切開術(筋膜を切開することで筋区画内の圧を下げる)、肘関節鏡手術(断裂部分を削り、断裂部位と上腕骨外側上顆の骨とのぶつかりをなくす)などがあります。全身麻酔で行う手術ですが、ギプスなどはせず、手術翌日から肘関節を動かすことは可能です。ただ、手術が必要な状態になる前に保存治療に努めることが第一ですね。

2.予防法

534aa2ab41299d94439e0f4e7ddbaa5d_s

テニス肘は一度発症してしまうと完治するまでに長い時間を要し、再発率も高いため、ならないように予防することが大切です。以下のようなことをしてみましょう。

  • 肘周りの筋肉の強化
  • 運動前にしっかりストレッチ・ウォーミングアップをする
  • サポーターやテーピングの使用
  • 運動後は肘関節を十分に冷やす、クーリングダウンをする

まとめ

テニス肘になりやすい方は、普段からの予防に努めるのがとても大切です。もし「テニス肘かな?」と少しでも思ったら、症状が悪化する前にしっかりと保存治療を行ってください。

しかし、症状が少しでも悪化してしまった場合は、早めに整形外科に行き、適切な治療を受けましょう。テニス肘は最悪の場合手術の可能性もある疾患なので、早めの対処が肝要です。