健康を保つ上で野菜の摂取は不可欠だということは、おそらく多くの人が分かっていることだと思います。また、実際には野菜類を1日350g以上摂取することが厚生労働省によって推奨されています。ではなぜ350gも摂取する必要があるのでしょうか。それは、野菜をしっかり食べることで、ビタミン・ミネラルを必要量摂取することができ、野菜に含まれる各栄養成分によって生活習慣病を予防することが期待されているからです。

目次

野菜はビタミンミネラルの補給源

体を動かすエネルギーは炭水化物・タンパク質・脂質から得ますが、このエネルギーを得る機能にはビタミンやミネラルが必要となるのです。極わずかな量で私たちの健康を維持することから、微量栄養素とも呼ばれます。

ビタミンやミネラルは人間の体中で合成できないため、日々の食事から摂らなければなりません。この供給源として貢献するのが野菜や果物のような食品です。

ここで一つ注意したいことは、野菜の代わりに果物を摂取してしまうことです。野菜と果物に含まれる栄養素の種類や食物繊維量は異なるため、野菜と果物を同じようにみなすことはできません

また、果物には糖分が多く含まれているため、食べ過ぎには気を付ける必要があります。次の表は代表的な野菜と果物の成分をいくつか取り上げ比較したものです。種類に偏りなく食べることで、様々な栄養素が摂取できることが分かると思います。

代表的な野菜・果物の成分比較

出典:文部科学省「日本食品標準成分表」をもとにいしゃまち編集部作成

野菜で生活習慣病予防

ビタミン・ミネラルの供給源であること以外にも、野菜の摂取は生活習慣病予防になることが期待されています。ここでは代表的な生活習慣病と、その予防に野菜が有効であるメカニズムを簡単に説明したいと思います。

1.高血圧予防

食塩の摂り過ぎが続くと、血液中のナトリウムを薄めようとする仕組みによって体は水分を蓄えます。すると体内を循環する血液量が増加して血圧が上がります。

食塩摂取量を日頃から意識する必要がありますが、食塩(ナトリウム)と相反するように働くカリウムという栄養素が野菜に多く含まれています。そのため、減塩と組み合わせて野菜をしっかり摂ることは、高血圧予防に効果的です。

2.糖尿病予防

糖尿病は、血糖を下げるホルモンであるインスリンの働きが低下することによって、血糖が高い状態が続いてしまう病気です。

食事で糖尿病を予防するには、食べ過ぎないようにすることはもちろん、食後の血糖値を急に上昇させないことも重要です。食物繊維を多く含む野菜などの食品は糖の吸収を緩やかにする働きがあるため、血糖値が急に上昇するのを防ぎます。

2.脂質異常症予防

脂質異常症とは、血液中の中性脂肪やコレステロールが過剰になった状態をいいます。

野菜などに多く含まれる食物繊維は、コレステロールの吸収を抑制し、同時にコレステロールの排泄を促します。脂質異常症のリスクを低下するためも、十分な野菜の摂取が求められます。

最後に

野菜の必要性が分かっても、実際350gも摂取するのは難しいですよね。直径10cm程度の小鉢に品よく盛り付けると大体70g程度です。350gとなるとそれを5皿1日に食べる計算ですが、まずは1食1皿食べることから始めてみましょう。無理のない範囲で始め、徐々にその量を増やしていくことが継続のポイントです。是非次の食事から野菜を取り入れてみてください。