アドレナリンってよく聞く言葉ですよね。「アドレナリンが出る」なんてよく会話の中でも使われるのではないでしょうか?会話の中で使われている「アドレナリン」はホルモン物質としてのものでありますが、実はこのアドレナリンは実際に薬として医療現場で使われているのです。そこで今回はアドレナリンについて詳しく見ていきたいと思います。
そもそも「アドレナリン」とは?
お薬としてのアドレナリンについてお話する前に、まずアドレナリンとはどのようなものかについて簡単にご説明します。
アドレナリンとは体内の副腎というところから出されるホルモンのことで、エピネフリンともいわれます。交感神経を活性化するホルモンの一つで、アドレナリンが体内に放出されると
- 血圧上昇、心拍数の増加
- 気管支拡張
- 血糖値の上昇
等の作用があらわれます。
「アドレナリン」はどんな薬に使われているのか?
それでは具体的に、アドレナリンがどんな薬に使われているかについてみていきたいと思います。アドレナリン自体は処方薬でしか使われておらず、市販薬としては販売されていません。また飲み薬は存在せず、注射薬や外用薬として処方されており、ボスミンやエピペン等の商品名で使われています。
ボスミン注射薬の主な効能効果は次の5つです。同じアドレナリンでも商品によって効能・効果が変わり、適応できるもの、できないものが出てくるので確認が必要です。
気管支喘息、百日咳に基づく気管支痙攣の緩解
アドレナリンの気管支拡張作用、気管支筋を弛緩する作用を用いて、気管支痙攣による呼吸困難などを改善します。
急性低血圧、ショック時の補助治療
アレルギー反応であるアナフィラキシーショック等を起こしたときに、アドレナリンの強心作用・血圧上昇作用・気管支拡張作用による呼吸量増大を利用して症状を改善します。
心停止の補助治療
アドレナリンの強心作用を利用して、心停止を改善します。
局所麻酔薬の作用延長
局所麻酔薬の作用を延長して、作用を増強させます。
局所出血の予防と治療
アドレナリンの血管収縮作用により、出血を抑えます。
歯科分野でも使われる「アドレナリン」
歯科分野でもアドレナリンは主に局所麻酔の補助として使われています。商品としては、すでに局所麻酔薬にアドレナリンを混入させている
- エピリド配合注歯科用カートリッジ
- オーラ注歯科用カートリッジ
等があげられ、こちらは局所麻酔薬のリドカインと、その作用を増強・延長させるアドレナリン配合剤となっています。
「アドレナリン」の副作用
主な副作用
アドレナリンを使用した際の副作用には以下のようなものがあります。
- ドキドキする
- 頭痛・めまい・不安
- 嘔吐
- 肺水腫
- 呼吸困難
- 心停止 等
があげられます。なかでも肺水腫、呼吸困難、心停止は重大な副作用といえるでしょう。
併用してはいけない薬
併用してはいけない薬もあり注意が必要です。特に抗精神病薬との飲み合わせが悪く、低血圧があらわれる恐れがあるため、抗精神病薬服用中の方にはアドレナリンを控えなければいけない場合が出てきます。併用してはいけない主な抗精神病薬は以下のようになっています。
- セレネース
- リスパダール
- ウインタミン 等
上記のような薬を服用中の方は、アドレナリンを使用する場面では似たような作用をする別の薬にかえてくれますが、どこか旅行先などで急に倒れ、心停止などの意識不明の状態になった場合、普段服用している薬がわからずアドレナリンを使用してしまう可能性もあります。そういったときのためにも、お薬手帳を携帯する必要があります。
まとめ
海外の医療ドラマや漫画などでも、手術中に危険な状態になった時に「ボスミン!」と叫ぶドクターを見たことはありませんか?実はその正体がこのアドレナリンだったのです。
注射や外用薬しかでていないため、病院で治療などを受けない限りはあまり目にかかれないものではありますが、基本的な知識をしっていれば、テレビなども色々な角度から見ることができ、理解が深まるでしょう。