ゴム製品によるラテックスアレルギーと果物や野菜による食物アレルギーの一種である口腔アレルギー症候群は、身近にあるものが原因となって身体にアレルギー反応が起こります。アレルギーの症状が起こったときのために、応急処置の仕方を覚えておきましょう。今回は、ラテックスアレルギーと口腔アレルギー症候群の治療法やセルフケアについてご紹介します。

目次

ラテックスアレルギー

風船

手袋、風船などの天然ゴムを触ることによって、じんましん、水ぶくれやぜんそくなどのアレルギー反応が身体に現れることがあります。重症のときは、アナフィラキシーショックといって、皮膚、呼吸器、消化器、神経と全身の臓器にアレルギー反応が起こることもあります。

治療法は?

ラテックスアレルギーを防ぐためには、ラテックス製品を避けることです。代替商品があるのであれば、ゴムの使用は止めるようにしましょう。

アナフィラキシーショックが起きたときは

ラテックスアレルギーからアナフィラキシーショックが起こることがあります。アナフィラキシーの症状は、顔色が悪くなる、呼吸困難、ぜーぜーとした息、嘔吐、血圧が下がるなど、身体の全身がショック症状を起こして、生命に関わる状態になります。慌てずに応急処置をして、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。

アナフィラキシーに気づいたら

  1. 動かさないで仰向けに寝かせる
  2. 呼びかけて意識があるか確認をする
  3. 呼吸が普通に行われているか確認をする
  4. 嘔吐や呼吸困難があるときは、楽な体位にする
  5. 救急車を呼ぶ
  6. 医師からエピペン(気道の拡張と血圧低下を改善するアドレナリン注射のこと)を処方されていたら使う
  7. 足を高くして血液の循環を良くさせる

口腔アレルギー症候群

トマト

キウイやトマトなどの特定の果物や野菜を生で食べると、口の中がかゆくなったりピリピリ痛みを覚えるのが口腔アレルギー症候群です。食べた後すぐに口の中だけに症状が起こります。果物などに熱を加えると食べてもアレルギー症状が起こらないことがあります。食べたあとは、消化されるので他の症状は起こりにくいと考えられています。

どんな治療が行われるの

問診

アレルギーを診断するためには、身体の正しい情報を正確に医師に伝える必要があります。いつ、なにを、どれくらい食べたか、どんな症状が起こったのか、アレルギーの家族はいるか、他の病気や飲んでいる薬はあるかなどをメモに書いて問診を受けましょう。

検査

アレルギーを起こす原因となるアレルゲンの特定は、血液検査、皮膚テストが行われますが、陽性が出たからといって食べられないわけではありません。また陰性が出たときも、口の中に刺激を感じることもあります。結果と症状は必ずしも一致するわけではないのですが、安全で簡単にできるので最初に行われます。正確な診断には食物経口負荷試験が行われますが、アレルギーを疑われる食品を実際に食べて検査を行うので、専門の施設で行われます。

食事栄養指導

原因となる食物が特定できたら、食事管理を進めていきます。過剰な食物除去は栄養バランスが悪くなり、身体と精神を健康に保つことが難しくなります。除去するものとしなくてもよいものを具体的に知り、除去する結果不足する栄養素があれば補足する方法を学びながら、食事と栄養が偏らないように医師から食事の指導を受けながら治療を進めていきます。

薬物治療

食物アレルギーでは、日常的に使う薬はありません。身体にアレルギーが起きたときに、症状に応じた薬を使います。

  • 抗ヒスタミン薬:アレルギー反応が起きるのを抑える
  • 経口ステロイド:アレルギー症状と炎症を抑える
  • 気管支拡張、吸入薬:気管支が狭くなったときに広げて呼吸を楽にさせる
  • アドレナリン自己注射薬:アナフィラキシーが起きたときに、気道を拡張させて血圧低下を改善させる

日常生活の注意点は

ノート

食物日記をつける

毎日の食事やおやつなど、食べたものすべてを日記に残します。食材、調味料、アレルギーの症状の有無、環境や体調まで書いておけば、アレルギーを特定するのに役立ちます。毎日のことなので、なるべく負担にならないように続けましょう。市販で買った加工品は食品表示のラベルを切り取ったり、写真に残しておいたりと、紙でもデジタルでも自分が分かりやすいように日記をつけていきます。

同じ果物を大量にとらない

アレルギーの症状が軽いからといって毎日同じ果物を食べていると、次第に抗体が増えて症状が強くなることもあります。アレルギー反応が出ていても、検査結果が陰性だからといって同じ果物を大量に食べることは控えましょう。

栄養バランスの取れた食事をする

口腔アレルギー症候群の原因となる果物や野菜には、ビタミン、ミネラルや食物繊維などが含まれています。これらの栄養が不足しないように、食べられるその他の果物や野菜で補うようにしましょう。除去食を続けることになっても、栄養バランスが偏らないように、食事やおやつで必要な栄養素を摂取することが大切です。

ラテックスアレルギーも口腔アレルギー症候群もさまざまな症状が現れるので、どの科を受診すればよいか迷いますが、できればアレルギーに詳しい専門医を探しましょう。

アレルギー科はアレルギー全般を広く診ることのできる診療科です。ラテックスアレルギーと口腔アレルギー症候群の詳しい症状やメカニズムについては、「キウイやフルーツに要注意!ラテックスアレルギー・口腔アレルギー症候群って?」をご覧になってください。

まとめ

ラテックスアレルギーも口腔アレルギー症候群も、身体を異物から守る免疫システムが過剰に働くことで、かえって身体に悪い反応を起こしてしまっています。アレルギー症状を緩和するためには、原因となる物質を特定して避けることにあります。

食物アレルギーの場合は、栄養バランスが偏らないために、除去食を行うときは、医師と連携して行うことが大切です。ラテックスアレルギーは、重症化するとアナフィラキシーショックを起こすことがあるので普段から触れないように気を付けて、もしもの時の応急処置も身につけておきましょう。