歯並びは顔の印象を大きく左右します。またよい歯並びは一生の健康にとってとても大事なものです。子供の将来を考えると、できればいい歯並びで一生を過ごしてもらいたいものですよね。一般的に矯正治療は高額であるとはよくいわれていますが、子供の場合早く始めると健康的にもメリットがあるばかりかお財布にも優しく済むことが多いようです。今回は子供のケース別矯正治療法、また費用などについて、歯科医師・岸本 佐智先生による監修記事でお話していきます。

目次

子供の歯並びが気になる…どうやって治すの?

まず、子供に歯並びを悪くする悪習癖があればそれを改善させます。

お子さん、こんな癖ありませんか?歯並びを悪くする7つの悪い癖」の記事で書きましたが、具体的には

  • 指しゃぶり
  • 舌を突きだす
  • 下唇を上の前歯で咬む
  • 口呼吸
  • 上下唇を中に吸い込む
  • 食べる時にあまり噛まない
  • 同じ側での頬杖、うつぶせ寝

などですが、これらの癖をなくすだけで歯並びが改善する場合もあります。もしそれだけでは治る見込みがない場合は器具を用いての矯正治療ということになりますが、ケースによって始める年齢、使う器具なども変わってきます。

矯正治療って大人になってからじゃだめなの?

矯正治療はもちろん、大人になってからでもできます。ですが、子供の時期に顎の成長に合わせて矯正を進めることによって様々なメリットがあるのです。

小児矯正のメリット

  • 通常、歯を間引きして行う成人矯正と違って、歯を抜かなくてもできる可能性が高い。
  • 顎の骨の成長をコントロールしながら行うので、理想的で健康的な仕上がりになりやすい。
  • 矯正治療においては一カ月ごと位に歯科医院にかかる必要があるので、そのときに虫歯チェックや生え変わりなども見てもらえる。
  • もし小児矯正だけでは治せなかった場合でも、その後の成人矯正で期間も短く、理想的な仕上がりになりやすい。
  • 多くは取り外し式ということで、歯磨きは外して行えるため虫歯のリスクが高くなることがない。

子供の矯正は具体的にどんなことをするの?

小児矯正とは永久歯が生え揃う12歳頃まで行います。開始時期は症例にもよりますが、早くて3、4歳くらいから行う場合もあります。この時期の矯正治療は 歯の表に金属やワイヤーをつけるものとは違い、主に取り外し式で在宅時に使用しますので、見た目でコンプレックスを抱える心配がありません。

受け口(反対咬合)である場合

この場合は骨格が原因である場合が多く、反対の噛み合わせであるために下顎の成長は上の歯の押さえがないために前方にどんどん進んでしまうことが多いので、早めの対処が必要となることが多いです。矯正器具としては主に、ムーシールドと呼ばれるマウスピースを用います。これは、夜間寝ているときだけ装着します。3歳頃から永久歯が生える前までが適応です。

出っ歯である場合

上顎の成長を抑制する場合にはヘッドギアとよばれる装置を在宅時にできるだけ長時間つけるようにします。対して、下顎の成長が十分でなく出っ歯になっている場合は、下顎の成長を促すバイオネーターという口の中に入れる装置を使用します。これも在宅時になるべく長時間つけるようにします。

近年、バイオネーターやヘッドギアなどでは顎の成長をコントロールする効果が認めらないことが米国英国の大規模調査でわかっています。ですので、このような装置の使用も少なくなってきているといえます。

叢生(ガタガタの歯並び)の場合

八重歯を含むガタガタの歯並びには拡大床と呼ばれる装置を使います。取り外し式のプラスチックとワイヤーでできた装置で、狭くなってしまっている歯のアーチを横方向にゆっくりと広げていく装置です。これによって、通常成人矯正では並べるために抜歯が必要なケースが非抜歯で矯正可能となることが多いです。

子供の矯正治療って費用はどのくらい?

治療費

自由診療ですので、医院によっても治療費は異なってきますが、一般的には30万~60万円くらいのようです。成人矯正はだいたい60万~100万円といわれていますので、約半分くらいの治療費といえるでしょう。治療を始める前に、まずは治療費を確認することをお勧めします。

まとめ

顎が小さい、大きいなどは遺伝的な要素が関係している場合もありますが、成長段階の子供のうちであれば、矯正器具によってある程度コントロールして健康的で正常な歯並びにすることが可能です。ただ、多くは取り外し式ということもあり、お子さんの協力が不十分であまり装着できなかったりすると十分な効果が得られません。始める前にまずはお子さんと十分に話し合いをしておきましょう。