この記事を読んでいるみなさんは、禁煙に関して多少なりとも興味がある方だと思います。あなたは喫煙者ですか?もしそうなのでれば、禁煙この記事を読み始めた時点であなたの禁煙生活はスタートしています。
禁煙は、誰でもできます。正しい知識を身につけ、行動に移しましょう!

目次

喫煙は意志ではやめられない。れっきとした病気です!

「タバコは身体に悪い」といった話は、誰でも一度は聞いたことがあるでしょう。とはいえ、禁煙を続けるのはとても難しいことです。日本医師会によると、喫煙者の4人に1人は「禁煙したい」と考えているといいます。しかし、実際には喫煙者の割合はこの数年変わっておらず、禁煙に成功した人がそう多くはないことを示しています。

はじめに理解していただきたいのは、禁煙が成功するかどうかにおいて意志の強さは関係ないということです。タバコをやめられないのは「ニコチン依存症」という病気によるものなので、なかなか禁煙できないのは当たり前のことだといえます。

「喫煙でストレス解消」は嘘!

「タバコを吸うとストレスが減る」と考える喫煙者の方は多いと思います。たしかに、タバコを吸うと気持ちがスカッとする感覚があるかもしれません。しかし、それはタバコに含まれるニコチンという物質が作り出した幻想なのです。結論から言うと、喫煙はストレスを解消しているのではなく、もともと存在するストレスに加え、喫煙という行為自体が新たなストレスを作り出していると考えられています。そのメカニズムをこれから解説します。

タバコとストレスの切っても切れない関係

脳内にはドーパミンという物質が存在します。ドーパミンは私たちを気持ち良い気分にさせてくれる物質で、通常は適度に分泌されることで私たちの気分を維持してくれています。

一方、タバコを吸う人(ニコチン依存症の人)は、ニコチンが切れるとストレスを感じます。しかし、喫煙によってニコチンを体内に取り入れると、ドーパミンが一気に、しかも大量に放出されます。つまり、タバコを吸うと、大量のドーパミンによって少しの間だけとてもいい気持ちになるのです。

ところが、この作用は長くは続きません。ドーパミンが減少するにつれてイライラしてきます。そして、「さっきの爽快感を味わいたい」と強く思うようになります。あの気分を味わうにはタバコしかない、と感じてしまうわけです。

このようにして、ドーパミンが減るとタバコを吸うという悪循環が形成されます。これがニコチン依存症という病気です。つまりニコチン依存症では「慢性的なドーパミン枯渇」という状態が作り出されることで、禁煙しようと思ってもなかなかやめられなくなってしまっているというわけです。

ニコチン依存症は病院で治そう

タバコを折る医師

ここまで、禁煙できないのは意志の弱さではなく、病気のせいだと話してきました。

さて、みなさんは病気になったときどうしますか?病院に行って、医師の診察を受けますよね。同様に、ニコチン依存症も病院で診察を受け、治していきましょう。病院での禁煙治療は、健康保険の適用となります。全国各地の病院に禁煙外来があるので、一度お住まいの地域で検索してみてください。

ニコチンの依存度の高さは、コカインやヘロインとそう変わらないとされています。一人では難しい禁煙ですが、禁煙外来で計5回の治療プログラムを受けた場合の禁煙成功率は8割程度です(ファイザーより)。つまり、病院に行って適切な治療をすれば、ニコチン依存症から脱却できる可能性がぐっと高くなるのです。

最後に

以上、禁煙できない理由とその対処法についてお話ししてきました。

読者の中には「病院に行くだけならいつでも行けるよ!」と思われた方もいたのではないかと思います。ただし、ここで一つ大切なことをお伝えします。それは、病院に行けるのは自分が病気だと気づけた人だけということです。あなたは、タバコを吸っている自分を病気だと思ったことはありますか?「ニコチン依存症」という病気であることへの気づきが、禁煙への第一歩なのです。