異所性妊娠と診断された、もしくはその可能性があると言われたら非常に不安になるかと思います。
治療方法にはどんなものがあるか、今後の妊娠に影響があるのかなど気になることもたくさん出てくるでしょう。ここでは、異所性妊娠の治療方法と、次回の妊娠への影響についてお話ししたいと思います。

目次

異所性妊娠の治療法

異所性妊娠の治療法は大きく3つに分かれます。
基本的には手術療法が選択されますが、状態が良い場合には薬物療法や待機療法になることもあります。

1.手術療法

卵管妊娠の場合、以下の2つの手術方法があります。①②共、開腹手術か腹腔鏡下手術のうちのどちらかの方法で行われますが、大量出血によるショック状態や高度な肥満、周りの組織との癒着が激しい場合などは開腹手術が選択されます。それ以外の場合はからだの負担の少ない腹腔鏡下手術が選択されます。

①卵管線状切開術

卵管を切開して卵管内の胎嚢などを除去する手術方法です。妊娠の希望があり、hCGの値が低く、妊娠部分の大きさが5cm未満、初めての異所性妊娠で、胎児心拍がなく、卵管が破裂していないという適応基準があります。卵管は温存することができますが、次回の妊娠の際に異所性妊娠を繰り返す可能性が10~15%程度あると言われています(産婦人科ガイドラインより)。

②卵管切除術

卵管ごと妊娠部分を切除する手術方法なので、片側の卵管がなくなります。反対側の卵管に問題がなければ、手術後も妊娠可能です。卵管破裂している場合は緊急性が高いため、手術方法は卵管切除術になります。

2.薬物療法

メトトレキサート(MTX)という薬剤を筋肉注射や妊娠部位へ直接注射することで胎嚢の成長を止めます。メトトレキサートは抗がん剤の1つで、異所性妊娠への保険適用はないため保険が効きません。稀に口内炎、白血球減少、脱毛、間質性肺炎などの副作用が起こる可能性があります。

3.待機療法

経過を見つつ、自然に受精卵が吸収されるのを待つ方法です。
全身状態が安定していて、hCGの値が低く減少傾向を示し、妊娠部分の大きさが3~4cm未満であることなどの条件を満たす場合に適用されることがあります。胎嚢(赤ちゃんの入っている袋)の中に胎芽(妊娠初期の赤ちゃん)が見えている場合は破裂する可能性があるため、この治療方法は行うことができません。

次の妊娠への影響は?

陽性の妊娠検査薬を見る女性-写真

どの治療法でも成功すれば、妊孕性(妊娠する力)や異所性妊娠の反復率は変わらないとされています。
次の妊娠を希望される場合は、適切な治療を受け、原因となる病気や感染症があればそれも治療することで、妊娠する確率と正常な位置に着床する確率を上げましょう。

まとめ

異所性妊娠を発症しても、しっかり治療をすれば次回の出産は可能です。
ただし、次回以降の妊娠で異所性妊娠を反復するリスクもあるため、妊娠をご希望される方は妊活の段階からよくご自身の体調に気を配り、気になる症状が出たら産婦人科に受診をするようにしましょう。