はじめて産婦人科を受診する時、不安に思われる方は少なくありません。風邪やケガで受診する内科や外科などの診療科なら受診した経験を人から聞くこともあり、どんな検査をするかや診察の流れもわかっていますが、産婦人科は受診する機会がほかの診療科に比べて少なく、人から話を聞くこともあまりないかと思います。ここでは、産婦人科を受診した際の診察の流れや、検査の内容、受診する際に気を付けたいポイントについてお話ししたいと思います。

目次

診察の流れについて

病院によっては初診でも予約が可能なところもあるため、受診する前にホームページなどを見て確認してみましょう。予約をしたほうが待ち時間も少なくスムーズです。出産を扱っている個人病院の産婦人科では、外来時間中に医師が分娩室に入ることもあるため、出産の状況次第では外来の診察がストップする場合もあります。産婦人科受診の後になにか予定を入れておくのは控えておいたほうがいいかもしれません

産婦人科を受診したら、まず最初に受付で問診票を渡されますので必要事項を記入しましょう。問診票には受診理由や最終生理がいつから何日間あったかや、初経は何歳かなどを記載することになりますので、事前にメモに記入するなどして整理しておくとスムーズに問診票が書けます。問診票記入後に、尿検査のために採尿するように言われる場合がありますので、産婦人科受診間際にトイレに行かないようにしましょう

順番が来たら診察室に呼ばれます。いきなり内診(実際に体の状態を診る診察方法)ではなく、診察室で問診表を元に先生から問診(患者さんに質問をして状態を診る診察方法)を受けます

問診後、必要がある場合は内診や細胞診、超音波検査などの検査を行いますが、性交未経験の方は一般的に内診(膣からの診察)はしません。性交経験がない方で超音波検査が必要な場合は肛門またはお腹の上から超音波の機械を当てます。問診表にも性交の経験についての記入欄はありますので、先生も配慮してくれます。検査の後、診察室で診察結果や今後の治療方針についてお話があります。次回受診日のだいたいのめやすも伝えられますので忘れないようにしましょう。

どんな検査をするの?

産婦人科の検査の一般的な検査内容は以下のようなものがあります。

内診

診察室とは別の内診室にて内診を受けます。ショーツを脱いだ状態(下半身のみ裸)で内診台というソファのような椅子に座り診察を受けます。内診台は後ろにゆっくり倒れつつ足を乗せた台が開いていきますが、大抵の内診室は患者さんと先生の間にカーテンがひかれているので顔が見えることはありません。

内診では先生が指を膣内に挿入して、子宮や卵巣などの状態を調べるほか、経腟エコーおりもの検査、子宮がん検診などの検査を行う場合もあります。

経腟エコー

内診の際に行われる検査の1つです。棒状のエコーのプローブを膣内に入れて、子宮や卵巣の状態を診る検査方法です。妊娠初期では、経腹エコーでは赤ちゃんが小さすぎて見えないため、必須の検査になります

経腹エコー

ベッドに横になった状態で、お腹の上からエコーで子宮や卵巣の状態を確認します。妊娠中期・後期には経腹エコーで赤ちゃんの状態を確認します。性交経験がなく肛門からの検査も難しい10代前半の方や、経膣エコーではうつしきれないほどの大きさの筋腫がある場合などにも行います。

おりもの検査

内診の際に行われる検査の1つです。膣内のおりものを綿棒のようなもので採取して、症状の原因となる細菌や原虫などを特定します。性感染症の一部もこの検査でわかります。検査機関に送って検査するため、1週間後ぐらいに結果が出ることが多いです。

子宮頸がん検診(細胞診)

内診の際に行われる検査の1つです。子宮頸がんの検査は、内診時に綿棒のようなもので子宮の出口をこすって細胞を集め、その細胞の中にがん細胞がないかを確認します。おりもの検査と同じように検査結果が出るまでに1週間ぐらい必要になります。

子宮体がん検査(細胞診)

主に閉経前後の年代で不正出血おりものが続く場合に行うことの多い検査です。子宮の奥の細胞を細いブラシでこすり取る検査です。子宮頸がん検査と比べて多少痛みや出血を伴います。

受診の時の注意ポイントは?

スカートを履いた女性-写真

1.持ち物について

なにを持っていけばいいかよくわからないという方も多いと思います。下記の持ち物を持っていけば、スムーズに受診できます。

  • 保険証…初診の際には必ず必要です。再診の場合も受診が月を跨いだら必要になります。
  • お金…診察内容によりますが、初診の時は1万円あれば十分足りるでしょう
  • 受診理由や最終月経などを書いたメモ…問診票を書く際にスムーズに書けるように準備しておきましょう。
  • お薬手帳…お薬が出る場合もありますので、お薬手帳をお持ちの方は持っていくようにしましょう。
  • 基礎体温表…基礎体温をつけている方はぜひ基礎体温表を持って行って下さい。基礎体温表があれば、先生も診察に役立つ内容を読み取れますので、診察がスムーズになります
  • 本など時間を潰せるもの…産婦人科の場合、急なお産の対応などで外来診療が滞ることがあります。待合室にも大抵、雑誌などは置かれていますが、自分の好みに合う本を持って行ったほうがもし待ち時間が長くなってもイライラしにくいと思います。

2.どんな服装で行けばいい?

内診が必要になることもあるため、サッと下着だけ脱いで内診台にあがれる服装がいいでしょう。おすすめは丈が長すぎないワンピースや裾の広いスカートです。ストッキングやタイツは脱ぐのに手間がかかるため、やめておいたほうがいいでしょう。焦って破れたり、転倒したら大変です。

パンツタイプでも問題ありませんが、脱ぎにくいスキニーはやめておいたほうが無難です。

3.生理が来てしまったら…受診のタイミング

生理中の受診は避けたほうが無難です。生理中では検査できない項目もあり、後日また来てくださいということになる可能性もあります。ですが、いつもの生理とは違うと感じた場合や出血が10日以上続いている場合には止血を待たず受診しましょう。生理の量がいつも以上に多く、腹痛もあるという患者さんが子宮外妊娠だったという症例もあります

まとめ

誰でも産婦人科受診を受診するのが初めてだった時はあります。もし受診を悩まれている方は、この記事を読みついでに、受診する病院を決めて予約できる病院なら予約してみましょう。初めての受診には勢いも大切です。もっと早くに受診すれば…というようなことにならないためにも、頑張って行動を起こしてみましょう。

また、周囲の人に産婦人科の受診を知られたくない方もいるかもしれませんが、個人情報保護の点からどんなケースでもご家族などに病院が勝手に連絡するようなことはありませんので安心してください。