「量はたいして食べていないのに痩せない」「年を取るにつれておなかが出てきた」など、肥満による悩みはつきません。肥満は食事内容、運動量だけでなく体質も関係してきます

最近は漢方を使った多くの商品が販売されており、肥満の改善を宣伝しています。商品は「ビスラットゴールド®」や「コッコアポ®」、「ナイシトール®」など一見漢方とは思えない名前で店頭に並んでいます。今回はこの肥満に効く漢方について詳しく見ていきたいと思います。

目次

肥満の定義

肥満とは過剰な脂肪が体内に蓄積している状態のことを示し、よく指数としてボディ・マス指数(BMIが用いられます。BMIとは体重と身長の数値から肥満度を表すもので、計算式は以下のようになっています。

BMI体重(kg) ÷ (身長(m))2

このBMIの値によって以下のように定義されています。

  • 5未満:やせ形
  • 5~25未満:普通体重
  • 25以上:肥満 数値が上がるにつれて肥満度もあがる

一度この計算式に自分の身長・体重を当てはめて計算してみましょう。

肥満の種類と効果的な漢方

漢方薬-写真

肥満といってもその種類はさまざまです。自分のタイプに合った漢方を選ばないと、かえって下痢になるなど体調不良を招くこともあります。

そのためまず自分がどのタイプの肥満なのかを確認してから漢方を選ぶ必要があります。肥満の種類と、その肥満に対応する漢方について詳しく見ていきます。

がっちりとしておなか周りの脂肪が多い固太りの方

太くがっちりした体格で、食欲旺盛、脂っこいものを好んで食べるような方で便秘がちな人が当てはまります。特に中年男性に多いタイプです。食べ過ぎで便秘がちである場合は、汗や尿・便通などを改善して身体にとって余分なものの排泄を促すために漢方が有効に働きます

対応する漢方:防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

漢方では必要以上に油っこいものなどを取りすぎると、胃腸が活発に動くことで熱を生じて、この熱がさらに食欲を刺激したり逆に胃炎を起こす原因になるといわれています。また溜まった熱や排泄出来なくなった身体の不要物が原因となり高血圧や皮膚のできもの・便秘などをひきおこすとされています。防風通聖散はこの熱や不要物を汗や尿・便として排除します。ある論文では体脂肪率、内臓脂肪量、皮下脂肪量、血圧、体重のいずれも防風通聖散の内服で改善したとの報告もあります。

市販薬では「ナイシトール®」「コッコアポEX錠®」などがこれに相当します。もともと胃腸が弱い方下痢をしている方などは下痢が悪化したり、肝機能障害を生じる恐れがあるため避けて下さい。

がっちりとしてイライラが強い方

漢方ではストレスを常に感じていると、肝に影響を及ぼし熱が発生するといわれています。肝からの熱により高血圧や胃炎などを起こすことがあります。またストレスはエネルギーの流れや腸の動きを悪くすることもあり、便秘につながります。

対応する漢方:大柴胡湯(だいさいことう)

イライラによってたまったエネルギーの流れをスムーズにし、身体の熱を取り除き便秘も解消します。論文では中性脂肪・総コレステロールの減少がみられたとの報告があります。市販薬では「ビスラットゴールド®」や「コッコアポG錠®」などが該当します。

ぽっちゃりした水太りタイプの方

女性に多いのがこのぽっちゃりタイプです。食事の量はそこまで取っていないのに太ってしまう人は、体内の水の代謝がうまくいかず、過剰に蓄積している状態になっています。そのため水の代謝をよくする必要があります。

対応する漢方:防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)

筋肉が柔らかく汗をかき易い、色白で疲れやすいぽっちゃりした人によく使われます。水分を排泄させる作用と、体の表面を引き締めて汗を抑える作用があります。関節の腫れやむくみなどにも効果があります。市販薬では「コッコアポL錠®」などがこれに相当します。

月経不順やむくみを伴う方

更年期の女性に良くみられます。血液循環が悪く、水分を貯めてしまうため肥満につながります。血液のめぐりが悪くなるため、のぼせや足の冷えなどが起きやすくなります。

対応する漢方:桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

血の流れをよくして循環を改善し、水分を排泄させ肥満に働きます。

まとめ

漢方は肥満の種類によって合うものが異なります。合わない漢方の服用を続けると、効果がないどころが下痢や肝機能障害などが生じることもあるため注意が必要です。どんな漢方が使われるか、どんな人に適しているのかは薬のパッケージをくまなくチェックしましょう。分からなければ漢方専門医や薬剤師などに相談してください。

日ごろの食事でも野菜をしっかり食べ、たくさんかむことで健康的に満腹感を得ましょう。毎日の体重も記録してみてください。ストレスをため込むことは過食につながる恐れがあり、体内の動きを悪くします。規則正しい生活、ストレス解消、バランスの良い食事を意識しながら漢方を服用しましょう。