皆さんは「大柴胡湯(ダイサイコトウ)」という名前を聞いたことがあるでしょうか?漢方薬ですがあまり有名ではないため、いつどんな時に服用するかわからない方が多いのではないでしょうか。

しかし最近では大柴胡湯の肥満症に対する効果が注目され、市販の肥満症の方用のお薬としても販売されるようになりました。商品名としては「コッコアポG」「ビスラットゴールド」などがあり、こちらの名前だったら聞いたことがある方も多いかと思います。

そこで今回はこの「大柴胡湯」について、肥満症に対する効果を中心に詳しく見ていきたいと思います。

目次

「大柴胡湯」ってどんな薬?

大柴胡湯は「だいさいことう」と読み、余分な体の熱や炎症を取り除き痛みを改善したり、便通をよくしたりする作用を持っています。また肝機能を改善して余分な脂質も燃焼させることができるため、肥満症にも用いられます。

比較的体力があり、わき腹からみぞおちにかけて張って苦しく便秘気味の方に使われます。漢方は何種類もの生薬が合わさって構成されており、大柴胡湯には以下の生薬が含まれています。

  • 柴胡(さいこ)
  • 半夏(はんげ)
  • 黄芩(おうごん)
  • 芍薬(しゃくやく)
  • 大棗(たいそう)
  • 枳実(きじつ)
  • 生姜(しょうきょう)
  • 大黄(だいおう)

この中の大黄が便秘によく効くとされているため、下痢気味の方などは大黄が入っている漢方は避けた方が良いとされています。

「大柴胡湯」の効き目は?

市販では肥満症についての効き目が注目されていますが、実は肥満症以外にも色々な効能・効果があり、色んな所で使われているのです。

それでは大柴胡湯の効能・効果について詳しく見ていきましょう。

  • 肥満症
  • 高脂血症
  • 肝機能障害、黄疸
  • 胆石症、胆のう炎
  • 高血圧に伴う肩こり
  • 頭痛
  • 便秘
  • 悪心、嘔吐、食欲不振
  • 胃炎
  • ノイローゼ、不眠症
  • じんましん

大柴胡湯は抗アレルギー作用肝機能障害改善作用胃粘液保護・胃酸分泌抑制作用、またストレスから生じる自律神経の乱れやイライラ不安なども抑える効果があります。

「大柴胡湯」はなぜ肥満症に効くのか?

ウエストをはかる女性-写真

それではなぜ大柴胡湯は肥満症に効果的なのか、なぜ市販のお薬にもたくさん採用されているのかについて、詳しく見ていきたいと思います。

なぜ肥満症に効くのかについては、大柴胡湯が持ち合わせている「肝臓の脂質代謝改善作用」「脂質の吸収抑制作用」の二つが大きくかかわっています。

脂質代謝改善作用

大柴胡湯には肝機能改善効果があり、肝臓で脂質の代謝を促進、つまり余分な脂質を分解し、血中に入っていく脂質の量を減らします。その結果、中性脂肪を減少させる等肥満症に効果があるとされています。

脂質吸収抑制

食事から取り入れた脂質はまず小腸に行きそこから吸収されますが、大柴胡湯はこの小腸での脂質の吸収を抑制します。また大腸で脂質が再吸収される前に排出を促進させるため、体内の脂質の量を減らすことができるのです。

ストレスからの過食にも効果的

大柴胡湯はイライラや不安を和らげる効果もあるため、ストレスから引き起こされる過食を抑制し肥満症に効果があるともされています。

「大柴胡湯」に副作用はあるの?

大柴胡湯は便秘を改善する作用があるため、効果が強く出て腹痛や下痢などの副作用を引き起こす場合があります。

また重大な副作用として間質性肺炎があげられます。

間質性肺炎とは肺が炎症・損傷を起こし、呼吸がうまくできなくなる病気です。安静時にも苦しさを感じるようなら医師に相談してください。

「大柴胡湯」の服用を避けた方がいい人

大柴胡湯は比較的体力があり、便秘気味の方に用いられる漢方ですので

  • 体力が衰えている方
  • 下痢、軟便のある方

は副作用が生じる恐れがあるため、服用を控えた方が良いでしょう。

また

  • 妊娠中の方
  • 授乳中の方

大黄の子宮収縮作用流産・早産の危険性、母乳中への大黄成分の移行による乳児の下痢の恐れなどがあるため、こちらも控えた方が良いでしょう。

 まとめ

最近では今回の大柴胡湯のように、漢方の名前を出さず、別の名前で市販のお薬として販売されている例が多いです。そのため知らず知らずのうちに漢方を服用していたといた方も多いのではないかと思います。パッケージの裏面の成分欄をみると、商品名からは想像もしなかった漢方の名前が載っていたりするので、色々と見てみるのも楽しいかと思います。

しかし注意すべきは漢方の中の生薬成分の重複です。病院から漢方をもらっていたけど、今回のような漢方を含む市販薬も飲んでいる場合、知らないうちに同じ生薬を重複して服用している可能性があります。問題にならない成分も多いですが、今回ならば「大黄」が重複しやすい成分であり、取りすぎると下痢などの副作用を引き起こす恐れがあります。

市販のお薬を購入し服用するときは、裏面の成分欄を見る習慣を付けましょう。