お酒好きの方でビール腹に悩まされている方は少なくないかと思います。
おなかがぽっこり出ると見た目も気になりますが、アルコールによる肥満はメタボリックシンドロームの原因にもなります。

この記事ではアルコールとメタボリックシンドロームの関係について解説します。

目次

メタボリックシンドロームとは?

メタボリックシンドロームは内臓に脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満の状態に加えて、血圧・血糖・血清脂質の高値がみられる状態です。メタボリックシンドロームの方はさまざまな病気を引き起こしやすくなっているため、食生活の見直し等で対応する必要があります。

メタボリックシンドロームと診断されるのは、
ウエスト周囲径が

  • 男性 85cm以上
  • 女性 90cm以上

であり、下記のいずれか2つを満たしている時です。

  • 高トリグリセライド血症≧150mg/dl かつ/または 低HDLコレステロール血症<40mg/dl
  • 収縮期血圧≧130mmHg かつ/または 拡張期血圧≧85mmHg
  • 空腹時高血糖≧110mg/dl

飲酒によるメタボへの影響

お酒の飲みすぎは、メタボリックシンドロームの発症にどのように影響するのでしょうか?
メタボの診断基準にも関わる肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病4つの観点で見ていきましょう。

肥満への影響

飲酒は飲みすぎやアルコールによる食欲増進、飲酒時のつまみの摂取によるカロリーの摂りすぎによって肥満を招くリスクがあります。また飲食する時間が遅くなり就寝近くになりやすくなることもカロリー過多に結びつきます。

高血圧への影響

飲酒は一時的に血圧が下がることもありますが、長期間の飲酒によって摂取するアルコールの量が増えるほど高血圧の頻度が高くなるとされています。塩分の高いつまみの摂りすぎ飲酒による肥満も高血圧に関連していると考えられます。

飲酒と脂質異常症

適度な飲酒はHDL(善玉)コレステロールを増やします。しかし、常習的な飲酒は中性脂肪を増加させ、脂質異常症動脈硬化の原因となることや膵炎を引き起こすこともあります。

血糖値への影響

適度な飲酒は血糖値を下げると言われていますが、多量かつ長期間の飲酒は血糖コントロールに悪影響を与えます。
飲酒時のつまみによるカロリーの摂りすぎが高血糖を助長することもあります。アルコール性膵炎やアルコール性肝硬変がある場合は糖尿病を発症しやすくなります。

いずれも、多量な飲酒は良くない影響をもたらすことがわかっています。
とはいえ禁酒しなくてはいけないというわけではなく、適度な量を守ることが大切です。

メタボ予防・ビール腹解消のために…適度な飲酒量とは

では、適量とはどのくらいの飲酒量なのでしょうか。厚生労働省では「節度ある適度な飲酒としては、1日平均純アルコールで約20g程度」としています(厚生労働省|健康日本21 アルコールより)。

純アルコールは
お酒の量(mL)×アルコール度数(%)×0.8
で求めることができます。

これだけですとわかりにくいかもしれませんね。
具体的な例として、下記におよそ20g程度のアルコールに当てはまりまる飲酒量をまとめました。
参考までにご覧ください。

お酒の種類 アルコ
ール度数
純アルコ
ール量
ビール 中瓶1本
(500ml)
5% 20g
清酒 1合
(180ml)
15% 22g
ウイスキー
ブランデー
ダブル
(60ml)
43% 20g
焼酎
(35度)
1/2合
(90ml)
35% 25g
ワイン 2杯
(240ml)
12% 24g

適量の飲酒にする工夫|出典:厚生労働省 健康日本21 アルコールをもとに作成

純アルコール20g程度のアルコールは、お酒を飲む方にとっては物足りない印象を受けるかもしれません。
その場合にはお酒の飲み方やつまみの選び方を工夫してみましょう。

お酒の飲み方で言うと、ロックよりも水割りなどでカサを増した方がアルコールの量はそのままで飲むペースを落とすことができるかもしれません。

また、ついついお酒を飲むと進みがちなおつまみは塩分やカロリー、脂質が高いものも多いです。
生もの、焼き物、蒸し物、酢の物、煮物などの油を使わない調理法のものや、噛みごたえのあるもの、お腹の中で膨らみやすい食物繊維を多く含むものなどを選ぶことがおすすめです。具体的にはキュウリやナスの漬物、枝豆(塩分少な目)、野菜スティックなどです。

まとめ

日常的なお酒を飲みすぎはメタボリックシンドロームの原因にもなりますし、健康を損なう原因になります。
一方でアルコールは、適量を守ることさえできれば健康に良い効果が得られることもわかってきています。
メタボリックシンドロームを予防するためにも、毎日のお酒の量、飲み方を見直してみませんか。