目の手術の中でも特に多く行われるのが、白内障の手術です。老化現象ともいえる白内障は程度の差はあるにしても将来誰もがかかる目の病気ともいえます。白内障の手術を受けた後はどんなことに気をつけなければいけないのか、目の手術後の注意点などについてみていきましょう。

目次

白内障手術の概要

白内障は、レンズの役割をしている水晶体が濁ってしまい視力が低下してしまう病気です。先天性のものやアトピーや外傷が原因の場合もありますが、多くは加齢が原因となる加齢性白内障です。

初期のうちは進行を遅らせる目薬を使用して様子をみる場合がほとんどですが、視力低下が日常生活に支障をきたすようであれば手術が必要になってきます。

白内障の手術は、濁った水晶体の中身だけを超音波で砕いて吸い出し、残した薄い膜の中に眼内レンズと呼ばれる人工の水晶体を入れる「超音波乳化吸引術」という方法が主流となっています。医療技術や器械の進歩により現在では局所麻酔で約3mm以下の小切開で行えるため、日帰り手術も多く行われています。

手術直後の生活で気をつけなければいけないこと

白内障の手術時間は1020、かつ日帰り手術も可能ということで手軽に受けられるというイメージが定着しています。しかし手軽だから簡単な手術ということではありません。あくまでも医療技術の進歩によって手軽な手術になってきたものであるため、医師の技術も大切になってきます。また、短時間とはいえ手術なので合併症などがおこる可能性もゼロではありません。そのため、手術後の生活にも注意が必要です。

手術直後は、手術した目を押さえたり圧迫したりするようなことはしてはいけません。どのくらい見えるようになったのか確認したい気持ちもあると思いますが、小切開とはいえ手術直後は傷口もあるため、普通の状態よりも細菌感染をおこしやすい状態です。目をこすったりしないように目を保護するために、手術直後は眼帯で目を覆っています。手術翌日の医師の診察が終わるまでは、眼帯ははずさないようにしましょう。

翌日の診察で異常がなく経過が良好であれば、眼帯をはずし、徐々にお風呂や洗顔・仕事・スポーツなど日常生活は医師の指示に従って行うことができます。しかし、ここでも目を押さえないように注意してください。

術後1週間は日常生活での制限がある場合があります。それ以降はほぼ手術前と同じような生活ができるようになります。

ただ、手術の経過や回復状況などには個人差もあるため、自己判断はせず必ず医師と相談しながら行いましょう。もちろんその間に痛みや視力の低下などを感じるようであれば早急に受診してください。

白内障手術後の視力

本をよむ女性

白内障手術をすると必ず視力が回復すると思っている人も多いかと思いますが、視力が回復するかどうかは視力低下の原因によって決まってきます。

白内障が視力低下の原因であれば、濁った水晶体を綺麗にすることで視力の回復は期待できます。しかし白内障だけではなく、網膜などに視力が低下する原因があった場合、手術をしても思ったように視力がでないこともあります。それを確かめるためにも手術前の検査で眼底検査なども行い、視力低下の原因を十分に調べます。

また、目の中に入れる眼内レンズの度数によって遠くがはっきり見えるようになると、その分近くは見にくくなり老眼鏡などの眼鏡が必要になります。反対に、近くを見やすくなれば遠くは見えにくくなります。

本来、水晶体は厚みを変えて遠くや近くにピントを合わせています。しかし、人工の眼内レンズではこの厚みを変える「調節」ができません。ライフスタイルなども人によって異なるため、医師と相談しながらどのくらいにピントを合わせるのかを決め、眼内レンズの度数を決定します。つまり白内障の手術で使用する眼内レンズは1人1人度数が異なる、まさにオーダーメイドのレンズなのです。

定期検診の重要性

術後は医師の指示に従って、定期検診を必ず受けてください。手術した目は安定するまでに数カ月かかるといわれています。また目薬も術後3カ月ぐらいは必要となります。

術後、視力も回復すると、受診の必要性を感じなくなり途中で目薬をやめてしまったり、定期検診を受けないで放置してしまったりするという人も残念ながらいます。しかし、感染などをおこしたり手術の合併症が起こったりする可能性もあるため、目に異常がおこっていないか確認する上でも定期検診はとても重要なのです。

まとめ

手術をしてよく見えるようになると、気分が晴々して毎日の生活もとても楽しくなります。「見える」ということに改めて感動する人も多いでしょう。その状態を長く保ち続けるためにも、必ず定期検診を受けるようにしましょう。