スポーツのクラブ活動などで熱心に練習に打ち込んでいる中、肘の痛みを訴える子はいませんか?もしかするとその痛みの原因は野球肘かもしれません。症状が軽いうちはまだ安心ですが、悪化すると手術の可能性が出てくるため、早めの対処が必要となります。今回はスポーツに取り組む子供たちにみられる野球肘の原因や治療法について紹介していきます。

目次

無理は禁物!?野球肘の原因とは

野球肘は10〜15歳くらいの成長期によく見られます。野球をしている場合に多く、バレーボールや剣道など、ほかのスポーツでもみられることがあります。

主な原因は繰り返しボールを投げることです。肘に負担のかかるような投球フォームのまま投球を繰り返すこと、体の柔軟性が低下することで過剰に肘に負担がかかり、痛みが生じます。

外側が痛む場合には注意を

痛みは肘の内側に起こる場合と、外側に起こる場合とがあります。それぞれ以下のような違いがあります。

  • 内側型野球肘:肘の内側が何度も無理に引っ張られることで、内側に付いている靭帯や成長軟骨が痛む。
  • 外側型野球肘(離断性骨軟骨炎、りだんせいこつなんこつえん):肘の外側の骨同士が何度もぶつかって骨と軟骨が剥がれてしまう。

外側に痛みを感じる時は重症の場合が多いため、注意が必要です。
痛みが軽くても、近くの整形外科を早めに受診してください。

進行すると日常にも支障が!野球肘の症状

野球肘では投球時や投球後に肘に痛みが出ます。また肘の曲げ伸ばしも困難になってしまい、時には動かせなくなることもあります。

初期には症状が軽いため、数日で痛みは消えてしまうことがほとんどです。しかし、それ以上進行させないためにも、一度は整形外科の受診をオススメします。悪化すると痛みのせいで、日常生活にも支障がでます。

野球肘の治療法3つのポイント

ストレッチする少女-写真

野球肘の治療法は安静投球フォームや柔軟性の改善手術の3つに分けられます。それぞれ詳しく見ていきます。

1.安静

ボールを投げすぎて生じる障害なので、投球練習をしばらく控えることが必要になります。肘を安静にし、使い過ぎて傷ついた組織の修復を待ちます。症状がひどい場合には、重いものを持つことを制限します

2.投球動作、柔軟性の改善

肘に負担のかかる投球フォームであったり、体の柔軟性が低かったりすると、安静にしたおかげでせっかく痛みが引いても再発しかねません。そのため、トレーナーや理学療法士などに指導してもらいながら、フォームの改善や全身の柔軟性を高めていきます。

3.手術

多くの場合は野球肘の治療に手術は必要ありません。安静にして投球動作と柔軟性を改善する保存的療法(手術を行わない治療)で改善していきます。しかし骨や軟骨が剥がれてしまっている場合には剥がれた骨・軟骨を取り除く手術、骨に穴を数か所あける手術、骨を釘のようにして骨・軟骨を移植する手術など、軟骨の修復を助ける手術を選択するケースもあります。

何よりも重要なのは予防

野球肘は予防がとても重要です。定期的に検診に行き、肘の関節に症状(痛みや違和感)がないか調べてもらうことで早期発見につながります。また、不適切な投球フォーム柔軟性の低下を常日頃から改善することが、野球肘の予防になります。

野球肘の大きな原因はボールの投げ過ぎですので、投球制限を行うことが重要です。小学生では週に200球以下に抑えることが勧められています。子供たちを指導する人たちも注意が必要です。

まとめ

野球は人気のあるスポーツで、多くの子供たちが楽しんでいます。ただ、怪我をした状態を放っておいてしまうと、大人になっても障害が残ってしまいます。痛みを感じたら決して我慢せず、練習を休むことも大切です。気になる場合は早めに近くの整形外科を受診しましょう。